44/381
三歳には勝てる
そして男の子は、全員を見渡して言った。
「今年は、いつもより面白くしようと思う。線香花火が一番最初に落ちた奴が、幽霊を確認しに行くんだ」
すると、子供達は口々に言った。
「シスターに見つかったらどうするんだ」
「罰はごめんだ」
「俺、次の罰は反省箱だから嫌だ」
と、幽霊よりもシスターの罰を恐れおののいている。そんな中、幼い声が割って入った。
「はなび、落ちなかったらいいんだら?」
その声の主はたくみだった。
子供達の文句はぴたっと止まり、たくみへ首を向けた。
「ちがう?」
線香花火をぐるぐる振り回す、にっこにこのたくみを見て、誰もが思った。
三歳には勝てる、と。





