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年に一度
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日吉神社から園に帰った子供達は、早速バケツに水を汲み、蝋燭を用意して。年に一度の火遊び大会の始まりだ。
手持ち花火セットをバリバリと開けている様子を、たくみは目を輝かせて眺めている。
長い、短い、太いの、ひょろひょろの……様々な種類の花火は色とりどりで、見ているだけでうきうきしてしまう。
「ほら、」
圭に渡された花火を、一緒に蝋燭へかざす。
花火の先端にあるひらひらの紙に火がつき、じわじわと火が上ってゆく。固唾を呑んで見守っていると、シュパッという音と同時に煙があがった。
きらきらの火花は流れ落ちる滝のようで、白から緑、そして桃色へと花火は変化して……しばし現を忘れて見入ってしまう。
プス、と花火が消えれば子供達の笑い声が耳に戻ってくる。辺りを見渡せば、圭は次の花火に火をつけるところで、たくみも急いで次の花火を手にするのだった。
手持ち花火はあっという間に終わってしまい、子供達は、最後に残った線香花火を一本ずつ手に持った。
「今年も来たな、この日が」





