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おれとおまえのよしみ
いくら分身とはいえ、お○りの毛……
それを頭になんかに入れたら、自分を乗っ取られたり……
もしかしたら髪の毛が真っ白になって、目が一つになって、みんなを怖がらせちゃうかも!
考えていると、圭が階段を上がってくる音が聞こえた。
―どうしよう、早く決めないと、
焦りを抱え、自分の心に問いかける。私は今、何がしたいのかと。
すると一本たたらは穏やかな調子で言った。
「そんなに心配すんなって。俺に向けて話したいことしか伝わらねぇし。それにさ、俺は他のやつに自分の分身を預けたりしねぇ……俺とたくみの、好だから」
柔らかく笑う一本たたらから、悪意は全く感じられなかった。それは、たくみの迷う背中をトン、と押してくれた。
一本たたらが持っているケ○毛を真剣に見つめていたたくみは、意を決して白銀の毛をがしっと掴むと、その勢いのまま耳に押し込んだ――





