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先に自分の描いた行燈、見なくちゃね
人がまばらな脇道には、小さな行燈が無数に並んでいて、この道の先がどこかの知らない世界まで通じているのかと考えてしまう。
「圭ちゃん、どこいくの」
一抹の不安を覚えて問うと、圭は笑顔で答えた。
「俺達が絵を描いた行燈を見に行くんだ」
「あー、あんどん」
圭の笑顔に安心したたくみは、背伸びをして自分の行燈を探してみる。方々では兄弟たちが自分の行燈を見つけて騒ぐから、必死に探すのだけど、体の大きい兄弟たちが壁になってしまい、絵がよく見えないのだ。
「ほらっ、あそこにあった」
圭はそう言ってたくみを抱きかかえれば、たくみの視界はぐんと高くなって。
「ほんとだ、あった!」





