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局地的な慣習
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九月の終わり、国友の日吉神社で燈明祭が行われる。
この日だけは子供らの夜更かしと火遊びが許される、子供にとって年に一度の特別な日だった。
しゃぎりの音の誘われ、育みの家の子供達総出で祭りへやって来た。子供だけの大冒険に、一様に満面の笑みを浮かべて、落ち着かないでいる。
そんな子供達の話題は、もっぱらシスターのことだった。
「シスターがいないなんて天国だね」
「叱られない!」
「さいこう!」
口々に言い、けらけら笑う。
育みの家に来て一ヶ月が過ぎようとしているたくみにも、兄弟の話は共感できた。
なぜなら、シスターはしつけに厳しかったから。
それに、感情に波があった。
昨日は許された事が今日は許されない、という風に、その時の気分によって変化するのだ。





