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国友の偉人
「そろそろ帰りますよー、みんな集まってください」
辺りを見渡せば、二階の展示室にはたくみ以外誰もいなかった。
「早く行かないと置いていかれちまうぞ、今度来た時に聞かせてやるよ」
「うん!」
一本たたらと別れ、一階へ降りてゆくと。館長が受付から出てきて数枚の紙をたくみに渡した。
「渡したい資料が見つけられなくてね、今日はとりあえずこれをあげよう」
「ありがとう」
手渡された資料には、夜空のような絵と、人の絵が描いてあった。
「この人は国友藤兵衛といって、鉄砲鍛冶でもあるし、日本で初めて望遠鏡を作った偉人だ。鉄砲作りの資料を残したのもこの藤兵衛さんなんだよ」
「くにともとうべーさん、」
「そう、藤兵衛さんだ。書いてあることは難しいが絵を眺めるだけで大丈夫。他の資料は用意しておくから、いつでも取りにおいで、待っているからね」
「うんっ」





