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たたちゃん
「……興味深そうに、細工場の様子を見ていたからさ」
「さいくば?」
「張立ての様子、さっき館長に説明されてたろ。あれは細工場の様子を再現したものだ」
「あー、鉄の塊、丸くするところ」
「そー! それだよ。細工場って言う場所で鉄の塊を丸くするわけさ」
「なるー、たたちゃん物知り」
「……っ、」
たくみがたたちゃん、と言った刹那、一本たたらはふわぁっと目を見開いた。ただでさえ顔中目なのに、もっと目の範囲が広くなって。たくみは小首を傾げてその様子を見つめている。
「お、おーよっ、俺ァ物知りさ。張立てくらいお茶の子さいさいだからな」
焦ったように話すと、また宙返りして見せた。
「でも館長が、ぎじゅじゅはうしなわれた、って、」
「人間はそうかも知れねぇが、俺ァ何百年て生きてるんだ、体に叩き込まれた技術はそう簡単に忘れねぇ」
「たたちゃんすごいおばけ!」
「だから、さっきから言ってんだろー」
「たくみにおしえて」
「いいぞ」
一本たたらが話した刹那、一階から神父の声が聞こえてきた。





