大きな一つ目
「……、」
その容姿を見上げるたくみは、目を剥いて言葉が出てこない。その様子を大きな一つ目が覗き込んで、数回瞬きをした。
「俺ァ、一本たたらだ」
割けている大きな口、ふさふさ睫毛の一つ目、白銀の毛むくじゃら、両手には鋭い爪、一本足で、細長い尻尾が生えている。
「……たくみ、さんさい」
にこやかに自己紹介されてしまってはこちらも答えないとならない。先生に自己紹介が大事だと教えられていたたくみは、怖々と指で三を作ってみせた。すると一本たたらは愉快そう口角を上げ、まるで友達に話すような軽い調子で言う。
「たくみぃ、そんな怖がるなって。とって食ったりしねぇからさ」
「いいおばけ?」
「おーよ、俺ァ良い妖怪だ」
「どうしてここにいるの」
「鍛冶が好きだからさ」
「てっぽうかじ?」
「ああ。元は刀鍛冶だがな」
「かっこいー……」
「だろ?」
へへん、と尻尾で鼻の下を擦って気障に笑うと、その場で華麗に宙返りして見せた。
「すごい、」
「まーな。俺ァすごいんだ。それはそうと、鉄砲鍛冶、好きなんだろ?」
「うん、なんでしってるの」
たくみに問い返されて、一本たたらはすぐに口を開いた、のだが。
「あー……」
歯切れが悪そうに、少し考えた後、こう言った。





