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あしあと
ごくりと唾を飲み込んでやってきたのは、薄暗い展示室の隅。この辺りで何かが動いた、はず……。
だが、そこには何もいなかった。展示物も無いし、ただ薄暗いだけ。それでもたくみは注意深く辺りを見渡した。
すると、床に大きな足跡を見つけた。
それは大人の顔よりも大きくて、靴は履いておらず、足先は壁に向かい、たった一つだけ残されている。
「あしあと……」
しゃがんでじぃっと眺めている姿を、暗い天井から眺めている何かがいた。
それは鼻をすんと動かして、ゆっくりと小首を傾げる。けれど次の瞬間にはにやりと笑い、たくみに声をかけた。
「見えるらしいな」
驚いて天井を見上げるのと同時に、目の前に何かが降ってきた。