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れきじょ、てっぽーすき
「たくみ、さんさい。れきじょで、てっぽーすき」
指で三を作って見せ付ければ、館長は声を上げて笑い、大きな手でたくみの頭を撫ぜた。
「将来が楽しみだ。鉄砲が好きならいつでも遊びにおいで。さ、皆も好きなだけ見て回るといい」
「はーい」
その言葉を合図に子供達は館内へ散ってゆくと、館長はたくみに声を掛けた。
「案内しよう」
館長と神父とたくみは三人で展示物を一つ一つ見て回る。館長の説明は興味深く面白い。たくみは夢中になって聞き入った。その中で一番気になったのは、二階にある展示物だ。作業場の様子が再現され、男が二人掛かりで金槌のようなものを構えて何かを叩いている様子が透明の板に描かれていた。
「これが気になるかい、たくみは相当な鉄砲好きと見える」
館長は朗らかに笑う。
「これは、鉄砲鍛冶の張立て作業だ」
館長が言うに、鉄を温めて筒状に叩くのだと言う。
「それから木の台に据え付けて、細かい部品を付けて、最後に試し撃ちをして完成だ」
「作るの大変……」





