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※国友鉄砲ミュージアム
初めての週末、神父は子供達を連れて近所にある国友鉄砲ミュージアムへとやって来た。
長浜に初めて来た日から気になっていた鉄砲ミュージアムに、たくみは胸を躍らせて入館した。
―わぁ……大きな鉄砲!
鉄砲ミュージアムというだけあり、入るとすぐのところに車輪の付いた大筒が鎮座していた。歴女のたくみが大好きな乱世で活躍した鉄砲を目の当たりにして、たちまち興奮の坩堝に落ちてゆく。
―早く見たい!
「木村さん、こんにちは」
「館長、こんにちは」
奥から出てきた人の良さそうな関西訛りの男性は、たくみの目には神父と同じくらいの年に見えた。
神父は挨拶を交わし、次に子供たちも挨拶をした。そわそわしているたくみも、一緒になって挨拶をした。
「館長、こんにちは!」
「今日も元気だなぁ」
館長は子供らを温かい眼差しで見渡して、ふと、たくみに目が留まった。
「おや、見かけない子だ」
歯を見せて館長が笑う。