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国友鉄砲鍛冶衆の娘  作者: 米村ひお
ながはま
17/381

※はいいろのしわしわ

 

 *


 翌朝。学校組の兄弟は登校していった。たくみの世話係をしている圭もその一人だ。

 一方、たくみは未就学の兄弟たちとシスターに連れられて姉川沿いを散歩していた。

 今日も残暑が厳しくなりそうな青い空には、ソフトクリームのような雲が浮かんでいる。

 子供達はあちこちに気を取られながら、わいわい歩く。

 たくみもその一人だったが、ふと視界の隅に見つけてしまった……堤防に人が二人、座っているのを。


 それを眺めているうちに、たくみは釘付けになってしまい、一点を見つめてぼうっと立ち尽くす。

「たくみちゃん、どうしたの」

 最後尾を歩いていたシスターは、棒立ちのたくみに問いかけると、たくみは一点を見つめたままぼんやり返した。


「……ひと、」

「人?」

 シスターはたくみと同じ方向へ首を向けるが、堤防には誰も見当たらない。

「誰もいないわ」


 不思議そうに言うと、たくみはおもむろに首を向け、シスターを見上げた。

「みまちがい」

 歯を見せて笑うと、一番前を歩いていた子供が転んで、泣き出した。

「あらあら、大変」

 シスターは転んだ子供の元へ駆け出す直前、たくみの背中へ視線を這わせた。

 それが不審な感情を帯びていることを、たくみは背中で感じ取っていた。

 けれどどうしても、たくみはそれを見ずにはいられなかった。

 なぜなら、堤防に座る二人の肌は灰色でしわしわ、上半身は裸、下半身は葉っぱを巻いているだけ、所々生える髪は肌にべったり張り付き、やけに鼻が大きくて、目も開いているのかどうか定かでは無い――

 得体の知れない人だったから。



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