表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
国友鉄砲鍛冶衆の娘  作者: 米村ひお
ながはま
14/381

しぞーかから

 *


「お茶をどうぞ」


「ありがとうございます、いただきます」


 神父は先生をソファへ座るよう促し、よく冷えた麦茶を出した。

 先生は麦茶に口をつけ、軽く溜め息をつく。


「静岡からの長旅、お疲れでしょう」


「いえ、あっという間でした。たくみちゃんと一緒だと、つい時間を忘れて話してしまって」


「そうですか、溌剌としたお子さんなのですね」


「ご両親が事故で亡くなって、二歳になる頃に施設に預けられました。初めは泣いていましたが、お友達に囲まれて段々笑うようになりました。今ではいつもにこにこしていて、男の子みたいな遊びが好きで、走ってばかりいます。でもとても優しくて、思いやりがあって、お友達とも仲良く出来て、御飯もよく食べますし、何より歴史が好きで……賢い子です」


 先生は思い出を巡らせるように、手元の麦茶を見下ろして、寂しげに微笑んだ。


「離れるのが寂しいです、めぐみ園が閉鎖になった事が、本当に悔やまれます。もっと近くの施設が空いていればよかったのですが……お城が好きだから近江に新しいお家を選んだなどと、誤魔化して連れて参りました……」


「園の閉鎖はお気の毒でしたね。しかし、この育みの家と縁あって繋がれた事は、たくみちゃんにとって成長の糧になるのではと思っています。私共も誠心誠意たくみちゃんを見守っていきます、安心して任せてください」


「……はぃ、」


 先生はハンカチで目頭を押さえていたが、思い出したように顔を上げた。



「それともうひとつ、伝えておかなければならない事が」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ