オトノハ
井川真琴が生まれたのは日本ではなくアメリカだった。両親共に日本人だった真琴だったが親の仕事の都合でアメリカで育った彼。そんな彼が小学生になった時、突然親の仕事先が日本へと移る事に。日本語が儘ならない中不安を抱えつつも日本の小学校へと転校する。担任が彼の事を紹介した途端にざわつく生徒達。それが自分への蔑みや嘲りなのではと杞憂に圧し潰されそうになったその時、クラスの一人がその喧騒を破るように立ち上がり突然歌い始める。その唄は真琴もよく知る聴き慣れた曲『きらきら星』だった。
それが真琴とその人物――松原蓮の出逢いだった。
その出来事がきっかけで次第に打ち解け親友へと絆を深めた二人。そんな彼らが中学進学を間近に控えたある日、二人の前にとある芸能事務所に勤めるという男が現れる。二人を歌番組に出させたいと申し出た彼に二人の気持ちも高揚し、親の快諾あって二人は揃って歌番組へ出演する事に。その出演を機に二人は同じ夢を掲げ、ある約束を交わす。
『もっと大きなステージで、もっと多くの人達を笑顔に』
一緒に並んで再び歌う事を誓い合う二人。暫く経ち、二人の元に芸能界入りを示唆する話が舞い込む。それは二人にとって願ってもない話だったがそこで二人の道は違える事となってしまう。
紆余曲折を経て高校生になった真琴は未だ約束を忘れる事はなかったが歌う事への楽しさを見出せずレコーディングも上手くいかない日々を送る。そんな折別の楽しみを見つけてしまった彼は次第に本業が疎かになり蓮との約束も消滅するかと思われた矢先、偶然にもデビューが決まった蓮と事務所で再会する。蓮はその頃の真琴が歌っていない事を指摘したが真琴はそれに反発し、その返答に交わした約束を無かった事にされたと結論付けた蓮は彼を責める訳でもなく蓮が真琴に背を向けた事で彼らの気持ちはすれ違ってしまう。
苦悩しながらも真琴は自分が本当は何をしたかったのかを再度思い直し蓮と思い描いた夢を共に叶えようと気持ちを新たにする。漸く夢が実現する一歩手前まで漕ぎ着け、やっと約束を果たせる時がすぐそこまで迫ったある日、衝撃的な現実が真琴を襲った。
大事なモノを全て失い、挫折と絶望を味わった真琴が最後に手にしたものは。そして、果たせなかった約束の行方は。
※この作品は2019年オレンジ文庫ノベル大賞第三次落選作品を一部修正したものになります。
それが真琴とその人物――松原蓮の出逢いだった。
その出来事がきっかけで次第に打ち解け親友へと絆を深めた二人。そんな彼らが中学進学を間近に控えたある日、二人の前にとある芸能事務所に勤めるという男が現れる。二人を歌番組に出させたいと申し出た彼に二人の気持ちも高揚し、親の快諾あって二人は揃って歌番組へ出演する事に。その出演を機に二人は同じ夢を掲げ、ある約束を交わす。
『もっと大きなステージで、もっと多くの人達を笑顔に』
一緒に並んで再び歌う事を誓い合う二人。暫く経ち、二人の元に芸能界入りを示唆する話が舞い込む。それは二人にとって願ってもない話だったがそこで二人の道は違える事となってしまう。
紆余曲折を経て高校生になった真琴は未だ約束を忘れる事はなかったが歌う事への楽しさを見出せずレコーディングも上手くいかない日々を送る。そんな折別の楽しみを見つけてしまった彼は次第に本業が疎かになり蓮との約束も消滅するかと思われた矢先、偶然にもデビューが決まった蓮と事務所で再会する。蓮はその頃の真琴が歌っていない事を指摘したが真琴はそれに反発し、その返答に交わした約束を無かった事にされたと結論付けた蓮は彼を責める訳でもなく蓮が真琴に背を向けた事で彼らの気持ちはすれ違ってしまう。
苦悩しながらも真琴は自分が本当は何をしたかったのかを再度思い直し蓮と思い描いた夢を共に叶えようと気持ちを新たにする。漸く夢が実現する一歩手前まで漕ぎ着け、やっと約束を果たせる時がすぐそこまで迫ったある日、衝撃的な現実が真琴を襲った。
大事なモノを全て失い、挫折と絶望を味わった真琴が最後に手にしたものは。そして、果たせなかった約束の行方は。
※この作品は2019年オレンジ文庫ノベル大賞第三次落選作品を一部修正したものになります。