7話 引き金《トリガー》
あとがきに少しおまけがあります。
本編とは一切関係のない、作者の完全なネタですので、スルーしても全然問題ありません。
パプリが何かを隠し守ろうとしている事を察したフェルミは、対象をレンに切り替える。
「君の話も聞きたいな。彼女と同じように、なんとか私を説き伏せられないか挑戦してみるか?」
「別にあんたらからすれば、それほどの男を捕らえることができたんだ。何をそんなに詮索する必要があるんだ?俺たちはただの奴隷だし、仮に俺たちの誰かが何かしていたとしてもただの自己防衛。別に問題もないだろ?」
「ふむ、確かにな。だが、先ほど伝えたろう?別に私は咎めに来た訳ではない。あの男を圧倒できるほどの力の持ち主を、こんな所で埋めて置くのは勿体無い。そう思っただけさ」
「それはあんたの都合だろ?名乗り出ないと言う事は、そんなもの求めちゃいないってことさ」
「つまり、誰かが何かをしたことは認める、ということだな」
「そう思っているからここまで問い詰めるんだろ?否定し続けたところで平行線。なら何も見ていなかろうが、あんたの話に乗っかって終わらせたほうが早い。そう判断しただけ」
フェルミはレンの返答に腹を抱えて笑うや否や、剣呑な雰囲気を纏いレンを威圧。
パプリが思わず後ずさり転びかけたところを、レンが受け止めた。
「ほう、これだけ威圧されても平気で動けるのか。やはり興味深いな。どうやら彼女が守りたかったのは、予想通り君のようだ。どうすれば実力を見せてくれるのかな」
「鈍いだけだ。姉ちゃんがびっくりしてるから、さっさとやめてくれない?素人を威圧すんなよ」
「おっと、これはすまない」
フェルミが威圧するのをやめると、パプリは思わず大きく息を吐いた。
そんなパプリの背中を、レンが優しくさする。
「あんたたちは大物を捕まえられた。俺たちは今まで通り、ここでつつましく生きていく。それでいいだろ?もう帰ってくれよ」
心底面倒そうに呟くレンに、何故か益々興味を示すフェルミは諦めずに食い下がる。
「君をここにおいて置くのは惜しい。どうだ、我が隊に来ないか?」
「俺は至って普通の奴隷だって言ったろ。近衛騎士団なんて務まらないよ」
「その胆力は目を見張るものがある。なに、肉体的な強さなど訓練でどうにでもなるさ」
「ごめんだね。俺はここのみんなを置いて行く気はない」
「うーむ・・・」
頑なに拒むレンに益々何かを感じ取るフェルミは、どうすれば彼が隠していると思われる実力の一旦でも垣間見せてくれるか考える。
ふとそこで、頭目の言葉を思い出した。
もう女に手はあげません、そう言っていた。
つまり、それが引き金か・・・?
彼女には悪いが、少しだけ傷ついてもらおう。
フェルミは決めるや否や、再び剣呑な雰囲気を纏い演技を始めた。
「ならば仕方ない。我々に加担しないというのであれば、それは脅威に他ならない。君たちをここで裁かざるを得ないな」
腰に下げていた長剣を抜き放つと、パプリに切っ先を向け構える。
突然の事態についていけないパプリは、ただ怯える事しか出来ない。
「冗談ならやめてくれ。近衛騎士団の隊長ともあろうお方が脅しなんて、笑えない」
「冗談だと思うか?」
レンに尋ね返すと同時、一瞬で間合いをつめたフェルミはパプリの腕に薄い傷をつけ、再び元の位置に戻る。
パプリは薄っすらと血が滲んだ腕を抱え、肩を震わせた。
レンはフェルミを睨むと、パプリから離れ前に出る。
「俺たちに危害を加えるというなら、近衛騎士団だろうと、女だろうと知ったこっちゃない」
パプリを怖がらせないよう、レンはフェルミのいる前方にだけ威圧を放つ。
それを肌で感じ取ったフェルミは、思わず身を竦ませた。
私が怯えているのか?
獲物も持っていない子供に?
そんなはずはないと思いながらも、警戒をさらに強めて出方を伺うフェルミ。
だが一向に向かってくる気配の無いレンに痺れを切らし、自ら打って出て実力を見極める事にする。
「いくぞ少年っ!」
先ほどよりもさらに鋭い踏み込みで距離を詰め、レンの腕目掛けて剣を振るう。
肉を僅かにだけ斬る様計算された剣筋は、フェルミの確かな技量の成せる技。
しかしフェルミの振るった剣は目標を切り裂く事無く、ただ空を切るだけ。
レンが最低限の動作でかわしたからだ。
それはつまり、レンは踏み込みから振るわれた剣の軌道まで、その全てを見切っていたという事。
すぐに距離を取ったフェルミは、その事実に身体を震わせた。
「まさかこれほどまでとは・・・!ならば手加減する必要もあるまい。もし万が一の際には隊の治療班を派遣するから、心置きなく力を振るわせてもらう!」
「その前に約束しろ。あんたが負けた時には、今回の事は全て忘れる。俺たちの話したことが全てと認めると」
「ああ、かまわんよ!ただし、私が勝った場合には我が隊に来て貰うぞ!」
心底嬉しそうに笑いながら、フェルミは先ほどまでとは比べ物にならないほど速く踏み込み、遠慮無しに剣を振るった。
パプリから見れば、フェルミが二人に見えるほどの速さ。
思わずレンの身を案じて叫びそうになるが、パプリが声を発するよりも早く決着はつく。
「なっ?!なぜ私の剣を持っている?!」
剣を振るったのはフェルミのはず。
しかし振り終えた手に剣の姿は無く、代わりにレンが剣を手にしていた。
レンが注意しようとする前に、フェルミは慌てて距離を取る。
取ってしまった。
「あー・・・。動くと鎧が崩れるぞって言おうとしたんだけど」
「は?」
何を言っているのか理解できないフェルミがキョトンとした顔を浮かべた。
すぐに身をもって理解する事になったが。
フェルミが身に着けていた男性用の鎧はレンによってすでに切り刻まれており、動いた衝撃で崩壊。
鎧の下に着ていた服も一緒に斬られてしまっていたようで、ひらりひらりと布切れも宙を舞った。
気付いたときにはとき既に遅く、鎧で隠されていたはずの双丘が露に。
「・・・きゃああああ!!」
慌てて胸を手で隠し座り込むフェルミ。
その二つの丘は、それはそれはたわわに実っていたそうな---。
パ○リ「いやー、アレには驚いたね。自慢じゃないけど、あたいも大きさにはかなり自信があったんだよ。でもあんなのを見せられたら、口が裂けても言えやしないさ。男用の鎧を着ていたし、てっきりまな板なのかと思っていたんだけどね。蓋を開けてみれば、ってやつだったよ・・・。なんであんなに凄い物もってんのに隠してんだろう。同じ女なんだし、も、もませてって言ってみたいところだね・・・」