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29話 分岐点


「そういえば、フェルミ様。言い忘れていましたが、彼と同じくフェルミ様も十分気をつけてくださいね?」


「どういう事です?」


「あの()の事ですわ。アレも確実に国が欲しがるほどの宝具でしょう。その存在が知れ渡れば、間違いなく皇帝に狙われるのは必至」


 フェルミが自身の首にかかるペンダントを強く握り、何かを考えているとハッとしたように思い出す。


「そうだ、レン。あの戦いから急に龍騎盾ドラグーンが静かになってしまったんだ。原因がわからないか?」


「どれどれ?」


 外されたペンダントを受け取り、ジッと眺めるレン。

 だがすぐに、大丈夫だと告げると龍騎盾ドラグーンに手をかざす。

 10秒ほど真剣な顔つきでかざし続けると、ふぅーと息を吐き出しフェルミにペンダントを返す。


「もう大丈夫だろ。思った以上に無理したみたいだな」


『感謝致します、我が創造主。お手を煩わせてしまい申し訳ありません』


「なに、気にするな」


「おぉ、良かった! レン、ありがとう!」


 再びパプリがペンダントを付け直すと、龍騎盾ドラグーンがぼやく。


『この契約者は無茶苦茶過ぎます。創造主からもなんとか言ってくださると大変嬉しいのですが』


「それがフェルミの良いところでもあるからなぁ。まぁ人の命も大切だが、まずは自分の命も大切にしてほしいってのはあるけどな」


「ぐ……」


『まったくもってその通り。フォローする我の事も考えてほしいものだ』


「今回はかなり無茶させたな。ありがとな、龍騎盾ドラグーン


『い、いえ! 勿体無きお言葉! 我は自身に与えられた使命を全うしただけの事!』


「あぁ、本当に助かった。すごいな龍騎盾ドラグーンは!」


『お主はもっと我に感謝せよ。それから、今後はあんな無謀な事はしないと誓え』


 レンがプッと吹き出すと、つられたようにパプリとカティースも笑う。

 ひどいぞと抗議するフェルミだったが、しばらく笑い声は絶えなかった。

 それからしばらく他愛もない会話やお互いの事を話したり、ザベルス皇国や皇帝の話をカティースが話し、そろそろ解散かと言う頃合に差し掛かった時。


「そういえば、カティースさん? で良いのか? さっき言っていた、団長の座を降りるという話だが、とりあえずしばらく保留したほうが良いと思うぞ」


「あら? どうしてかしら?」


龍騎盾ドラグーンの状態を見て解ったが、フェルミはまだ盾をまったく扱えていない。さっき聞いた皇帝の性格を考えれば、今はまだ僅かでもトラブルの可能性があるなら避けるべきだと思う」


「竜相手でもあれほどの動きが出来るのであれば、十分だと思うのだけれど」


「それは龍騎盾ドラグーンが無理をしたからこそ可能だったことだ。もう一度同じことをすれば、反動は持ち主自身に返る」


「で、ですが!」


 食い下がるカティースにレンはため息をつくと、少しだけ低くした声音で呟いた。


「どうしても、というのなら止めはしないが。フェルミに危険が迫る可能性があると知りながら、それでも尚いますぐに、というのは本末転倒な気がするけどな」


「……っ。わかりましたわ。少し我が侭が過ぎました」


 反省した様子を見せ、シュンと俯き今にも泣き出しそうなカティース。

 キリッとした外見からは想像もつかないその姿に、レンは自分が何かとてもひどいことをしたんじゃないかと錯覚してしまうほど居た堪れない気持ちになり、必至に「まぁほら、いずれさ! ねっ!」とフォロー。

 パプリも加わり、なんとか事なきを得た。


 そこから今日は各自ゆっくりしようという事になり、解散する事に。

 そういえば、とふと思い出したことを伝えようとしたとき。

 何か思いつめたように真剣な面持ちで、カティースが自分をジッと見ていることに気付いたレン。


「どうかしたのか?」


「つかぬ事をお伺いしても?」


「ああ、良いけど」


 まるで戦場で強敵を前にしたかのような、そんな鬼気迫る雰囲気を纏いながら、カティースは尋ねる。


「貴方は……フェルミ様の、パプリさんのためならば、たとえ()()()が相手であろうと戦う覚悟はありますか?」


「ああ。それを俺が正しいと思えなければ、誰が相手であろうと必ず守る」


 即答、かつその眼に強い意志を感じたカティースは、満足そうに微笑むと「安心しました」とだけ残し、テントを後にした。

 残された三人は質問の意図が読めず、顔を見合わせ首を傾げる。

 そこでレンは、思い出したことを伝え忘れたということに気付いたが、まぁ大したこと無いだろうし次会った時でいいか、と流してしまう。

 だがすぐに次はやって来た。


「忘れていましたわ」


 戻ってきたカティースは、フェルミにススッと近づくと頬にそっと唇を当てる。


「私は本気ですわ、フェルミ様。きっと貴方を射止めてみせます」


 フフッと無邪気に笑うと、硬直して動けない三人を残してまたすぐにテントを出て行ってしまう。


「「「えぇぇええーーーー?!?!」」」


 あまりの衝撃に、またもや伝え損ねたレン。

 これが自身にとって大きな分岐点だと知るのは、もう少しだけ先の話―――。

お読み頂きありがとうございます!


度々お伝えしておりますが、1章は次の30話とエピローグをもって終わり、31話から2章が始まります。

かなりダークな展開、暴力的な表現なども出てきますが、温かい目で読んで頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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