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24話 手品



 突如として現れた謎の黒いローブ姿の男に只ならぬ気配を感じたドラゴンは、油断無く距離を取ると小手調べに球弾の5連発で相手の出方を伺う事にした。

 内2発は手前で転がる人間に狙いを定めたので、何かしらの方法で防ぐか自身を盾にする他なく、どちらにせよ相手の力量をある程度読める、そう考えての行動だったのだが、結果はドラゴンの予想を超える形で見事に裏切られる。


男は無造作に手を前にかざすと、ドラゴンの放った球弾と()()()()()()だけの威力の魔法を展開し、あっさりと相殺してみせたのだ。

これはつまり、男の潜在能力(ポテンシャル)は少なくとも自身と同等かそれ以上の可能性が高いという事であり、油断していれば足元を掬われるのは自分だという危機感を持たせるには十分だった。


『お前は人間なのか? そのふざけた力はなんなのだ?』


気づけばドラゴンの口からは、素直な疑問と畏怖の念が溢れていた。


「人間だよ。そういうお前は竜ってやつか? 初めて見たけどやっぱテンション上がるな。本当にいるんだな!」


なぜか自分を見て嬉々とした感情をさらけ出す男に、ドラゴンは益々困惑させられる。

信じたくはないが、男の言動が子供のソレだと感じてしまうが故に。

そうだとしたならば、あの少年は年端もいかぬ内にあれほどの才能を我が物にし、自在に行使しているという事。


『お前のようなやつに()()()()()()()()()本当に良かったわ。確実にワシの障害になるであろうその力、少しでも糧にさせてもらうとしよう』


「会話が出来るみたいだから一応聞くけど、ここは素直に退いて今後一切人間に危害を加えないと誓う気はないか?」


『ククク……クァーッハッハ! なぜワシがお前ら下等な種族にそんな誓いを立てねばならん! 全てはワシの気の赴くまま、お前らなど所詮その程度の存在よ!』


「わかった、もう十分だ」


 やれやれと首を振ると、気を失っている二人を巻き込まないよう防護結界を張り、スタスタとドラゴンに向かって歩き始める男。

 少し前まで草花が生えていたとは思えないほど荒れ果て、荒野と化した場所を黒いローブをなびかせ歩く姿には妙な迫力があり、男が纏う雰囲気も相まってさながら死神の様にドラゴンの目には映る。

 しかしそこはドラゴンとしての矜持プライドが退くことも動くことも許さず、尊大な態度を崩さずに自身の下までたどり着くのをじっと待ち、2mほどの間隔を空けて立ち止まった男と向かい合う。


『どうだ? ワシのペットになる気はないか? お前は人間にしては有能そうだし、殺さずに生かしておいてやるぞ?』


「つまらない質問すんなよ。興が削がれるだろ?」


 今度はドラゴンがやれやれと首を振ると、その身に常人ならば卒倒どころかショック死しそうなほど濃密な殺意を纏わせ一歩踏み出す。

 それにあわせて男も足を前に出し、それが開戦の合図となった。


 ゴウッと音が聞こえるほどの速度で振り下ろされる右腕を男が難なく左手で受け止めると、すかさず左腕ですくい上げるように振るい男を上空に投げ飛ばす。

 そこへ球弾を連発し、サッと身を翻すとたたみかけるように太い尾で地面へと叩きつける。

 あまりの威力に地面はひび割れ、大きなクレーターが生成された。


『ふん、この程度でくたばらんことはわかっている。さっさと出てきたらどうだ』


「なんだよ、勝ち誇ったところで出てこようと思ってたのに」


 何事もなかったかのように地面から飛び出すと、男は軽く土ぼこりを払いながら不満そうな表情を浮かべた。

 ドラゴンはその身に傷1つどころか、衣類すらまったく損傷が無い事に内心ではかなり動揺すると同時に、()()()()()攻撃を全てノーダメージで済ませたのかが検討もつかず、苦虫を噛み潰したような気持ちにさせられながら本人に直接尋ねてみる事に。


『……今の攻撃をまったくの無傷でやり過ごすとは、どんな手品を使ったんだ?』


「ん? 普通に防御壁を身体の周りに張ってただけだけど?」


『冗談はよせ。防御壁なんぞで防げる攻撃ではない! ワシをバカにしておるのか?!』


「と言われてもなぁ……。ていうかもう少し本気出して良いぜ?」


 応える気など更々無いと小ばかにしてくる男に業を煮やし、ドラゴンはその身から毒の瘴気を放つとすぐさま移動。

 向かう先は男ではなく、男が守りたいであろう先ほどの人間たちの元へ、だが。

 本来攻撃に用いる瘴気を目隠しに利用してまで、ドラゴンは男へ仕返しをすることで頭がいっぱいだった。

 何が何でもあの男に一矢報いてやらねば気がすまなかったのだ。


『ククク、絶望に歪むお前の顔が目に浮かぶわ!』


 すぐそこに見えた動かぬ人間を前に、ドラゴンは醜悪な声音でそう吐き捨てると、毒液を滴るほど分泌させた前腕を同時に振り下ろし、確かな手応えを感じて大きな笑い声をあげた―――。

いつも読んで頂き、ありがとうございます。


やはり竜は人気なんですかね……。

お陰様でブックマークも一人増えまして、50PTまであと2Pとなりました。

俄然やる気が出ますね!!


明日も更新できるよう頑張ります。

宜しくお願いします!

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