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14話 増援


 レンは人とモンスターの激化していく戦闘を、『千里眼(テレグノシス)』という魔法で観察。

 それと同時に先刻飛ばしておいた棒状の物体、『遠隔操作型展開魔法陣(レンスペシャル)』を操作して負傷者の上空に魔法転送の陣と広域化の陣を展開、パプリの『治癒の光(ヒーリング)』にて治癒を行っていた。

 勿論、パプリには増幅魔法陣の中で魔法を唱えてもらう事も忘れていない。


「うん、姉ちゃんのお陰で即死のやつ以外はなんとか持ちこたえられてるよ」


「あたいのお陰っていうか、ほとんどあんたの力だと思うけどね……」


 ジト目を向けてくるパプリには反応せず、再び周囲を『千里眼(テレグノシス)』で見渡していたレンが一瞬顔を顰める。

 

「どうしたんだい? ってその顔を見れば、聞くまでもないか。厄介事が増えた、そうなんだね?」


「ああ、その通り。()()()()()なのか自然発生なのかわからないけど、他の方向からもモンスターの大群が押し寄せてきてる。どちらにせよ、この国はよっぽど恨みを買ってるみたいだな」


「……それは一方向だけかい? それとも、残りの全方向から?」


「西と東の二方向だね。規模は南で戦っているやつらと同等くらいかな」


 レンの言葉に顔を青ざめさせながらも、どうにかパニックに陥らずに思考を巡らせたパプリは、意を決して口を開く。


「……レン。嫌かもしれないけれど、一度フェルミのところに戻ろう。すぐにでも騎士団主導で避難を開始しないと、誰一人間に合わなくなっちまう」


 国を捨てて逃げるべき。

 そう提案するのは本人にとってもとても辛く、聞く人によっては祖国を捨てる売国奴だと罵る者すらいるであろう重い言葉。

 だがそれでも、命のほうが大事だと考える心優しいパプリは覚悟を持って口にした。

 たとえレンに冷たい目を向けられようとも。

 そんなパプリの心配や不安などてんで気にせずに、レンは笑みを浮かべながら手をかざす。


「『防御結界(プロテクション)』」


 詠唱後、周囲を半径3mほどの半球状、半透明な壁が出現して覆った。

 不思議な光景に、思わず口をポカンと開けたまま固まるパプリ。


「これは……?」


「外部からの攻撃を防いでくれる壁かな? この中にいれば安全だから、出ないでね。俺はちょっと用事を済ませてくるから」


「え?」


 言うや否や、足元に魔法陣を展開するとその姿が掻き消える。

 後に残されたパプリは、淡い光を眺めながらただ呆然と立ち尽くす。


「レンのばっきゃろおおおおおお!!!!」


 転移した後なので聞こえるはずもないのだが、思いが届いたのかレンの背筋にブルッと悪寒が走った。


「なんだ?! 風邪引いたかな……。まぁ良いや、さっさと片付けて帰ろ」


 そんなレンはというと、東から押し寄せるモンスターの大群の前に立ちふさがっていた。

 最初は遠距離魔法で片付けようと考えていたものの、群れの中に何体か強大な気配を感じたので直接確認に来たのだ。


「しっかし、この力もよくわかんねぇなー。ったく、誓約の詳しい内容とかふつー把握できるようになってるだろ?!」


 現在のレンは、感覚的なもので力が使えるときとそうでない時を判断している。

 その力というのも、こんなことをしたいと思えば出来るか否かが直感的に解る、そんな感じ。

 解っていることと言えば、力が使える状態のときに感情が昂ぶるほど出力が上がる。

 それだけだった。


「愚痴っても仕方ないか……。お前らに恨みなんてないけど、悪いな。この先には守りたいものがあるんだ」


 眼前に迫る軍勢にポツリと謝罪を口にすると、右手をかざす。


「『流星矢シューティング・アロー』」


 遥か上空に無数の矢が生成され、モンスターたちの頭上へ流れ星のように降り注ぐ。

 その全ての矢が急所である頭部や心臓部へと突き刺さり、一体、また一体と地にひれ伏していく。

 苦悶の雄たけびをあげながら倒れていく様を、レンは目を逸らす事無く見つめ続け、敵が動かなくなるのを待った。


「やっぱりお前達は、この程度じゃ無理か」


 視線の先には3体の複合型(キメラタイプ)がじっとレンを睨みつけ、かすり傷1つない身体を大きく揺らしながら、鼓膜が破裂しそうなほどの声量で咆哮を上げると一斉に駆け出す。

 

「お前らがリーダー的な存在なのか? って、返事できないか……」


 自嘲気味に苦笑いすると、迫り来る攻撃を紙一重でかわしながら観察を始めた。

 どの程度の力を持つのか体感するために。


「ふむ……。これはちょっとヤバいかもな。一体一体がフェルミよりだいぶ強いぞ」


 以前見たフェルミの動きなどと照らし合わせ、目の前のモンスターの方が強いと判断。

 攻撃の速さも鋭さも、空を切る音ですら凌駕している。

 それに加えて、この独特の体躯から繰り出される多様な攻撃の数々。

 見た目通り、まるで複数のモンスターを同時に相手している気分にさせられた。

 そして特筆すべきが、身体の一部を覆う緑色の鱗。


「あの部分だけ、異常なほど存在感が強いのが気にかかるな……」


 さっさと片付けるべきか、念のため情報を集めておくべきか。

 悩ましい問題に、とりあえず空を仰ぐレンだった―――。



すみません、また更新が空いてしまいました!

仕事のほうが再び立て込んできていて、バタバタしてて……orz


活動報告にも記載したのですが、『神と獣と精霊と。』はしばらくの間休載させて頂きます。

突然で申し訳ありません。


ねんどれは休載しませんので、今後とも宜しくお願いします!

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