第7話
筑技山に着いた。
移動中、真那は疲れのため眠っていた。
到着してからは、清々しい表情になってる。
「もう、いつも通りだわ」
すごい回復力だ。これも聖騎士の恩恵なのだろうか。
「いくら回復しても油断するなよ。いつアンダーグラウンダーが現れてもおかしくないんだから。」
「そうね。私という存在がバレちゃっているんだもんね」
しかし、アンダーグラウンダーは現れない。
「もしかすると、イージスのスピードで見失ったか?」
「都合が良いわ。今の内に黒幕の手がかりを入手しましょ」
しかし、手がかりといっても、とりあえず破壊された筑技山を見て考える。
「聖騎士様、お待たせしました」
いつの間にいたのか、背後には忍者(?)の様な格好をした女性がいる。
年齢は俺達と同じくらいか。
「あなたは、一体誰?」
真那が話かける。
俺は何かあったら直ぐに真那を守れるよう警戒する。
忍者女は片膝を付き頭を下げる。
「私は有野といいます。守護戦士の1人です」
なるほど、こいつも山本や大井みたいな存在なのか。
「私は渡部真那。よくわからないけど、あなたの言う聖騎士みたい」
「俺は入江黒斗。たぶん、あんたらと同じ守護戦士だと思う」
「クロ・・ト?」
有野は俺の名前を呟くと不思議そうに首をかしげる。
「あなたは、名前をもっているのか?」
「ん? そりゃあるだろ。有野だってあるだろ?」
「私は有野だ。それだけだ」
どういうことだ? そういえば山本も大井も同じ様な事を言ってた気がする。
「我らは聖騎士様をお助けし、来る時に備えるために導く者だ。一応この世界で活動出来る様に人間達の記憶の改ざんはしてもらってるし、活動するために与えられるネームも最低限で良いはずだ」
有野はそう言と、真那に面を向かわせる。
「聖騎士様、これより緑の王のいる迷宮へと案内します。緑の王を倒すことでこの事態はおさまるはずです」
迷宮だと?
こりゃ、とんでもなく面倒い事態になりそうだな。
それより有野の言ったことが気になる。
守護戦士というのは、しっかりと自分の使命を認識している。
俺はかなりあいまいだ。
自分が守護戦士だと思えたのは、イージスを使える様になってからだ。
その時に本能的に真那の力にならなくてはいけないと理解した。
しかし、山本、大井そして有野の様にしっかりと目的を認識していない。
ただ、漠然と真那の力になるという思いだけだった。
守護戦士でないとしたら、いったい俺は何者なのだろうか。