第6話
『魔種撃破により情報獲得。
イージス起動により制限解除。
守護戦士の意志、獲得不可。
記憶改修インストール完了』
「入江君が私の勇者?」
「そうみたいだ。ただ詳しくはわからない。でも確信している」
俺達は学園に逃げ遅れがいないか確認をした後、
先程、学園から逃げていった人達が向ったと思われる方向へと歩きだした。
真那の表情は変わらない。どうやら思うことでもあるようだ・・・フッと笑う。
「そうか〜、私の勇者様ね! じゃあ、しっかり私を守ってね!」
なかなか現金な奴だ。
「ところで、次がすぐに来るぞ」
「すぐにって、アンダーグラウンダー⁉」
そう言ってる内に地面が揺れだすと目前から人型アンダーグラウンダーが這い出してきた。
『せいきしのたましいをもつものみつけた』
やはりか、俺は人型アンダーグラウンダーがまだ身体半分しな出てないところでイージスを撃ち込む。
「ちょっと! アンダーグラウンダーって山の方から湧き出るんじゃなかったの?」
「どうやら真那の存在に気付いたみたいだな。連中、真那を目当てにどこからでも出てくるぜ」
「どっ、どういうこと? そして、真那って・・・」
「あっ、あぁ〜、スマン。つい名前で呼んじまってたな」
「べ、別にいいよ。私も黒斗君って呼ぶから」
2人して顔を赤くする。
さて・・・
「早いな。また来るぞ」
地面が揺れ人型が再び現れる、更に空からも鳥型が来る。
「なんで、私を狙ってくるの?」
「真那が聖騎士だからだ」
俺は答えながらイージスを撃ち出す。2体とも破壊した。
「聖騎士って何? 黒斗君、何を知ってるの?」
「知ってること自体は、そんなもんだ。まだ記憶が曖昧なんでな」
実際、俺は何で勇者なのかを知らない。でも違和感なく受け入れている。昨日までアンダーグラウンダーに怯えながら過ごしていた1高校生だというのに。この様な特殊能力を手に入れたら黒歴史的な行動をとってしまう年頃なのに全くそんなことは感じない。
ただ、ただ、受け入れている。
受け入れているという表現もちょっと違う。
呼吸を行う事のように当たり前に感じている。
「アンダーグラウンダーが言っているんだ。聖騎士の魂を持つ者を見つけたと」
「聖騎士の魂」
「真那が、聖騎士であることに困る奴がいるんだろう。そいつが黒幕だ。アンダーグラウンダーは聖騎士の魂を見つけるために出現するようになったんだろ」
「そして、私が聖騎士だとわかったから、私の近くに出現する・・・と」
4足獣型が表れた。間髪入れず破壊する。
「今まで、この辺に出現したアンダーグラウンダーを人知れず倒していたこともあり、目星をつけてたのかもな。だから今日、黒幕が確信を得るために一斉にこの周辺を狙ってアンダーグラウンダーを攻め込ませたんだろう」
「そんな、私が今まで倒していたから、今日こんな事態になってしまったの・・・」
「悲観するな。今まで真那が倒していなければ、更に悲惨な状況になっていたかもしれないんだぜ」
鳥型が現れる。直ぐに倒す。
「この後は、どうするの?」
「黒幕を倒しに行く。場所はアンダーグラウンダーが初めて目撃された所。筑技山だ。イージスを利用すればすぐに到着できる」
アンダーグラウンダーか更に表れた。
数が多くなってきた。
「だが、このアンダーグラウンダー達を野放しに出来ないな。倒している最中に次々と表れやがる」
「それでは、ここは俺達に任せな!」
声のある方を向く。
そこには。山本と大井がいた。
二人の格好が鎧騎士という表現がピッタリな防具を付けている。
「お前らも、結局何者なんだよ」
「守護戦士だよ。入江もそうだろ?」
「守護戦士? よくわからない。それよりお前ら俺のこと知っているのか?」
「守護戦士の自覚がないのか? あんな最強武器をもっているのに」
イージスのことか。だが、イージスの事もよくわかってない。ただどうやって使うのかだけはわかる。
「お前ら、そんな格好だが本名はなんだ?」
「本名? 俺はこの世界では山本だ」
「ふんっ。俺はこの世界では大井だ」
この世界では? つまり彼らも異世界から来たということか。
「さあ、雑談はもう終わりだ。入江が覚醒してくれたからやっと行動開始だ。」
「ここのアンダーグラウンダーは俺達で退治しまておく、入江達は黒幕のとこへ行ってくれ」
2人はそう言うとアンダーグラウンダーの群れに突っ込んでいった。
「黒斗君、あの2人大丈夫かな?」
「問題ないと思う。俺達は俺達で出来ることをやりにいくぞ!」
イージスを召喚する。
2人が乗れるくらいの大きさにし、俺達はイージスに飛び乗る。
イージスはそのまま浮き上がり急スピードで東へ向かう。
物凄い風圧がかかると思ったら、全くない。
俺達は1時間も掛からずに目的地・・・筑技山跡へと到着したのだった。