第2話
ドグゥォ〜ン!
口から放たれた火球が着弾し爆発する音。
爆発音とともに激しく地面が揺れる。
「ぐぉー! なんでアンダーグラウンダーが進行してる真っ只中に登場しちゃうんだよー!」
俺は叫びながら逃げまくる。
逃げ場なんてどこにもないのに。
やばい、恐ろしすぎて泣きそうだ。
人型のアンダーグラウンダー3体が進行中だ。
アンダーグラウンダーは特に黒斗に狙いを定めてるわけではない。
ただ理由もなく破壊する。
たまたま破壊する先に黒斗がいるだけだ。
思い出したんだ。
何故、この事態を直ぐに思い出せなかったのかが不明である。
アンダーグラウンダー。
地下から表れた謎の怪物。
国防軍の最新鋭戦車や戦闘機の攻撃を全弾使い果たしてやっと1体倒せるほどの驚異。
そんなのが3体進行中〜。
「ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、死ぬー!」
「こっちよ、早く!」
右手にある瓦礫の影から女性の声がした、急いで瓦礫に駆け込む。
「あれ? 君は・・・」
駆け込んだ先には同じ学校の制服を着ており、緑の学年識別バッジを着けている女子生徒が・・・
(緑のバッジということは、俺と同級生か、え〜と名前は・・・)
「ちょっと君、状況が状況だから仕方ないけど、これから私が行うこと誰にも喋ったら駄目だからね」
「うん? なんのこ・・・とー⁉」
ボサっとしていた。
アンダーグラウンダーが目前にいた。
瓦礫なんて、破壊された建物の残骸であるが目立ってる時点でアンダーグラウンダーの標的になりうるのだ。
「ヤバイ! 逃げ切れるか⁉」
ふと、女の子の方を見る。
女の子はアンダーグラウンダーに対し、両手のひらを差し出した構えをとっている。
まるで、か○はめ波を出す様な構えだ。
そして、かめ○め波が出た。
「かめは○波だとー⁉」
両手の平から光線が発射され、アンダーグラウンダーに命中する。
命中されたアンダーグラウンダーは、まるで砂のように崩れていく。
帯状の光線をゆっくり動かし残りの2体も砂と化した。
「ふぅ〜。3体同時は流石にキツイわ」
「君はいったい・・・」
「あなたこそ、こんな危険地帯で何してるのよ。この辺でアンダーグラウンダー進行中って防災無線やラジオで言ってたでしょ」
「すまん、なんと言うか・・・気付いたらここにいたって感じで」
「はぁ〜。何わけわからないことを。とりあえず、私が今やったことについては他言無用よ。まあ、言ったところで信じる人なんかいないでしょうけど」
「そうだよ、○めはめ波だよ。何なんだアレ」
「別に・・・ただ出来るだけ」
「ただ出来るだけって、意味わからん」
「もう、別にいいでしょ! それより君、うちの学校の生徒でしょ、緑のバッジだから同じ2年生ね。学校へ避難勧告出てるんだから行くわよ」
「学校は無事なのか。」
「まあ、さっきのアンダーグラウンダーが進行を続けてたらどうなったかわからないけどね」
学校か。ガッコウ。がが・が・・がっこう?
何だか頭の中で記憶が、思い出がよくわからない回転をする。
「どうしたの?」
「いや、なんでもない」
なんだか頭の中がスッキリした。
そうだ、俺は私立月詠学園高等部2年A組入江黒斗。
学校での自分の立場、クラスメイトの名前、これまで行った学校行事等、ちゃんと覚えてるぞ。