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私たちは完璧に出来ていないから。
この美しいだけではない世界で、
正しいだけではない世界で、
強いだけではない世界で、
美しさを探し、
正しさを求め、
強さを請い、生きていくのです。
矛盾の中で生きる私たちが、素直になるには長い長い時間がかかりました。
これは、私と彼の希望のお話。
中学生になってすぐ、私の周りはとても静かになった。みんなが私から少し距離をとってこそこそと話すようになったからだ。
「こそこそ」は周りが静かであれば静かなだけ私に痛く降り注いだ。
もともと一人っ子のせいもあって、自分から人に話しかけることが苦手だった。
小学校で仲良かったすみちゃんは学区外で違う学校になってしまい、話しかけてくれる人もいなくなった。
私は入学初日からわかりやすく孤立した。
家に帰ると一人で泣くこともあったけど、仕事で忙しい母に心配をかけたくなかったので相談はしなかった。
三ヶ月も経つと、一人で居ることにもだいぶ慣れる。ただ、学校という狭い空間の中での“一人”の空間はとても広く、少しさみしかった。