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妹=芸農プロ所属。そして王族  作者: 朔野佐久
1/2

0~サンプルエピソード(腹パン)

「ご主人様~種まき器もってきました~」

「ん、じゃこの種入れて畝の上にかいた溝に沿ってまいてってくれ。やり方わかるな?」

「はい~。でもこの種かたちがバラバラです~」

「良いんだよ。それはコンパニオンプランツ用のハーブなんだから」

「コンパニオン……?」

「また忘れたのか……あんまり気乗りしないんだが、身体に教える必要があるな」


(未だに慣れないんだよなぁ)


「え~いやですよぅ~」

「はぁ~」


(パァン)


「いたいです~」


(ガタン!)


「いいか、コンパニオンプランツってのはなぁ……お?」


(カッカッカッ)


「よぉ、頼んどいた苗育ってるじゃねぇの――へぐぅ!!」

「なに平気な顔して女の子に腹パンしてんのよ!」

「ちょ、所長、レバー、レバーにヒールが……」

「やっぱあんたにこの子の世話まかせてたのは失敗だったわ!大体ワンちゃん達の躾方をみて気づくべきだったのよ! このDV野郎が! 女の子の身体をなんだと思ってるのよ!」

「いや、ゴフッ、ちょっとまて……」

「大丈夫?おなか以外にも殴られてない? 顔もっとよく見せて?」

「ちょっといわせろよ、だって……」

「だってなによ?いってみなさいよ!?どんな理由で手上げたのか言ってみなさいよ!」

「だって……そいつモノホンのヒグマじゃん!! 今だって全然痛がらないじゃん!!」

「えっ?」


(むにーん)


「所長ひゃん~もっひょ~」

「きゃっゴメン!!」


(どさっ)


「きゃぅ」


(ころーん)


「今確かに所長はイオをほっぺたで持ち上げて、その後地面に叩き落としました」

「叩き落としてないわよ!」

「しかしイオは軽やかな後ろ回り受け身で回転」

「確かに見事だったわ……」

「その身体……ノーダメージ!! 疑うなら確かめてみるが良い! さあ!」

「ど~ぞ~」

「えっうん、あ、だいじょぶイオちゃんごめん…ね?」


(ぱんぱん、さすさす)


「へへへ~」


「イオちゃんホント? ほんっとーに痛くないの?」

「ちょっといたいかな~ぐらいです~」

「ノーダメージ!!」

「うるっさい! ……ってかあんたなんで涙流してるの、ウザイ」

「あれはイオと出会った夜の事」

「そういえばイオちゃんとの出会いの話聞いてなかったわね。いきだおれていたとか」

「事実は菜園の野菜を食らっていました」

「空腹は最高のすぱいすです~ジュルリ」

「ワン公達は鳴きませんでした。なぜなら既に調略済みだったからです」

「話したら”少しぐらいイインジャネ”っていってくれました~」

「俺は当然投網を投げて捕縛しようとしました、しかしミス! 完全にかわされました」


「とろかったです~」


(パァン)


「ちょ……」

「その夜もこいつは今みたいに……いや、今以上の憎たらしさで挑発し、突進してきたのです。私は女の子と思い関節技で制圧しようとしたのです」

「そしたら?」

「とんでもねー重さのロシアンフック連打が来ました。そのまま打ち合いになだれ込みました。私は本気でした。しかしいっこうに突進がとまらないのです」

「痛かったですよ~?」

「結局決まり手は当初のもくろみ通り関節技でしたが、その意味合いは逆でした。そうしてあげた、ではなく、そうせざるをえなかったのです」

「アンタがそこまで追い詰められるとはねぇ……」

「……と、まあそういうわけで、後は色々説得して納得させて、事務所経由で”ノア”へ通報したというわけなんだ」

「あそこの話はしないでください~」

「なるほどね。それでなんやかんやであんたが預かる事になったわけか」

「ご主人様にはかんしゃしています~だから多少のむたいはかんべんしてるんですよ?」

「なんだその上から目線は? ノアへ追い返すぞコラ?」

「ひぁあ! ごめんなさい~」

「まあそういうわけで、外見はともかく、肉体的にこいつはまちがいなく猛獣だ。だから腹パンもやむなし。以上」


(パァン)


「なんでだ!」

「肉体的に云々言うならあんたも十分腹パンの許容範囲よ」

「俺今なにもしてねーじゃん! イオにだって理由なしに腹パンしねーぞ!」

「いや、腹パンの件は理解したけど、イオちゃんを猛獣? よばわりしたから?」

「なんだそのフワフワした理由!」

「イオもうじゅうじゃありません~。にんげんとして生きたいです~」

「そーよねー。もううちの事務所のお得意様だもんねー」

「はい~真緒ちゃんの野菜おいしいです~。真緒ちゃんもあんな味なんですか~?」


「……」

「……」


「あんた、イオちゃんに王の野菜制度の話はした?」

「いや、したはしたんだが、右から左に受け流されてだな……投げた」

「あんた説明へただからね。じゃあお姉さんがイオちゃんにレクチャーしよう」

「よろしくおねがいします~」

「じゃあ俺茶菓子もってくるわ」

「あたし紅茶がいいなー。前掛川のコロニーに出張したときのお土産があったでしょ」

「あれは妹が来たときに開けたいからだめだ。被せ茶でがまんしてくれ」

「シスコンめ」

「うっせ」

「ご主人様しすこんなんですか~?」

「そうよ~しかも重度で片思いで相手に嫌われてるの。三重苦よ~」

「自己紹介乙」


(パン!)


「あっぶね!手が届かないからってそれつかうんじゃねぇよ! ハウスに穴あくし!」

「残念、ハウスよりあんたの節穴を広くしたかったのに」

「ったく」


(スタスタ)


「じゃイオちゃん、あそこの東屋でお話しよっか」

「わ~い。あそこきれいなのにご主人様入れてくれないからうれしいです~」

「うわアイツまじシスコン。王専用ったって同席しなけりゃ誰が使ってもいいのに」

「そういえば所長さんはさんじゅうくなんですか~?」

「イオちゃん、そういう会話は流すのが大人の礼儀なのよ……おっけ、はい言います。二十三歳よ。四捨五入すれば二十歳だから、二十歳と覚えておいてね」

「え~イオ数字は覚えるの得意だから二十三で覚えます~」

「二十歳」

「はい~」

「まあ脱線はこれくらいにして、イオちゃんは、んー…」

「どうしたんですか~」

「いや、気にしないで。イオちゃんは、にんげんとして生きていきたいのよね?」

「そうです~」

「じゃあ少し難しい話をするけど聞いてね? なぜイオちゃんがクマのお母さんから私達人間の様な見た目で生まれてきたのか知ってる?」

「お母さんがたくさん野菜を食べたからですよね~?」

「そうね。でもそれはとても珍しい事なの。野菜の中に、王族の力が入っているから、普通の人や動物がそれを食べると元気が出てくるけど、イオちゃんみたいに、見た目が変わる事はまずありえない事なの」

「ご主人様もイオ以外は見たことないっていってました~」

「うん、そうね。で、その野菜なんだけど、さっきも言ったとおり入っているのは王族の力であって王族のお肉とかじゃないの」


「え~オウゾクが入っているってご主人様言ってたから、オウゾクって食べても平気なんだと思ってました~」

「この国では生き物に元気をあげる人間の事を王族って呼ぶのよ。まだ会ったことがないからしかたないけど、王族は私みたいな普通の人間だからね。食べるなんていったら……そうね、また白い服の人たちと暮らさなくちゃいけなくなるわ」

「それはいやです~、イオが前いた所の人たちはお姉さん以外みんな怖かったです。お姉さんもいなくなっちゃったからイオさみしくて探しに出かけたんです。でもどこにもお姉さんはいなくて……」

「イオちゃん、それについてはお話しなくていいわよ。大体はアイツから聞いてるから。つらかったでしょうけど、今は私達がいるわ」

「はい~」

「おい、イオをあんまりおどかすなよ。茶菓子やんねーぞ」

「うん、ゴメン。話がへんな方向にいっちゃったわね」

「で? どこまで話したんだ?」

「そうね、野菜のiPS細胞内にあるリコンビナーゼに王族の励起された状態の遺伝子を組み込ませてから種子にして生育、できた野菜を生物が摂取することで腸壁細胞から漸進的に遺伝子相転移が起きる。それにより生物は現代の大気組成と気候の変動が顕著な地球環境に最も適応している王族という人間の遺伝子を得て旧世代の生物ほどではないが最低限の活動が出来ている、くらいまでは説明したかしら……お茶ありがと」

「そうか。じゃあ後は……その王族がどう国を仕切っているか、と俺達の当面の敵について頼む。」

「つっこんでよ。イオちゃんにこんな口調で話すわけないでしょーが」

「その前にその当人の心のケアをしろよ」


(ガタガタ)


「所長さんが白い服の人たちみたいな事いってる……怖いよぅ」

「あーうそうそ、私はあいつらみたいにイオちゃんをいじめたりしないから大丈夫よー」

「ほんとに?」

「それは本当だ。イオ、人間として暮らしていきたいなら口調とかに惑わされるな。どんなに慣れ慣れしい口をきいても悪い奴はいるし、口調が俺みたいなのでも良い奴はいる」

「そうよ、難しい事言ってても私はイオちゃんの味方よ?」

「自分でいう時点で信用ならないです~そういう奴は大体最後で裏切るんです~」


「余計な知恵をつけやがって。じゃあアレだ。”考えるな! 感じろ!”ガチで俺と闘った時のお前の本能を思い出せ!」

「む~。じゃあ……」


(スッ)


「(ちょっと何?さっきと全然雰囲気違うじゃない!)」

「(余計なこと考えんな。目はそらさずに、自然体でいろ。)」

「……いいですよ。信じます。良いんですよね? ご主人様?」

「そうだ、信じていい。俺も所長とは長いつきあいだ。俺が保証する。」

「よかった~。イオの周りに敵はいないんですね~」

「信じてもらえてよかったわ。……にしても、余計な知恵って何よ?」

「教育用に俺の映画コレクションを鑑賞させている」

「あー道理で。まあそれに助けられもしたからプラマイゼロね。心底肝が冷えたわ」

「疑ってごめんなさい~」

「ま、とりあえず阿笠屋の軽羹たべるか。冷えるもんでもないけど」

「いただきます~」

「あ、私のもってきた苗! ほっとかれてるんじゃない?」

「大丈夫だって、落とした苗も残りも処理して水につけてる。食い終わったら植えるよ」

「意外、最初の頃からは考えられない進歩よね」

「最初の頃のご主人様ってどんなかんじだったんですか~」

「ん~? ん~」

「いじわるしないでおしえてくださいよ~」

「ひょろっちかったわね。同じ年の男子から比べても頼りなかったわ」

「へー。今のご主人様からはいめーじできないです~」

「細マッチョだったんだよ。でも繰り返してきた農作業によってこの小麦色の肉体を手に入れた訳だ」

「ダウトー。私アンタが熱帯植物用の紫外線強化ブロックでパン一だったの憶えてるわよー」

「ちっちっちちっちがいますー。あれは農業人としてレベルアップするために大地と一体になることを目的にした修行の一貫ですー」

「なみだぐましいです~外見をいじるのが元から可愛いイオにはわからないです~」

「お前そんな風に調子乗ってるけどなぁ、お前の外見だってコンタミのパターンによってはアレになってたぞ」

「アレ?」

「コレだ」

「え? このキーホルダー?」

「えええ! アレっておーぱーつUMAってご主人様が教えてくれた……」

「メロン熊だ」

「いやー! いやですー! イオあんな血管浮いた頭になりたくないですー!」

「ハハハよかったなぁイオ。出会いがあの姿だったら俺だって逃げ出すぞー」

「にげないでください~」

「性質の悪い冗談を言うんじゃないわよ。イオちゃん? 王族は人間しか居ないんだからメロンになんかならないわよー」

「絶対ですか~?」

「絶対とは言い切れないけど……」

「うう~メロン熊いや~」

「馬鹿所長、そこは言い切るんだよ」

「ごめん、まがりなりにも理系脳だからさ……そう! イオちゃん王族よ! さっきの続きのお話しましょう! 真緒ちゃんの話もするわよ?」

「うう~? はい~おいしい野菜の女王様ですよね。ききたいです~」

「うんうん! まずはね、人間の中には王族って呼ばれる人たちがいるのよ」

「族ってかぞくの族ですか~? じゃあご主人様もおうぞくなんですか~?」

「ん……こいつは違うの。そうね、じゃあたとえ話しよっか。今日私が持ってきたトマトの苗ね? みんなトマトだけど付ける実は黄色赤紫、色々な色で、形もバラバラなの。その中で一番美味しい実を付けた木がトマトの王様なの」

「そうなんですか~」

「人間も一緒なの。同じ年の子で一番強い子が王族って国に認められて、私が所長をしてるような農家事務所にはいって、自分の力を野菜に込めるの。普通の人や、その……動物は王様が力を込めた野菜を食べて元気になって生活しているのよ」

「でもここの野菜とイオが昔食べてた野菜はちがいましたよ」

「へー鋭いなぁイオは。違いというのはだな……」

「長くなるから無視してこっちの話聞いてね-?」

「ぐぬぬ」

「確かに普通の人が食べる野菜はココとは別の場所でもっと大きな建物でつくってるの。ここで作っている野菜は真緒ちゃんみたいな王族の人達が食べるのよ」

「そうなんですか~でも王族さん達って何人いるんですか~?」

「え? 三十人かしら。デビュー前の子供もいれてだけど」

「ご主人様~前にココの野菜は十人分しかないっていってましたよね~?」

「ああ、つまりイオがききたいのはココの野菜じゃ王族が食べる分に足りないんじゃないかってことだろ」

「です~」

「それは他の事務所でもその王族専用の野菜なら作れるからよ。普通の野菜も余る分がでるようにつくってるけど、王の野菜は特に余剰がでるようにしてあるわ」

「余ってる……ご主人様前にお前の分はないってうそつきましたね~」

「さっきからなんか計算してると思ってたが、ウチで作ってる野菜が食いたかったからか。そんな恨みがましい目をするなよ。そうでも言わないと出会ったあの晩に白菜全滅させる勢いだったろう。今の理屈がわかったお前になら、おやつ程度なら食わせられる」

「ほんとですかっ!」

「ほんとだから落ち着いてイオちゃん。これからは一日にイオちゃんが必要な野菜を宅配するよう手配をするわ。で、おなかがすいたらその分はココの野菜を食べちゃいなさい」

「はいぃ!」

「そんなに俺の野菜が気に入ってたのかー」

「空腹のせいでだまされたのかも知れないわよ? そのときは遠慮無く真緒印の野菜にもどってきていいからねー?」

「人が感動してるのに水をさすなよ。それよりイオの脳みそが食欲に染まる前に詰め込み教育してくれ」

「そうね。とにかく、王族が生き物みんなを元気にする大事な人達だってことはわかってもらえたかしら?」

「大丈夫です~偉い人なんですね~」

「そう、偉い人でもあるの。王族がさっき三十人って言ったけど、その中の十五人が王議会という国で一番偉いお役所につとめているの。真緒ちゃんもそこにいるわ」

「真緒ちゃんえらいんですね~」

「頼光、今度イオちゃんにアーサー王の映画も見せてあげて、もってくるから」

「おう、実物の議会は見られないからな。まあ似たようなものを見せるのは賛成だ」

「で、さっきもいったかもだけど王族は私がいるような事務所に所属するものなの。事務所はココみたいに野菜を作るだけじゃなくて真緒ちゃんのお仕事のお手伝いもしているのよ。イオちゃんが住んでいる国は簡単に言うと王族達の家ということね」

「ココよりおっきな家なんですね。わかりました~」

「そして最後、そのおっきな家には敵がいるの」

「わかります~トマト畑を台無しにした悪い人です~」

「そうよ。時々そういう悪い人がココには来るからワンちゃんや頼光が見張ってるの」

「イオもお手伝いしてます~」

「ふふっ、そうね。とても助かっているって頼光から聞いてるわよ」

「ホントですか、ご主人様~」

「まあな。お前の怪力には助けられているよ。その分食うから家計的にはトントンだけどな」

「所長さん~。イオをご主人様がまたいじめます~……? 所長さん?」

「あ、ゴメン、怪力で思い出したわ。イオちゃん、今いった敵なんだけれど、当分は追いかけて捕まえるだけでいいからね」

「それはご主人様とこの間約束しました~殺したりするのはご主人様だけなんですよね?」

「そうね、それと、けがしたら大変だから鉄砲を相手にするとかはしたらだめよ?」

「わかりました~」

「それじゃそろそろ作業にもどるか。イオ、テーブルの上のもの片付けとけ」

「は~い」


(トテトテ)


「頼光、ファインプレーよ。あの子はアンタが預かるのが正解だわ」

「だろ? ノア遺伝子研究所以外でイデナイ達の目にとまらないのはココしかないだろ」

「最初は可愛いからだと思ってたけど、アンタも私達体制を維持する側の理屈を理解できる位には成長していたのね」

「理解ね……惑星間のバランスが崩れる事によって起こったポールコンフュージョンと呼ばれる一連の未曾有の天変地異によって地球環境は激変、それまでの文明は大幅な変更を余儀なくされた。三十年の混乱と暗黒の時代を経る中、人間は自らが生存するため、それまで人道的見地から禁忌とされてきたあらゆる科学技術を解放してきた。核融合施設を含めた重化学工業施設は海上のギガフロート上に建設し、居住および農業は火星移住用に設計されていたコロニーシステムを採用し、そこに居住する者のみを国家の保護の対象とした。国家は暗黒時代の混乱した経済を整えるべく金融システムを強力に凍結、数世紀ぶりに農本主義を採用した。しかしこれは国民の生存権を握る巧妙な計画でもあった。今や国民の健康に不可欠になった遺伝子治療技術を国家が管理、治療ルートを野菜による摂取に限定する事で流通価値の根本を農産物に置かせる事に成功した。実際の遺伝子治療野菜の栽培は国が準備した農業生産法人百社に担わせ、同時に新生児の遺伝子を管理、象徴としての遺伝子提供者を為政者とする事で国家の安定を図った。そしてその象徴には同時に芸能活動を行わせる等、娯楽の提供者の役割も担わせている……」

「さっきの意趣返し? 趣味が悪いって言いたいところだけれど、そういう聞いていて嫌な事を聞かせていたっていう事よね。悪かったわ」

「ふん、まぁ仕返しっていうより、気晴らしだな。こっちは妹ほど人間できていないもんでね」

「やっぱりひねくれ者よ。アンタにはここが似合いの場所だわ」

「レイルの終点だからな。俺も新京より香嶋が気に入っている」

「……じゃあこういうのはここまでにして、景気のいい話を持ってきたのを忘れてたわ。近いうちに真緒ちゃんに会えるわよ」

「嘘マジで!?」

「大マジ」

「こっちくんのか? どんな心境の変化だよ、ついに心の扉が開いたのか!」

「そう浮かれないでよ。詳細は後日伝えるけど、アンタが新京に出向くのよ」

「んだよ……、まあいいか直で会えるんだよな、何分?」

「秘密~、せいぜいじれてなさい」

「クッソやっぱ性格悪いわー」

「お互いにね。じゃ、最後まで面倒みるのよ?」

「言われなくとも。じゃーな」


(バタン)


「ハァ……フフッ、シスコンめ」




=============

(サンプルエピソード終了)








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