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セカンド・オリンボス  作者: 翼翔貴 龍
旅の始まり
2/3

新たな仲間

 二人で歩き始めてから街を探し求め数時間が過ぎた。

 いまだそれらしいものは見えず、あるのは燃え尽きた、または燃えている村のみ。

 もともとこの辺りは村が点在している地域だったという。

 そういえば、さっきまで自己紹介もしてなかったけど、よく話し続けてたな・・・


 さっきのことだしはっきりと覚えてるよ。

 だって、十分ほどしかたってないから。

 数時間名も知らずに歩いてた方が奇跡だな。


 切り出したのは私からだった。


「あの、そういえば自己紹介をしてなかったような?」


「あっ、そうでしたね」


「私の名はレオナルド・ヴィカスです。まあここに来る前は軍人をやってました」


「軍人さんだったのね頼もしいわぁ~♪レオナルドかヴィカスどちらでお呼びすればいいでしょう?」


「レオナルドが名前なので、そちらで。それと、向こうでは殉職ということで・・・」


「わかりましたわ。でもこの世界というのもなんですけど、魔法の使えない人間種は剣とこぶしのぶつけ合いが一般ですよ」


「そうですか。人間種はということは、あのデーモンは魔法を使えるということで?」


「そういうことでですよ」


「と、話長引きそうなので自己紹介先にさせていただきますね?」


「あ、はい」


「私はフェルメール・アイヴィス。帝国アラテナクのフェルメール家の令嬢として育てられました。あの村へはおばあ様の看護で行ってたのです」


「令嬢ということは貴族ですか?」


「はい。お父様が政治に関わるようになってからいつの間にかそうなってました♪」


 この世もいろいろあるんだな・・・

 そうやって歩いてると前方にカニが見える。

 そういえばここに来てから一切何も食べてなかったな。

 フェルメールさんに聞いてみた。


「フェルメールさん、あのカニは食べれるのかな?」


「近づかないとわからないけど、たぶん平原ガ二よ。あと公の場以外ではフェルメールって呼ばれると少し困ります」


「あ、了解です」


 食べれるかどうかは近づいて倒せばわかるかな。

 というか倒すというほどのことじゃないかもな。

 カニだし。


 そう思って近付いて行く。

 カニは動かない。

 寝てるのか、死んでるのか・・・

 食べたいから寝てる方にかけるよ・・・

 目の前まで近づき、危ないからと言ってアイヴィスを離れたところに。


 手を伸ばせば届くくらいまで近づいたところで、カニの頭上から手を振り下ろす。

 カニに触れたと思った瞬間。

 姿が掻き消えた。


 あたりを見回してもいない。

 すると、地面が隆起し、左右からカニの鋏と思われるものが出てきた。


「嵌められた!!」


 と叫び、迫りくる鋏を紙一重でかわす。

 よけたところで、地面からさっき見たカニより多少大きいカニがでてきた。

 こちらを向いていない今が好機。

 と思い、ジャンプして踵落としを決める。

 見事に直撃。

 バキンという音が響いた。

 倒しただろうと油断していた所に、鋏が迫る。

 とっさにとった行動は防御。

 まあ、ふつうだね。

 重い一撃だった。

 その攻撃をした後、ドスンと音を立てて倒れたので、決死の一撃。

 まあ、せめて相打ちにでも。

 というつもりだったのだろう。

 攻撃を受けた腕はまだ痺れている。

 この世界に来たからなのか、元の世界での訓練がきつかったのかわからないけど、頑丈でよかった。


 でも、捕まえてすぐに調理というのもできないし、生で食べるのもちょっと怖いし。

 結局引きずって持っていくしか手段がなかった。

 さらに、歩くこと数分。

 遠方に川が見えた。

 川が見えたということは上流か下流に街なり村なりあるだろう。

 希望が見えてきたと感じた僕らは顔を見合わせうなずき合い、歩く速度を上げる。


 数分で川まで着いた。

 何も変わったところがない普通の川。

 ただ、目立つのは水の勢いがとても速いことかな。

 ここは地面が斜めになってるわけでもないのに、こんなに流れが速くなるのかな?

 という疑問が捨てきれなかった。

 しかし、疑問を持ちながらも時間を無駄にはできないと、下流に向かって歩く。

 どれだけ歩いたか・・・

 やっとそれらしい影が見えてきた。

 ラストスパートというのもなんだけど、一旦のたびは終わりだな。

 アイヴィスがこの先ついてくるのかどうなのかは俺の知ったことではない。

 危険だったから助けただけで、この先の人生どうするかは自分で決することだ。

 そしていよいよ街に中に入る。

 門にはハヴェスタと書かれた石碑がある。

 街の名前か?

 まあ、気にすることもないだろう。

 街の中に入る前に数店の店がある。

 なんて書いてあるのかさっぱりわからない・・・

 そう思って、考えていると、横から。


「モンスター買取所ですよ?」


「あぁ、そうなのか」


 これは致命傷だな。

 話は何の障害もなくできるけど・・・

 文字が読めないとは。

 まったく思いもしなかったことだ。

 結局アイヴィスには居てもらわないとだめなのか・・・?

 でも、他人の人生を俺が決めるなど・・・


「あの~?」


 と、横から唐突に声が発せられた。


「あっ、いきなりすいません」


「いえ、考え事をしてたので・・・」


「それで、そのカニをここで売らないと中に入れないみたいですよ?」


「そうなのか!?まあ、しょうがないか」


 店の人に話を聞くと、傷がないほうが高くてなるという。

 さらに、素材や食材になるモンスターなどは買取料金一覧が出ているらしい。

 ただし、冒険者ギルドに登録した人が使えるという魔具<メニューカード>が必要らしい。

 その話を聞いた俺は、冒険者というものに興味がわいた。


 売ったときお金がもらえるけど、何が何だかまったくわからないから、アイヴィスに全部任せた。

 傷が踵落としをした時の陥没だけだったから、食材となる内部の損傷がなく、値段は倍。

 そしてうれしいことに、新鮮ということでボーナス金で+α

 結果8900モーノ

 お金の単位モーノっていうんだ。

 これで、今日は何の心配もなく終える事が出来る。

 街の中に入ってまず、昼ご飯を食べるため歩き食事処を探す。

 俺は字が読めないからアイヴィスに任せきりだけど・・・

 またまた考え事で前が見えてなかった俺はアイヴィスにぶつかってしまった。

 幸いぶつかっただけだったけど。


「アイヴィスごめん前見てなかった・・・」


「はいはい、考え事も程ほどにね~」


「あぁ、気を付ける」


「あとね、ここ美味しそう。ねぇここでいいでしょ?」


「字が読めないから任せるよ」


「やった!」


 そういって上機嫌に中へ入っていくアイヴィスについて行く。

 匂いで気が付いたけど、肉の店かな?

 まあ、注文もアイヴィスに任せようか。


 改めて思うとアイヴィスにまかせっきりだな・・・

 まあ、あまり考えすぎるとまた怒られるし、おとなしくご飯食べようか。



 注文は予定通りアイヴィスに任せた。

 結果。

 アイヴィスが食べたがっていた物が二つ。

 食べ比べながらということだ。

 食べ終わったら、冒険者ギルドでも探そうか~

 ということになって、店を出た後ふらふらと探す。

 見つかりそうもない雰囲気だったから途中途中冒険者と思われる人に聞き込みを。

 そこで得た有力な情報は、この街には無いということ。

 あるのは大きな街か、都市だという。

 都市=国ってことらしいけどね。

 遠いんじゃないのか?

 でも行くしかないか・・・

 これは、あきらめてほかの町に行くしかないなと思い立ち、食料を買い込む。

 十分な食料と飲料を買い、出発する。


 もちろんアイヴィスも一緒に。


 念のため、野宿用の道具も買ってきたから明日の昼くらいまでもつだろう。

 歩くこと数時間。

 日が傾き星が出てきた。

 何とも幻想的な空だ。

 天の川がはっきりと見える。

 さらにはほかの惑星まで・・・

 こんな光景見られるとは思ってもいなかった。


 すると青く光るものが点々としているところに遭遇。

 まだ明るかったから見えたけど、真っ暗だったら見えないなこれ。

 まあ、これは鹿みたいだな。

 でも、角は一本か。


「あれはホーンガゼルの派生個体かな?」


「ということは、ホーンガゼルではないと?」


「たぶん、アイスホーンガゼルです」



「どうするべきなんだ?」


「あの角に触れると凍るらしいです。それと、魔法も使ってくるので素手では厳しいと・・・」


「まあやってみるか」


「おい?正気かお前?死にたいのか?」


 と後方からの声。

 アイヴィスが振り返ってあっ!と声を出す。

 俺も振り返ったけど、日が落ち人影くらいしか見えなかった。

 すると、アイヴィスが。


「あれ?レミリア?」


 と言った。

 知り合いか?

 という疑問。

 そしてその疑問はすぐに明らかになった。


「アイヴィス?アイヴィスなの?なんでこんなとこにいるの?」


 その質問からこれまでの経緯を話すアイヴィス。

 俺はただ話してる横で見てるしかできなかった。


 話が終わるころには四つの月が青白く大地を照らしていた。

 意外と明るいんだなと思った。

 そして、さっきアイスホーンガゼルと戦おうとして止められた理由を聞いた。


「ホーンガゼルもだけど、体内に魔力を持ってるモンスターは生きてるうちは極力素手で触らない。それが基本よ。最悪触れた部分が使い物にならなくなる」


「そうなのか、と言っても武器なんて持ってないし・・・」


「どうせなら、冒険者ギルド行く?」


「えと、どこにあるかわかるんですか?」


「あたりまえじゃない!」


「これは失礼・・・よければ案内を・・・」


「事情は分かったし、一緒に行動してあげる」


 と言われ、安堵した。


 それからは、買ってきた簡易テントを張って寝た。


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