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セカンド・オリンボス  作者: 翼翔貴 龍
旅の始まり
1/3

第三次世界大戦と新たな世界

 2187年

 今現在、第三次世界大戦が起きて82年が経った。


 戦争の原因は人口の増加による土地を取り合う言い争いから始まった。


 2047年にある国が核兵器を量産し、試射をした結果、

 世界各国が戦争に対して「もうこれ以上戦争を避けて通るのは無理なのでは?」と軍事力を上げ始める事になった。


 そして、2100年各国首脳が集まり会談をして、人口増加問題に対する話し合いにて、「こんなにも人口が増えたのに、こんなにノロノロと話してて良いのか!」と言い放ち、周りが静まった時、「我が国はこれ以上人口を抱える事は出来ない。」という国が、多数出てきた。


 そして、ある程度出たところで、「もし、話し合いで決まらないのであれば、戦争をする覚悟は出来ている。」と、ロシア「ほぼ全ての国で軍事力を強化しているのだ、戦争をしても他国と手を組まれては不利だ、1つルールを決めよう。」と、アメリカ「そのルールは、他国と手を組んではならない。組んだ事が分かり次第、その当事国を全ての国で総攻撃を仕掛けるものとする。」

 この一言で、第三次世界大戦の開戦が決定した。


 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「開戦は5年後の2105年にしたいですね。それまでは、準備期間としましょう。」と日本。

 この案に反対する国はいなかった。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 そして、2105年開戦の時。

 初撃は、オーストラリアの潜水艦が放った魚雷がハワイに着弾した。

 これが合図になったのか全ての国で攻撃が始まった。


 それから。82年で

 約126の国が滅び、残る国は66となった。



 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 そして18年経った。

 あれから、37の国が滅び、残る国は29ヶ国

 私は、アメリカ軍に所属するレオナルドだ、年齢は18。

 戦争の真只中に生まれた子供。


 この時代のアメリカでは、貴族制となり、軍人が戦闘を、貴族が政治を行っている。

 だが、こんな世の中政治がまともな訳が無い。

 こんな貴族になるぐらいなら、軍に入り、心身共に鍛えた後、この国を良くしてみせる!

 という気で軍に入ったが、訓練は1週間も無かった。

 直ぐに実戦投入されたわけだ。


 初陣は、大国の中国との戦争だった。

 砂漠の下に穴を掘り、少しずつ都市の真下に向かって穴を繋ぎ、洞窟とも言える穴は、

 言い方は悪いが、下水道のように何本もの道に別れていた。


 その道に、爆弾を仕掛け、都市を手っ取り早く落とす。

 という作戦だ。


 爆弾の量は、ダイナマイト690本、核ミサイル5発、誰が発案したのか、花火玉720球、というものだ。

 それでも、確実に落とすことを前提に決めたことだ。

 異論はあったかもしれないが、そんなに気にすることではなかったのだろう。


 爆発方法は、下に爆弾があると最後まで気付かせないために、ミサイルに気を取らせ下を気にする事も出来なくし、ミサイルを多数都市中心部に落とす。

 つまり、誘爆で全てを爆発させるということだ。


 そして、作戦は開始された。

 中国都市部にはスパイがいるから、上の情報は直ぐに入って来る。

 危険な時は、即時退却。


 まず始めに、核ミサイルを四隅、中心に置き、道全てにダイナマイトをばら撒く。

 最後に花火玉をいろんな所に転がして、準備は整った。


 本部から、作戦を実行する。

 速やかに退却せよ。


 との命令が下り、直ぐに走って地上へ上がる。

 本部からは、ミサイル発射、5分後着弾。

 と、説明が来た。

 5分の間に、10キロも離れる事は、100年前では不可能だっただろう。

 しかし今では、リニアモーターカーの技術が発達し、1分で5キロ進むことが出来る車が約500台生産されていた。

 数が500と少ないのは、コストが高く、全て手作業で作る等で生産スピードが遅かったのもあるが、1番影響が大きかったのは、第三次世界大戦が始まるという事で、日本の技術者が国内に居なくなったのと、日本本国からの部品が入って来なくなったことだ。


 5キロ離れ、そのまま、ロシアの戦闘に加わるのが、本命だ。


 ロシアを落せば、残る国は、日本、オーストラリア、ブラジル、アフリカ、イタリア、イギリス、エジプトが主な強国となるだろう。


 10キロまで進んだところで、後方では作戦が成功した。

 空に向って進む黒煙が5本、核ミサイルの爆破による物だろう。

 他には、花火の花が咲いている。

 あまり目立たないが。


 その後、ロシアに到着し、本陣に向かう組と、別作戦隊に別れる組み合わせを決め、直ぐに行動する。


 私は、本陣に合流する組みに配置され、直ぐに向かった。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


 本陣に着いた頃にはもう遅かった。


 壊滅状態だったのだ。


 理由は、ロシアの秘密機関が作っていたのであろう、戦闘獣、無人戦闘ロボのせいであることは、確実であった。


 これらの情報は、全くと言っていいほど無かった。

 ロシア地下では、中国と同じ作戦を行っているはずだが、こちらでは、都市だけでなく、ロシア領全てを一瞬で落とす事を求められている。


 その為、どうしても時間がかかってしまう。

 今は、爆破物を運ぶ作業に入っているであろう。

 しかしここまで進めるため、約10年かかっている。


 だから、作業が終わるまでは、ここで敵を足止めしないといけなかった。

 しかし、相手の情報が無くては、対応することさえ出来ない。


 そこで考えたのは、この車が壊れ、足が動かなくなるまで逃げ回る事だった。

 命懸けで作戦を守り、本国に帰還する事を誓い、

 走り出す。


 2時間が経っただろうか。

 今、私は力尽き、倒れ伏している。

 敵はすぐそこだ、見つかるのは時間の問題だろう。

 その時、作戦本部から、ロシア爆破作戦を実行する。

 と、連絡が来た。

 だが、体が動かない私はどうする事も出来ない。


 爆破によって死ぬか、敵に殺されるか。

 その二択。


 私は、敵に殺されるぐらいなら、自国の作戦による死を望んだ。


 そして、上空に500を超えるミサイルが見えてきた。

 死を覚悟し、隊長に「短い時間でしたが、お世話になりました」と告げ、瞳を閉じた。

 無線機からは、隊長が何処に居るのか、等聞いて来ているが、今返事をしてしまうと、死にたくないと思い、苦しむだろう。


 そして、ミサイルがロシアに着弾した。


 3発目が着弾した瞬間、核ミサイルが爆破し、爆風が私を包み込んだ。

 風に揉まれ、手足が千切れ視界が無くなった。



 その後、爆弾が誘爆を起こし、核ミサイル275発が全て爆発し、ロシアは落ちた。


 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 私は死んだ。


 そう、爆風に包まれ手足が千切れ………


 しかし、体に感覚が戻っている。


 なぜなのか、わからない。


 目を開けることは叶わない。


 状況がわからない中、眠気だけが襲って来る。


 対抗していたがついに負け、夢の世界に落ちてしまった。



 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★



 此処は………


 そうか、死んだんだったな。

 しかし、此処はどこなんだ?

 感覚は死ぬ前と同じようにちゃんとある。

 かと言って、爆発後に生き残ったとして無傷な訳が無い。

 うーむ。

 とりあえず、ずっとここで寝てるわけにはいかん。

 餓死してしまう。

 街を探すか……

 と言っても、どこへ進めばいいか全くわからない

 フラフラ歩くと危険だし、せめて武器でもあれば生き延びる事は出来るだろうが。

 そういった類は一切ない。

 道中拾う事が出来ればいいが、希望は薄い。

 格闘技に関しては、あまり期待していない。

 何故かって?

 教官に一度も攻撃を与えた事はない。

 全て躱されたのだ。

 今更そんな未熟な格闘技を使おうとは思わない。

 とりあえず、もう縦横無尽に歩き回る事を決めて、街とか村とか何でもいいから見つけて食事を………

 しかし、目を凝らして見えるものは、右手の森林、左手は何も無い。

 前は山、後ろは………あれは煙か?

 何故気づかなかったのか?

 兎に角、彼方で煙が上がっている。

 誰かがいると思っていいのか、まあ、宛もないから見えるものに従おう。






 ついた。

 燃えてるのは、村か?

 木造の柵で外敵の侵入を防いでるのはわかるが、心もとない。

 銃で撃ったら、吹き飛ぶであろう薄い板だから。

 そんなことを思っていると、何かが中から走って来る。

 美しい女性だ。

 かなり息が切れていて、フラフラ走って来た。

 と、その時女性が転びかけた。

 それを見た俺は走り、スライディングをして受け止めた。

 そして、火の粉が舞っているから、少し離れた方が良さそうだと女性を抱え、村から距離をとった。

 すると、村上空に何かが見える。

 羽が生えた………あの黒いのは………なんだ………。

 まさか、悪魔とかいう生き物か?

 ということは、死んでこの世界に転生でもしたというのか?

 ありえん。

 そんなことが起きるはずが…………

 いや、現実を見ろ、夢だったらとっくに目覚めてるはずだ。

 異世界…………

 今までは、そういう本を見て内心ではバカにしていた。

 しかし、今は自分が異世界という所にいるのか?

 次々と疑問が浮き全てを否定する事などできやしなかった。

 途中、転生ではなく、転移では?

 という疑問が出てきたが、爆風によって手がちぎれるシーンは脳裏に焼きついている。

 つまり、確実に転移ではない。

 考え事をしてるうちに下を向いていたのだろう。

 顔を上げると、羽が生えた黒い生き物が此方へ向かってくるのが見えた。

 まさに蛇に睨まれた蛙

 負けるとわかっていてかつ逃げなければいけない事もわかっている。

 しかし、一向に足が動かない。

 しかし、気を失った女性をこのまま置いて逃げるなどできない。

 闘おうにも、武術のみ………

 本当に何もできない。

 情けないな。

 たった人1人すら護れないのか。

 前世(?)では妹が捕られた時銃を向けられ必死に生き残ることだけを考えてた。

 しかし、危機が去ったあと後悔が波のように押し寄せてきた。

 もうそういう辛い後悔はしたくない。


「おいお前ら、何か用か?」


 と大声で叫ぶ。

 すると、顔を見合わせて笑っている。

 笑い終わると、


「その女を渡せ、命だけは逃してやる」


 と、静かに言い放った。

 話し合いじゃ無理そうだと判断し、最善策を考える。


「陸上で勝負しろ」


「ほう、やる気か?我らデーモンと」


 デーモン………

 ここは異世界だと信じるしか道はないかもな。


「やってやるよ、ただで渡すなんてプライドが許さんからな。ただ、陸上から翼を使って飛ぶのは無しだ、それと、1vs1の勝負だ」


「それぐらいは手加減してやろう、羽が使えなくても人間種など相手にならんけどな」


「よく喋るじゃないか、それと、そこらの人間とは鍛え方が違うんでな」


「ほう、それは楽しみだ」


「負けた方が手を引く。条件はこれでいいな?」


「承諾しよう」


 そう言い、地上に降りてくる。

 降り立つ前に女性を後方へと移動させる。

 降り立った時砂塵が舞った。

 奴の前に歩き、睨み合う。

 二人の間は約4m。

 俺は右足を引き体制を整えた。

 デーモンは降り立った状態からピクリとも動かない。

 俺は右足で大地を蹴った。

 すると、


「あれ?浮いてる?」


 敵に突っ込んでいく。

 止まれない。

 デーモンはひらりと躱し、手を引き走って来る。

 それを、手をクロスして受け、突き放す。

 よろめいている一瞬の隙に膝に蹴りを入れる。

 それをギリギリで後ろに下がって躱し、構えなおす。

 俺もすぐに立ち構えなおす。

 これは、本で読んだあれか?

 異世界に行ったら肉体が超強くなっているとかゆうあれか?

 もういい。

 考えるのは勝ったあとだ。

 先程と同じように構え、突進する。

 デーモンが躱した瞬間、尻尾で追撃してきた。

 その尻尾を身を翻して体で受け止め、掴んだ。

 相手の表情が初めて変わった。

 尻尾を掴んだまま振り回し、地面に叩きつける。

 その衝撃で地面が窪み、デーモンの型が出来た。

 それでも意識があった為に、もう一度振り回し、今度は近くにあった岩に投げる。

 勢い良く岩に衝突し、岩は大破。

 デーモンは地面に倒れ伏せている。

 それでも立ち上がろうとしていたので、走って近づき、尻尾を掴むと、思いっきり投げた。

 それを見た残りのデーモンは、


「くそ、覚えてろよ」


 と言う言葉を残し、投げ飛ばしたデーモンを追って行った。

 とりあえず今日は助かったわけだ。

 この世界では格闘技使えるかもな。

 と思いながら、女性の方へと歩く。

 すると、彼女は起きていた。


「あの……助けてくれてありがとう……ございます」


「いや、いいよ気にしないで」


「もう向こうから私を狙ってくる事はないと思います。次来るとしたら貴方を狙って姿を見せると思います」


「何かあいつらのことを知っているのですか?」


「知っていると言っても、信仰神だけですけど」


「信仰神とは?」


「えっ?貴方どういう事?」


「あっ、いや、多分別の世界からこの世界に飛ばされたんだと思うんです」


「!?」


 それってもしかして、誰かが禁断の古魔法を使用したということ!?

 いや、そんなことを実行しようとする国など、いや、戦争を使えば不可能ではない。

 でも、何処に出現するかわからない者。更には何が出現するかわからない魔法を使用する馬鹿な王は…………


「どうしたのですか?」


 と言う問いかけにハッとして、


「すいません、考え事を」


「そうですか、信仰神の事を教えて頂いてもよろしいですか?」


「あっ、はい。信仰神はこの世界に存在する12ヵ国全てで違い、どの国に属すかを簡潔に表すものと言う感じです。ただ、一国のみ全ての神を信仰している国がありますけど。まあ、それにより12の神が存在していると証明出来てるのです。しかし、神によって信仰の仕方が違います。先程のデーモン達は、悪魔帝国ヴェルセポネの国に属し、信仰神は悪魔美姫神ヘラ・ヴェルセポネ。この神は美を保つために月に一度100もの人間の女性を要求するのです。今回この村が襲われた理由は生け贄の確保が目的でしょう」


「生け贄とはなんと卑劣な………」


「いえ、こうしないと神の怒りを買い国が滅ぶでしょう。これはどの神でも一緒だと思います。12ヵ国あると言っても、神の有る国、有神国の数ですから。そこが滅べば神が別の小国に移動し新たな有神国として成立させるのです。ですから、怒りを買うことは誰も望んではいないのです。神の間と言う神々の会議とやらで話し合い神々同士で正式に決めた事と言う説もありますし………」


「そうか……」


 重い話だな。


「とりあえず、何処かへ行かないと死んでしまう」


「そうですね、折角助けて頂いた命無駄には出来ません」


 そういいニッコリと微笑んだ。

 こうして、二人の宛てのない旅が始まった。


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