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第零章 午前二時四十分
第零章 午前二時四十分
「なあ****」
「何じゃ、急に改まって」
「今更なんだが、本当に****って呼んでいいのか?」
****と呼ばれた少女は怪訝そう表情を見せた。
「いいも悪いも、それがワシの本名じゃからのう。今更『**』などと呼ぶ必要は無いじゃろう」
「いや、まあ、確かにそうなんだが……」
「おヌシの言いたいことはわかる。確かに、ワシにとってはその名というものは忌むべきものかもしれん。その名によって伝えられたワシの本性は、お主らにとっても忌むべき存在じゃ」
そう言った****は、しかし笑顔のままだった。
「じゃがのう、やはりワシはおヌシから****と呼んでほしいのじゃよ。確かに、どう行動するかを決めるのは自分自身じゃが、一方でその本質というものを変えることは出来ぬとワシは思っておる。じゃからこそ、自分が何者であるかを忘れぬために。そして、そんなワシが今ここにいることを、おヌシが忘れぬために、じゃ」