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魔剣カタナとそのセカイ  作者: 石座木
第一章 聖騎士と従騎士
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第二十五話 非難と指南

 バチーーーーーーーーーン!!

 

 平手が頬を打つ音が、大きく響き渡った。

 殴られたのはカタナ、そのいきなりのもてなしに抵抗することなく、自分を殴った人物から向けられる怒りに、正面から向き合う。

 殴ったのはカタナがよく通っていた喫茶店の、ウェイトレスを勤めていたリーネだった。

「アンタ、今まで何やっていたのよ!!」

 物凄い剣幕で睨み付けながら、リーネはありったけの怒りをカタナにぶつけた。

 それは言葉だけでなく拳と蹴りをまじえたもので、容赦なくリーネはカタナを殴って蹴って、留まるところの無い怒りを向け続ける。

「痛っ……」

 それが一時的に止んだのは、リーネの怒りが発散されたわけでは無く。我を忘れて本気で殴り続けた事で、拳の骨が砕ける一歩手前までの怪我を、負ってしまったからだった。

 それだけ我慢しきれないものだったのだろう。

 実際カタナが抵抗しなかったのは、リーネからどんなに攻撃を受けても平気であるからという事が理由では無く、その怒りを受け止めるべきだと思ったからだった。

「こんの……!!」

 それでもまだ、リーネは皮が裂け血の滲んだ拳を握り、それを振りかぶる。

「待って下さい!! 少し落ち着いて!!」

 流石に止めるべきと判断したのか。カタナの横をすり抜けて、カトリ・デアトリスがリーネの腕を掴む。

「誰よアンタ!? っていうか、放しなさいよ!!」

 リーネは掴まれた腕を振り解こうとするが、単純に女性同士でも鍛えられているカトリとでは力に大きな差があるらしくビクともしていない。

 そして勢いを削がれた事で気が抜けたのか、リーネはその場にへたり込んでしまった。

「……放してやれ」

 カタナが告げると、カトリは少し不安そうにしつつも、掴んだリーネの腕を放した。

「隊長……」

「解っている」

 カタナはへたり込んで俯いたままのリーネの横を通り抜け、眠っている様子のヤーコフの所まで進む。

 今カタナがいる簡易テントはそれなりに大きく、二十人くらいは簡単に入るスペースがある協会騎士団御用達のものだが、実際に今その中に居るのはカタナ、カトリ、リーネ、そしてヤーコフの四人のみ。

 カタナ達が来るまでは二人しか中に居なかったが、その理由はヤーコフを見た時点ですぐに理解できた。

 リーネがカタナに怒りを向けた理由も。

(……負傷したと聞いてはいた。しかし、これは……)

 ヤーコフの傍らに膝をつき、カタナは自分の副官の姿をその目に刻む。

 ほぼ全身に包帯が巻かれ、おそらく応急処置しか出来てないからか、数ケ所からは血が滲んでいる。

 顔の半分も覆い隠され、特に右目にあてられたガーゼが赤く染まっているのが気になったが、それ以上に目を引く部分があった。

 ヤーコフの右足、その膝から下が失われていたのだ。

(こんな状態で、指揮を執っていただって? 普通なら、意識を保っているだけでやっとの傷だぞ……)

 本来ならすぐに医者に掛かり、手術か治癒魔法による手厚い看護が必要な所だ。この環境では難しくとも、無理に避難している市民に同行せずに、馬で先にある町まで走らせれば何とかなったかもしれない。

 しかしそうすれば、この場を指揮する者が居なくなる。ヤーコフにはそんな誰かを見捨てるような真似は、絶対に出来ない事だろう。

「……ヤーコフさんは、見た事もないような大きな黒い竜が現れた時に、街の皆を逃がす為に一人で立ち向かったのよ……」

 カタナに背を向けたまま、リーネは涙声で話し出す。

「ヤーコフさんが時間を稼いでくれなければ、きっともっと被害は大きかった。私も……あの時広場に居た人達は、全員死んでいたかもしれない」

 カタナはサイノメから聞いていた、魔竜が現れた時の事を思いだす。市長が発現した魔術陣に霊力を吸い取られた事で、広場に居た市民達は一時的な疲労によって動けなくなった者は少なくなった筈だ。

 おそらく今この場に居る者のほとんどは、その時に広場に居た者達だろう。

「……ヤーコフさんがいなければ、騎士達も自警団も今のように機能しなかった。みんなヤーコフさんに勇気を貰って、ヤーコフさんの負った傷に報いる為に今も危険を冒しているの……」

 ポタポタと滴が落ちる音がする。

カタナには背中越しに感じるその音が、殴られた時よりも自分に痛みを与えている事を実感した。

「……それなのに、それなのに……アンタは何を……今の、今まで……」

 嗚咽交じりに責め立てる言葉は、解っていた事でもカタナの胸に突き刺さる。

 カタナは自分の感情の動きが、あまり大きくは無い事を自覚している。それが魔元生命体ホムンクルスとしてなのか、それともこれまでの生でそういう人格が形成されてしまったのかは、今となっては解らないが。

 それでも決して無感情ではない。表に出さない事も多いが、大きく揺るがされる事もあるのだ。

(感情の無いただの木偶であるのと、どちらがいいのだろうか……)

 そんな事を思いながらも、消え入りそうなリーネの言葉を一つ一つ胸に刻んでいく。

「やめて下さいっす」

 カタナを責め立てていたリーネの言葉が止む、止めさせたのは眠っていた筈のヤーコフの言葉だった。

「ヤーコフさん!? 起こしてしまいましたか……?」

 リーネは驚きつつ、ヤーコフに向かって駆け寄ろうとするが、ヤーコフはそれを言葉で制した。

「大丈夫っす、それで申し訳ないっすけど、リーネちゃんは少し席を外してもらえないっすか? これから、隊長と話さなければならない事があるので」

 その言葉にリーネはショックを受けた様だった。

「で、でも……」

「僕は大丈夫っす、それにリーネちゃんも僕の看病で疲れたでしょうから、少し休んでくださいっす」

 気遣うようであったが、その実有無を言わせないものが、ヤーコフの言葉の裏にあるようだった。

「……はい」

 結局それに押されてリーネはテントから出て行った。

 


++++++++++++++



「……悪かったな、起こしたみたいで」

 初めて自分の副官と、どんな顔をして接すればいいのか解らなくなったカタナだった。口から出た言葉も、呆れるくらい当たり障りのない言葉。

「いいえ、充分休ませてもらいました。それより隊長が無事に戻られて嬉しい限りっす」

 そんなカタナに、拍子抜けするくらいヤーコフはいつも通りに接した。

「あ、デアトリスさんも無事だったんすね。良かった、二人とも無事で。実は結構心配してたんすよ」

 心底ほっとしたように言うヤーコフに、カトリは困った顔で会釈を返す。どう見ても心配されるべきは逆に決まっていた。

「俺達よりも、自分を心配しろ。重症だろうが……」

「はは、ちょっとドジってしまって、面目ないっす……それで隊長に一つ謝らなきゃいけないのことが……」

 そう言って誤魔化すように笑みを作りながら、ヤーコフはテントの隅に視線を送った。

「――?」

 その視線につられるようにカタナもそちらを見る。そこには何やらボロボロの黒い布切れが置いてあった。

「何だあれは?」

「……隊長の外套の替えっす。ちょっと借りるだけのつもりがあんな姿に」

 それは魔術や魔法に最上級の耐性を誇る、三連魔法印・守天導地が刻まれた、カタナが愛用している外套のなれの果てだった。

「別にどうでもいい。保険程度に使っている物だしな」

 確かに貴重な品ではあるが、今は心底どうでも良かった。

「え!? 怒らないんすか?」

「お前の今回の功績を思えば、取るに足らん物だろ。役に立ったのならそれでいい……お前は良くやった」

「……え?」

 ヤーコフは何か理解できないような疑問の表情を浮かべ、カタナの顔をじっくりと見た後、カトリの方に視線を送った。

「どうかしましたか副隊長?」

「ああ、あの、隊長が何か変に優しいんですけど、ここにいるのは隊長で間違いないんすよね?」

 ヤーコフはカトリに尋ねるが、そうした事でカタナの視線が鋭くなった。

「……どういう意味だ?」

「ひ、いや、だっていつもならそんな労いとか無いし。前に隊長の制服を洗濯した時に破いちゃった時は殴ったじゃないっすか」

 確かに以前にそんな事があったのをカタナは思い出した。

「あれはお前の過失……いや、そんな事はどうでもいい。それよりも他に何か話す事があるんじゃなかったのか?」

 若干カトリ・デアトリスからの冷ややかな視線を感じたカタナは、話題を変える事にした。

「……ああ、さっきリーネちゃんに言った事っすか?」

「そうだ、あのウェイトレスをわざわざ下がらせたのだから。重要な事なんだろ?」

 四人いる内の一人といっても、リーネはヤーコフの恋人であり、さっきの様な強い態度で接するのはまれな事だった。

 おそらく部隊の中だけでのみ留めておく話をするのだとカタナは思っていた。

 しかし、なぜかヤーコフは言い難そうに言葉を濁している。

「……それは、いや、その」

「早く言え」

「は、はい! 実は外套をボロボロにしちゃったことで、隊長から鉄拳を貰うと思っていたので、乱闘にならないようにリーネちゃんに下がってもらっただけでありますすいませんでした!!」

 ヤーコフは言いながら、段々とカタナの視線が冷たくなっていくのを感じ取り。流れるようにノーブレスで謝っていた。

「……なるほど、お前が俺を普段からどう見ているのかよく解ったな。つまりは俺が、怪我人を痛めつけるような外道だと思っているわけだ」

「あ、いえ、そんな事はありませんですよすいません」

 ヤーコフは魔竜と対峙した時には感じなかった、心底からの震えが体を支配するのを感じとった。

「……隊長」

 釘をさすように、カトリが後ろからカタナに声をかける。

「解っている、コイツのせいで調子が狂っただけだ。俺は何もしない」

 それだけでカタナからの冷ややかな空気は消え去り、ヤーコフの震えも止んだ。

 ヤーコフの目には、その時のカトリが女神のように映った。


「お前から何もないのなら、俺から言っておくことがある」

「え、何すか改まって?」

 またしても疑問の表情でカタナを見るヤーコフ。

 まずカタナが言うべき事は、ここに来る前から一つ決まっていた。今ではそれが更に重い意味を持っている。

「すまなかった」

 そう言ってカタナは頭を下げる。寝ている形のヤーコフと同じくらいの高さの所に、カタナの頭があった。

「な、何故?」

 本気で訳が分からずに、ヤーコフは呆然とカタナの頭を見ていた。

「市長の企みに気付かずに踊らされ、ゼニスを離れている間にこんな事態になってしまった。お前には特に苦労をかけた……」

 その言葉を聞いて、ヤーコフはようやく理解した。そして湧いた感情はカタナに対する怒りだった。

「……隊長。僕は今、初めて本気で隊長に腹が立っています」

「……だろうな」

 カタナが頭を上げると、さっきまで普通にしていたヤーコフの表情が、見せた事の無いような鋭いものに変わっていた。

 それも当然だとカタナは思った。魔竜が現れた時にカタナは別の場所にいて、ヤーコフは魔竜を相手に右足を失うほどの負傷をした。それ以降もカタナの不在を補うために、満足な治療も受けられないまま指揮を執る羽目になった。

 しかし、カタナは気付いていなかった。ヤーコフが怒っている事は全く別の事であると。

「今回の事は、ただの僕の力不足っす」

「何?」

「その場に居て市長を止められなかった事も、現れた魔竜を倒せなかった事も、ゼニスで起こった事は全部、ゼニスに居た僕のせいっす。別の場所に居た隊長が、僕の責任を勝手に取らないで欲しいっす」

 そう、ヤーコフが怒っているのは、カタナが全部背負い込むように、全部自分のせいでこうなったとでも言うように、頭を下げた事に対してだった。

 そしてここに来る前に、カトリがカタナに言いかけた事もそれと同じ事。

「陽動だったとしても、実際に隊長が向かった方には魔人が居たんすよね?」

「ああ、おそらく市長と手を組んでいた者だろうな。待ち伏せされていたようだった」

「隊長はそれを倒してからここに来た、それで間違いないっすよね?」

「……まあな」

 まるでそれが当然の結果だというように、断定の疑問でヤーコフはカタナに聞く。

「隊長は隊長にしかできない事をやり遂げてきた。僕が行ってれば返り討ちだったでしょうし、そうなれば結局隊長が動かなければならなくなっていた筈っす。そうなると、市長の企みを止められるのは、結局ゼニスには僕しかいなかった訳っす」 

「いや、無理に動かずに、最初から本部に援軍を頼むという手もあった」

「そうすると、時間が空くことで山賊と魔人によって周辺の村に被害が出ていた筈っす。まともな援軍が来るとは限りませんし、それも結果は同じ。つまりは、隊長が動かざるを得なかったのは確実っすね」

 普段はチャラチャラしているのに、こういう大局的な視点での頭の回転は、意外にもヤーコフはとても早い。

 かつて本隊の正騎士であったのが伊達では無く、部下をまとめる能力がカタナよりも数段優れていると、サイノメは以前にそう評価していた。

「つまりは隊長が謝るのはお門違い、自分のせいだと感じるのは勘違いも甚だしいって事っ……痛ああああああああああああああああああああい!?」

 今度こそ、カタナの鉄拳がヤーコフを殴りつけてしまっていた。

「……」

「隊長!? 何やってるんですか!! 相手は怪我人ですよ!!」

 いきなりの事に反応できていなかったカトリが、慌てて止めに入った。このテント内で妙な役回りが定着してしまっている。

「そう慌てるな、いくら俺でも追撃するほど外道じゃない」

「そういう問題では無く!! そもそも何で殴ったんですか!?」

「……衝動的なものだ、気にするな」

 単純にヤーコフが調子に乗りはじめたのが気に入らなかったとか、頭を下げた上司の面目を空気を読まずに潰した事とか、そんな理由。

「だ、大丈夫っすよ、デアトリスさん。急所は外れてますから」

「当たり前です!!」

 見当違いの事を言い出すカタナやヤーコフに、カトリは本気であきれ返る思いだった。

「それに、隊長はやっぱりこれくらい傍若無人でないと調子が出ないっす」

「……同じような事を、他の部下も言っていた」

 それにはカタナも、自分の部下達が被虐的な趣向に目覚めているのではないかと、流石に心配になる。

「僕らはそれだけ隊長を頼りにしてるって事っす。その隊長にはどっしり構えてもらっていないと、僕らも不安になっちゃいますからね」

「確かにそうだな」

 カタナは自分が考えすぎていたという事に、ようやく気付かされた。

カトリが言った『憐憫や同情は必要ない』という事の本当の意味も。

カタナの部下はカタナが思っている以上に強く、カタナはカタナ自身が思っている以上に弱かった。

それでも頼られるている限りは、それに答えるだけ。それだけでいい。そんな単純な話だった。



++++++++++++++



「では本部からは、早くて二日後に竜騎士隊が到着する予定なんすね」

 カタナはサイノメから聞いている通りの結果をヤーコフに伝えた。

 ヤーコフはサイノメの事をただの秘書官としか思っていないから、サイノメの転移魔法の事は隠す事になったが、ヤーコフは事実だけをすんなりと受け入れた。

(もっとも、サイノメの転移魔法については俺も詳しく聞かされてないがな)

 あれが魔法なのかも怪しい。だが実際に長距離を一瞬で移動できるのは事実なので、カタナもそれを事実だけ受け入れている。

 それにサイノメのいない所でそれを考えても仕方ない。今は別の事に集中する時だ。

「一番いいのは援軍が来るまで魔竜から逃げ切る事だが……」

 吉報と言えるかは微妙な所だった。

 現在は眠っているらしい魔竜の動きがどうなるのかが、まるで読めない。知能が獣そのもので、交渉の通じる相手ではない以上はそうなってしまう。

 知能があっても、いきなり燃やそうとしてくる者も居るので同じことかもしれないが。

「ゼニス市街に作ったらしい巣で、のんびりしててくれる事を願うな」

「そうっすね、でも正直厳しそうっす。じいちゃんが言ってましたが、魔竜は一日の半分は眠って過ごすけど、もう半分は狩りに費やすそうっす。巨体を維持する為にはそうするしかないみたいなんですが、今はゼニス周辺に動物はいないと思いますからここはきっと一番危険でしょう」

 ヤーコフは客観的にそう判断した。最悪の事態の時はという仮定であるが、その時の事を考えておくのは一番重要だった。

「……そうか、しかしお前の爺さんは魔竜とも戦った事があるのか? 前に大戦の生き残りだと言っていたが」

 魔人や魔竜と戦って生き残った者はそれだけで希少だ、協会騎士団でもそういう経験のある者は要職についている者も多い。

「え? それはどうなんでしょう? あんまり詳しく聞いた事は無かったっすけど。それに、結局のところは魔竜に出来る対策は無いから、見かけたら迷わず逃げろって言ってましたし」

 ヤーコフの爺さんは以前に魔人への対処法でも、同じような事を教示していたと言っていた。

「つまりお前は爺さんから言われていた事を、二度も破ってその様だという訳か。年寄りの話は聞くものだな」

「……それは今はいいじゃないっすか、それよりも援軍が間に合わなかった時の魔竜の対処を決めておきましょうか」

「その時は俺が魔竜を引き付ける。お前らは市民を守れ、以上」

「……そんな簡単に」

 あっさりと決めるカタナに、カトリが口を挟む。

「クーガーがいるからな、時間稼ぎくらいは出来る筈だ」

「確かに適役ですが……しかし、それではまた副隊長の負担が」

 カタナの部下達にはカトリを含め指揮を執る事は無理であるし、そうなれば引き続きヤーコフがそれを負う事になる。

「僕は大丈夫っす、出血は止まりましたし、馬に乗れば片足が無くても支障は少ないっす」

 そう力強く言われれば、カトリとしては代わりが出来ない分否定しかねる事だった。

「適材適所、というには手が足りていないがな。お前はヤーコフの補佐に務めろ」

「……それは構いませんが」

 流石にカタナについてくるとは言わなかった。カトリにも出来る事とやるべき事は見えているようだ。

「決まりでいいな?」

 カタナは確認の為にヤーコフに問いかける。

 ヤーコフは少し考えた末に頷いた。カタナだけに囮役を担ってもらう事に異論がないわけでは無いが、現在の状況では結局それが一番であるという事に落ち着いたのだ。

「では隊長とデアトリスさんは、出発まで休んでいて下さいっす」

 今日の所は日が落ちてしまったという事もあり、この場でキャンプとなった。

 もっともテントが足りていないので、ほとんど野宿に近いが。

「副隊長も休んでください」

「僕はさっき寝たんで平気っすけど、仮眠はちょくちょく取るつもりっす」

 有事の際に混乱をさせない為に、指揮権はヤーコフが持ったまま。目印として解りやすいこのテントも基本ヤーコフが使う事になった。

「俺は少し出ているぞ」

 ヤーコフの補佐をするカトリはテントに残り、カタナは一人だけ出て行った。


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