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小学生の頃の監督へ

作者: 田尾風香
掲載日:2026/04/19

短いお話しです。

「コラァッ! 何やってんだ! チェンジだぞ!」


 小学生の頃、よくこうやって監督に怒られていた。


 野球チームに入団。練習は真面目に取り組んでいたつもりだけど、試合になるとよくサボった。特に、チームが攻撃のときなんて、バッターの順番が自分に回ってこなければ、いなくたって困らないじゃないかと、友人と抜け出していたものだ。


 それで、守備になっても戻るのを忘れて、監督に怒られてたわけだけど。



「確かにさ、あの頃のオレたちって、最低だったとは思うけどさ」

「バラすなよって思うよな。普通こういうときのエピソードって、良いこと言うもんだよな。練習を真面目にやってたとかさ」


 あの頃抜け出した友人と愚痴を言い合う。たった今、小学生時代の監督がテレビの前で、オレたちのエピソードを紹介……というか、黒歴史を暴露してくれたところだ。


 世界を舞台に活躍するようになったオレたちに対して、そんなことを言える人なんて、そうそういない。そういう意味では、このテレビ局は実に嫌な人物を見つけてくれたものだと思う。


「……まぁ、いいさ。今度の大会できっちり結果を出してやればな」

「ああ。世界一になって、監督に言ってやろうぜ。あの頃の悪ガキが、ここまでになったぞってな」


 オレたちは二人、手をガッチリと組み合わせる。そしてお互いに、不敵に笑ったのだった。


今日、外を散歩していたら、運動公園で小学生が野球の試合をしていました。通りかかったとき、ちょうど冒頭のように怒られて、慌てて駆けてきた小学生二人を見て、思い浮かんだ話です。

お読み下さり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
嫌な人物を見つけて……とか言いつつも、微笑ましい空気が流れていてほっこりしました。 すごい人になったからって、「昔からいい子でねえ……」と嘘?を言われるよりよほど誠実で信頼感があるというか。互いの立場…
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