小学生の頃の監督へ
短いお話しです。
「コラァッ! 何やってんだ! チェンジだぞ!」
小学生の頃、よくこうやって監督に怒られていた。
野球チームに入団。練習は真面目に取り組んでいたつもりだけど、試合になるとよくサボった。特に、チームが攻撃のときなんて、バッターの順番が自分に回ってこなければ、いなくたって困らないじゃないかと、友人と抜け出していたものだ。
それで、守備になっても戻るのを忘れて、監督に怒られてたわけだけど。
「確かにさ、あの頃のオレたちって、最低だったとは思うけどさ」
「バラすなよって思うよな。普通こういうときのエピソードって、良いこと言うもんだよな。練習を真面目にやってたとかさ」
あの頃抜け出した友人と愚痴を言い合う。たった今、小学生時代の監督がテレビの前で、オレたちのエピソードを紹介……というか、黒歴史を暴露してくれたところだ。
世界を舞台に活躍するようになったオレたちに対して、そんなことを言える人なんて、そうそういない。そういう意味では、このテレビ局は実に嫌な人物を見つけてくれたものだと思う。
「……まぁ、いいさ。今度の大会できっちり結果を出してやればな」
「ああ。世界一になって、監督に言ってやろうぜ。あの頃の悪ガキが、ここまでになったぞってな」
オレたちは二人、手をガッチリと組み合わせる。そしてお互いに、不敵に笑ったのだった。
今日、外を散歩していたら、運動公園で小学生が野球の試合をしていました。通りかかったとき、ちょうど冒頭のように怒られて、慌てて駆けてきた小学生二人を見て、思い浮かんだ話です。
お読み下さり、ありがとうございました。




