エピローグ的な何かですわ!
「…ふぅ。ようやく、一通りの不純物は掃除できましたわね」
リュキア王国の柔らかな陽光が差し込むリーシェ姉様の離宮の一部屋。
私はパティシエ特製のエッグタルトを頬張りながら、満足げに独り言を漏らした。
姉様の婚約者の教育、姉様の所属する騎士たちの意識改革、姉様の嫁ぐ他国の令嬢への牽制、姉様に這い寄る虫どもの撃退、そして暴走するお父様の軌道修正。
八歳の私がこなすには少々ハードなスケジュールでしたが、すべては愛する姉様たちの平和な未来のため。
この程度の苦労、なんてことはありませんわ。
「ラーナ、また一人で難しい顔をして。せっかくのお茶会ですもの、もっと笑って?」
一番上のリーシェ姉様が、私の口元についたクリームを優しく指で拭ってくれました。
その隣ではルージュ姉様が「これ、美味しいわよ」と、食べやすくカットしたフルーツを私の皿に並べてくれます。
「ラーナ、あーんして? 私が嫁いじゃったら、こうしてあげられる機会も減っちゃうんだから」
レオナ姉様がフォークを差し出し、反対側からはローズ姉様が私の頭を優しくナデナデしてくださいます。
「ラーナは私たちの『小さな守護騎士様』ね」
四人の姉様たちに囲まれ、甘やかされる。
あぁ、これです。
この時間のために、私は戦っているのです。
ふと見れば遠くで王妃様と側室のお母様が「あらあら、今日も仲良しね」と微笑み合い、お父様は「私もあの中に入りたい…」と柱の陰で爪を噛んでいます。
…お父様、そこは我慢してくださいませ。
そして爪が痛みますから噛まないでくださいまし。
今は〝女子会〟のお時間です。
「ねえ、ラーナ。あなたが大人になった時、一体どんな殿方があなたの隣に立つのかしらね?」
リーシェ姉様の何気ない問いかけに、他の姉様たちの目が一瞬で鋭くなりました。
「そんなの、私たちが認めた相手でない限り許さないわ」
「隣国の貴公子たちを全員並べて、ラーナを喜ばせられるかの試験から始めましょうか」
「あら、辺境の国の猛者たちを競わせるのも面白いかもしれませんわね」
「…お姉様方、気が早すぎますわ」
私は苦笑しながらも、心の底から幸せを感じていました。
例えこれから姉様たちがそれぞれの場所へ羽ばたいていったとしても、この絆が消えることはありません。
もし姉様たちが悲しい思いをするようなことがあれば、私は全力で駆けつけてその元凶を文字通り〝排除〟して差し上げます。
「さあ、お姉様方! 今日は一日、一仕事終えた私をたっぷり可愛がってくださいませ!」
「「「「喜んで!」」」」
リュキア王国の空に、姉様たちの明るい笑い声が響き渡ります。
姉様たちはこれからも、私が守り抜きますわ!
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