詩: 正しさは日常の顔をして近づく
掲載日:2026/02/04
詩: 正しさは日常の顔をして近づく
朝 トーストはいつもより濃い焦げ茶色
レシピ本でおすすめの焼き方
そのまま食べたけれど
舌の奥に 苦味が残りました
昼 コンビニのスイーツの棚
「みんな買ってます」の札が 威張っています
食べてみたけれど
いつも買っているほうが 好みでした
職場で上司が言いました
「このやり方が一番効率的だよ」
誰も反論しませんでした
胸のどこかが そっとしぼみました
夜 自販機の前で立ち止まり
気まぐれにボタンを押しました
落ちてきた缶の音は
小さな自由の響きがしました
正しさはときどき
日常の顔をして近づいてきます
「みんなそうしてるよ」と囁きながら




