第50話「難しすぎる初仕事」
#第50話「難しすぎる初仕事」
教師として働きはじめてからしばらく経ったある日、ある男子生徒からいじめの相談を受けた。
「先生……実は、いじめにあっていて、お金を取られてるんです……」
俺はその言葉に驚いた。教師として避けては通れない問題だとは分かっていたが、まさかこんなにも早く直面するとは思っていなかった。
とりあえず、まずは担任に相談してみることにした。副担任の俺一人で対応するにはまだ経験が浅すぎると感じたからだ。
担任は年配の穏やかな教師だった。俺の話を一通り聞いた後、こう言った。
「黒崎先生、まずは好きにやってみてください。ただし、できるだけ大げさにせず、穏便に済ませてほしいんです。できればね……。面倒ごとは大変なので」
俺は内心で首をひねった。穏便に済ませる?相手は金銭を要求している。立派な犯罪だ。穏便に済ませて済むような話じゃないだろう。
しかし、新米教師の俺には強く言えるだけの立場も覚悟もまだなかった。
まずは問題の生徒――いじめの主犯格だとされている生徒と面談を行った。
「いじめなんて、してませんよ」
相手は目を逸らすことなく、堂々とした態度で言い切った。
この手の対応はやはり難しい。証拠がない以上、どちらの言い分が正しいか判断するのは困難だ。
俺はとりあえず相談してきた生徒にもう一度確認を取ることにした。
「相手はやっていないと言っている。でも、俺は基本的には君を信じているよ。何かあったらまたすぐに相談してほしい」
俺の言葉に、生徒は小さく頷いた。頼りなさそうなその姿が胸に残った。
その後、数日間は何も起こらなかった。もしかしたら、警戒していじめをやめたのかもしれない。
――そう、思っていた。
しかし。
「せ、先生……また、やられました……」
再び同じ生徒が涙ぐみながら職員室にやってきた。
また、いじめられたというのだ。どういうことだ?
俺は頭を抱えた。どうすればいい?担任の言う通り、穏便に済ませるべきか?でもどうやって?それとも、何らかの強硬な手段を取るべきか?
でも俺は警察でもない。いじめられている本人でもないから証拠を押さえるのは難しい。俺が生徒だったらそれとなく調べることができるがそれも難しい。
そもそも時間がない。教師の仕事をしながらどうやっていじめについて調べる時間を作るんだ?教師という仕事の難しさが、改めて俺の肩に重くのしかかってきた。
「……対応、難しすぎる……」
その日は、自宅に戻ってからもずっとその言葉が頭の中で繰り返されていた。
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おそらくこちらが最終章になると思います。もうすぐ終了。今週から月、水、金の1週3回の更新になりますのでご了承ください。
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