第34話「組織を形にする」
#第34話「組織を形にする」
少しずつ組織は広がっていった。
そして俺は最初の仲間3人と相談して組織としての大まかな決まりを作った。このまま大きくなったら揉め事が絶対に出てくるからだ。
組織としての縛りは最小限。基本的に誰でも自由に出入りできるし行動も自由。
ただし個々の力が弱ければ面倒が増える。だから強くあれ。強くなりたい奴は上に相談しろ。格闘技でも、喧嘩の立ち回りでも俺が教えてやると伝えた。
困ったことがあれば遠慮なく仲間や上に相談すること。おかしな話でなければ助ける。
ただし――いじめや恐喝みたいな理不尽なことは一切許さない。そんな真似をした場合は協力しないとした。また場合によっては強制的に脱退させる。組織や他の仲間に迷惑がかかるかもしれないからだ。
ルールを他の仲間達に伝えると意外と反発は少なかった。むしろ、真面目に強くなりたいと相談に来る奴もそれなりにいた。
そうして組織はゆっくりだが確実に大きくなっていった。ただし、人数が増えれば当然面倒ごとも増える。俺が仲間を守るために喧嘩をする場面も多くなった。
逆に喧嘩を売られることが少なくなったことは収穫かもしれない。1人の時には喧嘩をふっかけてくる人間もそれなりにいたが組織にトップになっているとそういう人間は格段に減った。
個々の力がそれなりに強いから組織の誰かに喧嘩を売っても俺に到達する前に敗北していくのかもしれない。結局のところ組織を作ることで苦労する面もあれば楽できる面もある。全部が良くなることはあり得ない。でも両方の良いところ悪いところを知っていれば何かあった時の対応はしやすくなる。
この辺りを考えて将来的にどうすればいいか考えていけばいいだろう。もしくは次のタイムリープがあれば今回の経験を生かせばいい。
ただ、そうやって組織を維持しているとやり方がぬるすぎると言い出す奴も出てきた。「相手を潰せばいい」「もっと仲間を増やすべき」と吠える奴もいた。
この辺りのいろいろな意見が出てくるのは自由に発言できるようにしているからだ。自由による弊害だが、逆にため込むと大きな問題になる可能性がある。早めに吐き出してもらった方がいい。
ともかく無理な組織の拡大は俺が目指しているものではないから、相手を積極的に潰すなんてのは不要だ。俺のやり方に無理してついてくる必要はないと突き放すと、だいたいは自分から離れていった。もしくはおとなしくなった。
無理強いはしない。自由に発言していい。嫌ならやめてくれて構わない。みんなが自主的に自分で強くなって仲間を守れる組織を目指した。
最初思っていたよりも上出来だ。良い感じで進んでいる。
――けれど、この先どうするのかはまだ見えてこない。この組織が本当に正しい形かも分からない。そもそも今は高校生だ。俺が大人になる前に解散、もしくは引退することになるだろう。
社会人になったらまた一から組織作りをするのか?そう考えるとげんなりした。結局は行きあたりばったりで先を見越していない。今やっていることもあまり意味がないのでは?という気持ちもよぎる。
それでも、今は進むしかない。
少なくとも、前回みたいに一人で背負って潰れるよりは、ずっとマシだろう。そう自分に言い聞かせた。
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