第29話「きりがない戦いと一人の覚悟」
#第29話「きりがない戦いと一人の覚悟」
校内の喧嘩などは本当に減った。まああれだけ俺のような人間が介入したら怖くておちおち喧嘩もできないからな。
そこで今度は実践のためにも積極的に外との揉め事にも手を出すようにした。すると、今度は校外の不良が次々と絡んでくるようになった。果たし状のような手紙を送ってくる奴もいて、最初は面白がって受けてみたが……出てくるのは雑魚ばかりだった。
(堀田クラスとは言わなくてもそれなりの強者でも出てくればいいが……)
そんな期待も虚しく、毎回すぐに終わる戦いばかり。俺もプロとは言わないが毎日格闘技のトレーニングを続けている。さすがにそこらの喧嘩自慢程度ならば話にもならない。
そして、その程度の人間とぬるい殴り合いを何度続けても全く意味はない。逆になまりそうだ。
校外の裏路地、公園、駅前の裏道での待ち伏せなど……暇を見つけては次々と他校の人間が挑んでくるが、何も得るものはない。喧嘩自慢がいるみたいな噂だけが先行し、名前だけが一人歩きしている感じだ。
さすがに面倒だな。
やはりものごとを一人でやるのも限界があるのかもしれない。堀田のように子分を作って仲間を集めてまとめた方がいいのか。そうすれば無駄な喧嘩を仕掛けてくる人間も減るだろう。
だが、組織を作れば縛られる。守るべきものができれば、それを守るために最悪、命を張ることだってあるだろう。そんなことまでしたくもない。
俺はこんな相談ができるのは堀田しかいないと思って声をかけた。
「堀田、お前は今後どうするつもりなんだ?もっと組織を大きくするつもりか?俺は組織を作るかどうか迷っている」
堀田は俺が買ってきた唐揚げをつまみながら笑った。
「頭の悪い俺がそんな難しいことを考えているわけないだろう。その時の直感で動いているぞ。まあお前の組織作りたいって気持ちも分かる。でも守るべき奴が増えれば、それだけ背負うものも増える。一人は大変なこともあるけけど気楽だ。お前はどうする?」
「そうだよな……一人でいいか」
「だな。他の人間まで背負いたくないなら、それでいいんじゃねえの。全部いい話なんてないんだからな」
「それはどんな世界でも同じだぞ。俺は親父を見てたから分かるけど大人だって同じ。将来は会社とか組織を作って社長になりたいとか思うかもしれないけど、社長は全ての社員を守るために死ぬ気で仕事しなければいけないから大変だぞ」
「しかも必死で動いて各方面に頭まで下げて守ってもそれが当たり前としか思ってもらえない。給料を少しでも減らせば鬼畜のように言われる。社長とか輝いているように見えるかもしれないけど少し角度を変えて見れば悲惨な状況だぜ。人を使っているようで逆だ。あれは社員の奴隷だぜ」
話しながら、堀田は静かに笑った。親父の姿を見ているだけでなく、おそらくは組織をある程度作っているからこそ、その面倒さも分かっているのだろう。実感がこもっていた。
必死になって守ろうと動いてもそれが当たり前だとされる立場か。堀田ほどの個の力、実力があっても組織を作るのは面倒でやっかいらしい。手を広げるなら組織は必要だろうが正直、今の俺にはきつい。
そうだよな。個人の強さと組織の長としての強さは違う。組織を作ろうと思ったら考え方も大きく変えていかなければならないのだろう。時には人を切り捨てる強さも必要かもしれん。
とは言え、、、
俺は本当に1人でいいのか?やはり組織を目指した方がいいのでは?今後は1人では対応できないことも出てくるのでは?いろいろなことが頭をよぎる。
はぁ、誰とも関わらず何も考えず、面倒ごとを人に押しつけてニートを続けていた最初の人生が一番楽で良かったのでは?何も守る必要はないしな。
(ああ、思考が馬鹿になっているな。あんな最低な人生が一番良かったかもと思うなんて……)
そんなことを考えていたら帰り道の夜風が妙に冷たく感じた。どこまで一人で行けるかは分からないが、少なくとも今は……まだ誰かに頼るわけにはいかない。
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