2話「ざまぁの準備は整った」
#2話「ざまぁの準備は整った」
翌日も、柴田は教室の中心で笑っていた。そして今日も佐藤くんをいじめていた。
「おい佐藤、昨日の件どうなった? まさか忘れてねぇよな?」
「……返したって言ったじゃん……」
「証拠は? なきゃ、お前が嘘ついてるってことだろ?」
周囲の笑い声。佐藤くんの俯いたままの表情。大丈夫だ。俺が助けてやるからな。もう少しの辛抱だ。
まるで昨日の再放送だ。教師の村井もすぐそばにいるが、何も言わない。
目も合わせず、ただ教科書をめくるふり。ほんと酷い教師だ。
俺は溜息をついた。懐かしくも最悪な光景。でも――今の俺は違う。
(もう十分。そろそろ証拠を集めるか。)
まずは手段の確保だ。
放課後、俺は学校近くの小さなリサイクルショップに立ち寄った。
昔、友人がくだらないイタズラ目的で買っていた“スパイ風トイカメラ”があったはずだ。
ショーケースを覗くと――あった。
「これ、動くかい?」
店の親父が「動作確認はしてないけど、フィルム入れりゃ多分撮れるよ」と言って値札を半分にしてくれた。ラッキー。
ポケットサイズの小型フィルムカメラ。外観はただのキーホルダー、音も小さくて目立たない。しかも自分で比較的簡単に現像できる優れもの。
俺は帰り道、文具屋で現像用のフィルムを買い足した。そして何度かテストして間違いなく撮れることを確認した。
(これで準備完了だ)
翌朝。
胸ポケットにカメラを仕込み、いつものように教室へ入る。
案の定、佐藤へのいじめは続いていた。
柴田が佐藤のリュックを引きずり、机の中身をぶちまける。
岸本がニヤニヤしながら「片付け早くしろよ、見苦しいぞ」と吐き捨てた。
藤本は教室の隅で傍観しながら笑っている。
更には3人がお金を脅し取っている姿も。
おれはシャッターを切った。
――カシャ。
――カシャ。
表情、距離感、位置関係。
全部映っている。柴田の悪意も、岸本の無関心も、教師の村井の“見て見ぬふり”も。
当時の俺も含め教室にいる人間も同罪と言えるかもしれないがそこまでは追及する必要もないだろう。他の人は映らないように配慮した。
これでいじめをしている人間、そしてそれを見て見ぬふり教師の図ができあがった。
その日のうちに俺は現像した。これで証拠は十分だ。
俺は翌日、封筒を用意した。中には写真数枚と、手書きの説明文。
『県立○○高校にて継続的ないじめが行われています。
教師は黙認、生徒は精神的に追い詰められています。
いじめの証拠として数枚の写真を同封します。――匿名希望』
宛先は、地元の週刊誌編集部。
学校名こそ明記しなかったが制服と机、教室の構造を見れば、関係者には一目で分かるだろう。
あとは、待つだけだ。
そして、数日後。
「おい……知ってるか?」
教室の隅でコソコソ声が聞こえる。
「うちの学校、なんか週刊誌に載ったってよ。いじめだってよ。写真まで出てるって」
「え? マジ?」
「制服とか……たぶん、いじめているのは柴田や岸本らじゃね? あれ、目は隠れているけど分かる人にはすぐ分かるよ。あと村井先生もね」
柴田の眉がひくついている。
岸本の表情からも、いつもの余裕が消えていた。
――ざまぁ。
声には出さない。ただ、心の中でほくそ笑む。
あいつらの中で“何かがおかしい”という空気が流れ始めた。
今はそれだけで十分だ。次の段階に進む布石にはなった。
教師の村井もいつもより少しソワソワしていた。
教員室から呼び出され、15分後に戻ってきたときの顔色は真っ青だった。
(いいぞ……そのまま自滅していけ)
いじめられていた俺が、こうして“無抵抗のまま”復讐できる日が来るなんて、昔の俺じゃ想像もできなかった。
だが今の俺には、未来の知識と、冷静な判断力、そして――恨みがある。
柴田、お前はまだ気づいていないかもしれないが、まだ“終わり”は始まったばかりだよ。
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