第28話「番長との出会い、そして奇妙な縁」
#第28話「番長との出会い、そして奇妙な縁」
何度か校内で喧嘩などを仲裁していたら喧嘩を見なくなってしまった。これは俺が浄化したと考えていいのか?
まあそれは言い過ぎか。でも場合によっては暴力で解決していたから怖くなっただけだろう。
やっぱり力は偉大だ。「話し合いで解決しましょう」なんて言う人間もいるが話し合いで解決などするはずがない。結局、最後は力がものを言う。
戦争も同じだ。話し合いで解決するなら戦争など起こりもしない。でも現実には毎日のようにどこかで戦争が起きている。平和な日本ではニュースにならず知らないだけの話だ。
だから「話し合いで解決すれば戦争は起きない」なんて馬鹿なことを言っている人間の言うことは全く理解できない。毎日戦争が起こっているということを調べる能力さえもないのか、それとも現実逃避しているのかのいずれかだろう。
そんなことを思っていると声をかけられた。
「黒崎……助けてくれないか!?」
放課後、校舎裏で待っていたのは見覚えのある学生だった。確か隣のクラスだっけか?
「金をよこせって、他校の奴に脅されてて……。今度の放課後、待ち合わせ場所に来てくれないか……?ここら辺の高校をしきっている奴なんだ。俺じゃどうしようもない」
面倒だったが、実践を重ねると決めた俺は了承した。校内では喧嘩も少なくなってきたし、積極的に外に出るのもありだ。これもいい機会だろう。
指定された公園に行くと、明らかに只者じゃない雰囲気の男がいた。筋肉質で鋭い目、後ろには子分らしき二人。
後ろの二人はどうにでもなりそうだが。リーダーらしき奴はやばいな。油断すればこっちがやられるかもしれない。いや、こいつは油断しなくてもやられるかもしれないレベルだ。慎重にいくしかない。
不意打ちを食らわないように神経を研ぎ澄ませて俺は尋ねた。
「うちの生徒が脅されてるってことで来たんだが?他校の人間を脅すとか、どういうことなんだ?」
すると強者のリーダーらしき人間が答えた。
「はあ? 何のことだ?俺もうちの奴が脅されているというから付いて来たんだが?」
どういうことだ?話が違うぞ?どうやらどちらかが嘘をついているのか?
そして連れてきた奴を見ると、焦るように言い出した。
「違うんだ! そっちのやつが俺に絡んできて、金をよこせって……!」
俺は、その嘘にすぐ気づいた。動揺している目はごまかせない。
「はぁ、お前、俺に嘘をついて連れてきたな?」
泣きそうな顔で「すみません……こんな奴が出てくるとは思わなくて……」と彼はうなだれた。
俺は思わず軽く平手打ち。そして、相手のリーダーらしき人間に頭を下げた。
「申し訳ない。どうやら嘘をついていたのはこっちだったようだ。こいつの責任は俺が取る。殴るなら俺を殴ってくれ。脅し取った金があるならその金も払う。ただ……こいつのことは許してやってくれ」
その瞬間、場の空気が変わった。
「お前……おもしれぇ奴だな。そこまで子分の責任取るとかなかなかいねえぞ」
「何、言っているんだ。俺は呼ばれてきただけでこいつの名前さえ知らん」
その言葉に番長はあっけにとられたように笑った。
「赤の他人のためにそこまでやるか?本当におもしろい奴だな」
「あと別に金は取られてねぇはずだ。だから、もうこの話は終わりだ。ついでに言っとくが、俺は喧嘩が好きなわけでもねぇ。穏便に済ませたお前に感謝するよ。これは借りだ。何かあったら呼んでくれ。手伝ってやるぜ?」
思わず、俺も笑った。
「お前もおもしろい人間だな。何でこれが貸しになるんだ?まあありがたいけどな。それに喧嘩が好きじゃねぇという割にはとんでもなく強いだろ?ぱっと見ただけで分かる」
「そりゃ、お前もだろう。やべー奴が来たなと思って久しぶりにびびったぜ」
「番長がびびる?そいつそんなに強いんですか?」
「はぁ、お前らじゃ分からんか?お前ら何人がかりでもおそらく勝てんぞ、こいつはかなり強い」
「じゃあ、この地区の高校の最強2人じゃないっすか。2人が協力すればこの辺りは完璧に支配できますね」
おれは勘弁して欲しいと思って言った。
「勘弁してくれ。俺はそういうのは興味ない。それよりお前の名前は?おれは黒崎という」
「俺は堀田だ。さっき言ったように借り1つだ。何かあったら呼んでくれていいぞ」
「ああ、分かった。ありがたい」
そうして俺たちは別れた。
それにしてもおもしろい人間もいるものだな。世の中には強いのにそれを悪用せず正義のために使う人間もいるらしい。
こういったおもしろい人間に出会えるなら、タイムリープも悪くないかもしれない。
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