第22話「図書委員という名の距離感」
#第22話「図書委員という名の距離感」
「黒崎くん、ちょっといいかな?」
昼休みの教室で、少し緊張した面持ちの女の子が声をかけてきた。
佐々木だ。同窓会で学生時代に俺のことが好きだったと言っていた女の子。思えば前世で告白のようなことをされたのはあれが最初で最後だったかもしれない。
今はその情報があるから適当に相手すれば付き合うことも可能かもしれないな。
彼女は目立たないが、真面目でおとなしそうなタイプ。
目鼻立ちはそこそこ整っているが特別、綺麗とかかわいいというわけでもない。どこにでもいる女の子。地味な眼鏡と三つ編みが印象を柔らかくしている。
「何?」
「えっと……図書委員、やってみないかなって思って」
突然の誘いに少し驚いた。やはり俺に気があるのか?
あと図書委員?まあ悪くないか。
放課後の空き時間を適当に潰せるし目立たない場所だ。ほどよく冷静にいられる。暇ならば本を読んでもいい。今、俺が気が付いていない大儲けする何らかのネタもあるかもしれない。
「いいよ。暇だし、面倒な仕事じゃなければ」
「ほんと!?ありがとう!」
想像以上に喜ぶ佐々木に、少しだけ罪悪感がわいた。でも、俺はあくまで“冷静”だ。のめり込まない。1回目も2回目も、それで痛い目を見た。
「利用できそうなら、利用させてもらう」くらいの気持ちでちょうどいい。
その後、佐々木とは放課後に図書室で顔を合わせるようになった。最初は義務的な仕事の話だけだったが、少しずつ距離が近づいてきているのが分かる。
棚の整理、本の貸出記録の確認、地味だが穏やかな作業だ。彼女は些細なことで笑い、ちょっとしたことでも「ありがとう」と言う。
悪くない。俺は冷静だ。
こういう感じならば危険は少なそうだ。
見た目が地味だから周囲の嫉妬も買わない。
逆に冷たくされても失望することもない。
水川のときのような厄介さはない。
それに……そうだな。
うまくいくようならば体だけの関係にしてもいいだろう。高校生の体をおいしく堪能させていただこうか?
でもそこまでやったら相手が本気になってしまうリスクはありそうだな。そこは注意が必要だな。もちろん俺は本気にはならない。
自分の中の“ゲスな声”が囁いているのが分かった。
でも、今回の俺はそれでいいんだ。冷静に損得で判断する。それが幸せへの近道だと学んだからな。
「佐々木、明日もよろしくな」
「うん。こちらこそ、ありがとう」
笑顔でうなずく彼女に、俺も笑顔を返しておいた。
適度な距離感。
深入りしない。
期待しない、させすぎない。
俺は今、ちゃんと冷静でいられている。
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すいません。1月21日の投稿を忘れていました。今日から復活します。
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