15話「明るくなった君と、屋上での告白」
#15話「明るくなった君と、屋上での告白」
それ以来、水川が笑うことが増えた。凄く明るくなった。
最初は遠慮がちだったその笑顔が日を追うごとに自然になっていく。
俺が冗談を言えば、口元を押さえて肩を震わせてくるしパンの味に文句を言いながらも全部食べきるようになった。
もともと整った顔立ちだとは思っていたが笑顔を見せるようになって気づいた。
――水川って、こんなに綺麗だったんだな。
教室でも水川は他の生徒と交流が増えた。自然と友達が増えていった。
そして、、、当然だが、周囲の男どもも黙っていない。
いつの間にか、「水川って実は可愛いよな」「笑ってるときマジでヤバい」なんて噂が教室を飛び交うようになった。
そして案の定、告白するやつも現れた。
(ちっ……)
黒板の落書きに「水川♡○○」なんて書いてあるのを見つけたとき、思わず拳を握っていた。
嫉妬なんて、今までとは無縁だったはずなのに。
そんなある日の昼、屋上。
水川はサンドイッチを手にしながら、ふいに言った。
「告白する人が増えてさ」
「ああ、知ってる。大変だよな」
できるだけ平静を装ったが、声のトーンは少しだけ低くなっていたかもしれない。
水川は小さく笑った。
「でも……私、好きな人いるんだよね」
(……誰だ?)
心臓がひどく脈打つ。
まさか、誰かに先を越されたか?どこかで失敗したか?
俺は気づかないうちに、手を握りしめていた。
「……そうか。誰なんだ?」
水川はサンドイッチを一口かじり、もぐもぐと口を動かしたあと、こっちをじっと見つめた。
そして、少しだけ顔を赤くして言った。
「……馬鹿なの? あなたに決まってるでしょ」
風が止まったような気がした。
視界の端が少し揺れる。
世界が静まり返ったみたいに、音が遠のいていく。
水川の顔が、まっすぐにこっちを見ていた。
嘘じゃない、本気の目だった。
「……俺で、いいのか?」
ようやく絞り出した声は、少し震えていた。
「うん。……ずっと、こんな私を見てくれてたから。あなたがいたから、笑えるようになった。あなたのやさしさが心地よいの。私には……あなたしかいないと思う」
彼女の言葉に、俺の胸が熱くなる。
「じゃあ……」
俺は勇気を振り絞って、言葉を紡いだ。
「……付き合って欲しい」
水川は一瞬驚いたように目を見開き、それから、やわらかく微笑んだ。
「……うん。もちろん。お願いします」
そのまま、静かに距離が縮まる。
柔らかな陽射しが屋上を照らす初夏の午後。
俺たちはそっと唇を重ねた。
誰にも邪魔されない、季節と想いが交わる瞬間。
これは“人生をやり直した男”の物語。
その選択が、やっとひとつ、報われた瞬間だった。
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