9話「友達の裏切り」
#9話「友達の裏切り」
その日も、俺は佐藤くんと一緒だった。一緒に楽しんだ。
その時、佐藤くんが切り出した。
「なぁ、ちょっと裏路地の方に行かないか?」
「え?」
「最近できたゲーム屋があるらしいんだ。お前好きだろ、そういうの」
不自然ではなかった。
いや、少しだけ違和感はあったが、それ以上に“友達”としての信頼が勝っていた。
俺は何の警戒もせず、ついていった。
そして、路地裏――
「……よう、坊やたち。楽しそうだな」
突然現れた数人の大人たち。
いかにもその筋と分かる空気。スーツの下からちらりとのぞく刺青。鋭い目つき。やくざだ。
「ちょっと、俺たち金欠でさ、金貸してくれないかな?」
「えっ?お金とかないです」
「そっか、ならとりあえず、財布を出せや」
俺は言葉を失った。やばい。
「……は?」
「聞こえねぇのか。財布出せっつってんだよ!」
ひどい脅迫だ。佐藤くんに付いてくるんじゃなかった。
俺は仕方なしに持っている財布を差し出した。せっかくバイトで貯めたお金が入っているのに、、、。
するとそのやくざが言い出した。
「お前も出せ!」
どうやら佐藤くんに言っているようだ。
佐藤くんはそこで顔を青くして言った。
「えっ、話が違う」
話が違うってどういうことだ?俺は佐藤くんの顔を見る。すると佐藤くんは目を逸らした。
「……まさか」
「……ごめん」
その一言で、すべてが理解できた。はめられた。
そしてその瞬間に全てのピースが繋がった。
よく考えたらおかしかった。前世では俺が柴田の標的になった後、佐藤くんはいじめられなくなった。単純に佐藤くんから俺に標的が移ったのだと思ったが、、、
そうだ、俺は前世でも今世でも佐藤くんに裏切られたんだ。こいつが俺に標的が移るように仕向けたんだ!
「まさかこんなことになるなんて……!」佐藤くんが絞り出すように言った。
「ふざけるな……っ!」俺を裏切っておいて何を言っているんだ。
信用していた友達に裏切られた、、、楽しかった日々は全て偽物だった。こいつは自分のことしか考えていなかった。
俺はキレた。怒りが爆発した。
俺は無我夢中で、目の前の男に殴りかかった。
だが、相手はプロだ。腕をつかまれ、一撃で腹に拳をめり込ませられる。前のめりになったところで、次は顔面に蹴りを入れられた。
「ガキが、なめてんじゃねぇぞ」
そのままアスファルトに叩きつけられ、後頭部にも強い衝撃が襲った。
「ううっ。」
視界が揺れて、遠ざかっていく。
「やべぇ、やりすぎたか?」
男が何か言っているが意識がもうろうとして、よく聞き取れない。
くそっ――やられた。頭が割れるように痛い、やばい、、、。
そう思った瞬間、世界が暗く沈んでいった。
(……あれ?)
次の瞬間、目を開けると天井が見えた。
ここは俺の部屋だよな?
そして何故か私服ではなく制服だ。いろいろとおかしい。夢だったのか?
そんなはずはない。現実にひどい痛みだった。
「あそこで倒れたよな……でも部屋にいる……しかも制服を着ている。なんでだ?」
そこで俺は《《あること》》を思いついた。
カレンダーを見る。するとカレンダーには「199X年 4月10日(火)」と表示されていた。
そして俺は理解した。
あの時、やくざに蹴り倒されて俺は死んだんだ。そして再び高校1年生の入学時に戻ったんだ。
タイムリープする前に神様と約束したことを思い出す。
「ちょっとしたことで失敗する可能性もあります。もしタイムリープして幸せになれなかったら……高校1年生からやり直させてください。幸せになるまで何度でも!」
「よかろう。“幸せに人生を終えられなければ”、その時また、高校1年生から何度でもやり直せるように手配しておこう。では、良き人生を、、、」
……はは、俺ってば、またやり直してる。高校1年生に戻っている。
とっさに条件を加えたあの時の自分を褒めてやりたい。
失敗しても幸せな人生でなかったら何度でもやり直せる。
これは最強だ。
俺は次は失敗しない。安易に人は信用しない。今度こそ幸せな人生を送ってやる!
俺は静かに、拳を握り締めた。
(次は、絶対に間違えない)
第一章 完結 次章へ
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こうして彼の1回目のタイムリープが終わった。
でも、ここでちょっと考えて欲しい。
あなたの学校でも不自然に急にいじめがなくなった経験はないだろうか?学校を既に卒業した人は過去を振り返ってもいい。もしくはメディアでのいじめ情報に注目するのもいいだろう。
普通に考えて今の日本の教育システムでいじめが急に解決するはずなんてない。リスクがあるメディアへの垂れ込みなどやる人もいない。何かがおかしいのだ。
急にいじめが解決したりメディアでいじめ関連の報道が続いた時。
それはタイムリープした誰かが動いた時かもしれない。
ほら、あなたにも思い当たることはあるだろう。
当然、タイムリープできるのは彼・黒崎だけではない。毎年、相当数のタイムリープがある。そうして未来から過去に戻った誰かが動いた可能性がある。
今一度、思い起こして欲しい。急に性格が変わった人はいなかったか?その付近で何かおかしな出来事がおきていなかったか?
そういったちょっとした違和感が正解へのヒントになるかもしれない。
もしかしたら、、、今、教室のあなたの隣の席で座っている人もタイムリープしてきた人かもしれない。注意することをおすすめする。
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