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もともと歩は、期間限定のアルバイトとして御剣神社に雇われた身だ。


契約期間は約半年で、四月から九月末までと言われている。


この神社には常駐の神主がいない。


国見駅を降りたところにある『国見神社』の神主である東吾朗(あずま・ごろう)が御剣神社の神主を兼務しており、月に二回の月参りや祭りのときにやってくる。


歩たちは彼に雇われた身分のため、社務所に住むことを許されている。


要するに、御剣神社の稼働人員はたった四人だ。


しかも神主は兼務で梅子はほぼ姿を見せないので、実質二人で切り盛りしている。


最初に谷口桃香(たにぐち・ももか)と名乗る少女に引き合わされ、住み込みで働くと聞かされたときは、抵抗があった。


いくら祖母と同居しているとはいえ、見ず知らずの若い女性と一緒に住むのは、こちらも気を遣うし相手も嫌だろうと思った。


歩の実家は国見市の西側にあるので、東の外れにある御剣神社までは自転車で三十分ほどの距離だ。


住み込みではなく、通いでも十分に務まる。


だが、なぜか雇い主である東吾朗は住み込みにこだわった。


御剣神社には男手が必要だし、女性の二人暮らしよりも男がいたほうが安心だと思ったのかもしれない。


また、歩の父と東は将棋仲間で旧知の仲だったこともあり、信用されたのだろう。


かくして紹介で白羽の矢が立ち、歩は御剣神社に送り込まれた。


小学校に入るころ国見市に移り住んでから今まで、御剣神社に参拝した記憶はない。


もしかしたら両親と来たことがあるかもしれないが、あっても数回だろう。


だから桃香や梅子に対しても、御剣神社に対しても、歩は特別な感情を抱いていない。


というか、抱かないようにしている。

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