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お弁当

「…はぁ、駄目か……」


台所は、まるで戦場の跡の様になっている。

友達がやっていたように、私も彼氏の陸に

お弁当を作りたかった。

でも、さっきから何を作っても上手くいかず、落ち込む一方。

今日陸に


『明日お弁当作ってあげるから、何も用意しないでね!』


と言ったばかりだ。

結局作れなかった。

なんて言ったら、陸が空腹で午後からの授業が受けられなくなる。


「…はぁ」


お弁当を作るって言ったからには、ちゃんと作らなきゃ。

取り敢えず、簡単なサンドイッチを詰めることにした。



「陸。これ…」

「お、お前、本当に作ってきたのか?中が暗黒物質(ダークマター)でいっぱいって落ちはないだろうな?」

「失礼な!ちゃんと食べれるよ!」


陸はお弁当の蓋を開けた。


「成る程な。確かにこれは食べられそうだ。見た目は少し歪んでいるが。」

「見た目には突っ込まないで…」


自分でもわかっていた。


「…ごめんね。本当に不器用で…。」

「どうした?いきなり…」

「友達がね、好きな人にお弁当を作ったって話を聞いて、私もやりたくなったんだけど…。無理だった。」


陸はお弁当の蓋を閉じて、私を見つめる。


「作れているじゃないか。」

「で、でも!本当はもっと…」

「俺はな、紫が『お弁当を作りたい』

って言ってくれた事が嬉しかったんだ。」

「陸…」


陸は私の頬にそっと触れた。


「それだけじゃ、不安か?」

「……」

「誰にでも得手不得手はある。

お前は勉強もスポーツも、両方そつなくこなすじゃないか。」


陸の顔が近付いてきて、唇が重なった。


「…んっ」

「…、それに、これが最後じゃない。

何度でも試せばいいんだ。」


そして再び唇が重なった。


「ありがとうな。紫。」



「サンドイッチ、どう?」

「ん、若干食べ辛いが、味はいける。」

「じゃあ、もっと練習して、食べやすいの作れるように頑張る!」

「ああ。…そうだ、今度一緒に作ろう。

俺も何か作れる様になりたいし。」

「それ良いね!!楽しみ♪」


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