お弁当
「…はぁ、駄目か……」
台所は、まるで戦場の跡の様になっている。
友達がやっていたように、私も彼氏の陸に
お弁当を作りたかった。
でも、さっきから何を作っても上手くいかず、落ち込む一方。
今日陸に
『明日お弁当作ってあげるから、何も用意しないでね!』
と言ったばかりだ。
結局作れなかった。
なんて言ったら、陸が空腹で午後からの授業が受けられなくなる。
「…はぁ」
お弁当を作るって言ったからには、ちゃんと作らなきゃ。
取り敢えず、簡単なサンドイッチを詰めることにした。
◇
「陸。これ…」
「お、お前、本当に作ってきたのか?中が暗黒物質でいっぱいって落ちはないだろうな?」
「失礼な!ちゃんと食べれるよ!」
陸はお弁当の蓋を開けた。
「成る程な。確かにこれは食べられそうだ。見た目は少し歪んでいるが。」
「見た目には突っ込まないで…」
自分でもわかっていた。
「…ごめんね。本当に不器用で…。」
「どうした?いきなり…」
「友達がね、好きな人にお弁当を作ったって話を聞いて、私もやりたくなったんだけど…。無理だった。」
陸はお弁当の蓋を閉じて、私を見つめる。
「作れているじゃないか。」
「で、でも!本当はもっと…」
「俺はな、紫が『お弁当を作りたい』
って言ってくれた事が嬉しかったんだ。」
「陸…」
陸は私の頬にそっと触れた。
「それだけじゃ、不安か?」
「……」
「誰にでも得手不得手はある。
お前は勉強もスポーツも、両方そつなくこなすじゃないか。」
陸の顔が近付いてきて、唇が重なった。
「…んっ」
「…、それに、これが最後じゃない。
何度でも試せばいいんだ。」
そして再び唇が重なった。
「ありがとうな。紫。」
◇
「サンドイッチ、どう?」
「ん、若干食べ辛いが、味はいける。」
「じゃあ、もっと練習して、食べやすいの作れるように頑張る!」
「ああ。…そうだ、今度一緒に作ろう。
俺も何か作れる様になりたいし。」
「それ良いね!!楽しみ♪」




