その思いは、長い時を経て③
8月6日、午前7時頃。
朝食を終えて片付けをしている。
「凛ちゃん、後はうちらがするけぇ。」
「あ、はい。ありがとうございます。」
私は、外に出た。
今日はとても天気が良い。
「(後1時間で…)」
広島市の方向を見つめる。
後1時間で、広島市が…
「りんちゃん…」
「はるくん。」
「昨日の返事、考えてくれたん?」
「……はるくん、今から私が言う事…
信じられないと思うけど、信じて欲しい。」
私は、実はこの時代の人間ではなく、
未来から来た事を話した。
「だからごめんなさい。
はるくんとはずっと一緒にはいれない。」
「………」
私、正直あまり経験がないんだけど、
告白されてお断りするのって、こんなに苦しかったっけ…。
「……未来って、いつ?」
「え?」
「何年後なん?おれがいきとるうちに来るんか?」
「…私が生まれるのは30年後。
そして、私はその更に21年後の1996年から来たの。」
「………」
「探す。おれ、何年かかっても、りんちゃんのこと探すから!!」
「そんな…!!」
「おれ本気だから!!だからりんちゃ…」
突然、雷が落ちたのかと思う程の光が見えた。
「なんじゃ、雷…?こんな天気が良いのに…」
「雷じゃないよ。」
「え、じゃあ…って、りんちゃん!?
何で透けて…」
はるくんが言う通り、私の体は透けていた。あぁ…、私は8月6日のあの時間と共に消えるんだ。
「はるくん、どうか…幸せになってね。」
「嫌じゃ!!りんちゃん!!
行かんといて!!」
私の手を握ろうとするはるくん。
でも、触れる事はもう出来ない。
「りんちゃん!!
…りんちゃーーん!!!」
さようなら…。はるくん。
◇◇◇
「あ」
気が付いたら、私は原爆の子の像の近くで尻もちをついていた。
「(帰って来たんだ…)」
周りを見渡しても、私が元いた時代だ。
「いてて…」
「大丈夫ですか?」
「あ、はい…。ありがとうございま…」
私に手を差し伸べてくれたおじ様。
あの時の面影がある…!
「はるくん…?」
彼は笑顔で頷いた。




