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本命チョコ

1話目の「公開プロポーズ」に出て来た

楓と翔が中学生の頃のお話です。

今日はバレンタインデー。

翔の周りには女子が集まってる。

その様子を、私は幼なじみの颯馬(そうま)

双子の弟の(いつき)と見ていた。

因みに、颯馬と樹には既に渡している。


「それにしても、翔は凄いな。」

「(黙っていたら)超絶イケメンだしな。」

「…………」



私は手元のチョコを見つめる。


「…自分で食べよう…」

「何言ってるんだよ。

楓のなら、喜んで受け取ってくれるぞ。」

「今まで何食わぬ顔して渡していただろーが。」

「乙女心は複雑なの!!」


翔の事が好きだと気付いたのは、

去年のこと。

二人に相談したのがきっかけだった。



「楓。一つ良いことを教えてやる。」

「何よ?」

「あいつ、今年は好きなやつのしか受け取らないそうだ。」

「…………」


意味不明なアドバイスをする颯馬に

思い切り蹴りを入れた。


「ぐはっっ!!!」

「追い打ちかけてどーすんのよ!馬鹿!!」


走ってその場から逃げ去った。



「あれ、楓ちゃん?」

「…翔…」


手に持っていたチョコを隠した。


「翔、チョコは何個もらった?」

「貰ってないよ。」


颯馬の言う通りだった。


「今年から、好きな子以外から貰わないことにしたから…」

「じゃあ、その子からまだ貰ってないんだ。」

「うん。…沢山貰えても、好きな子から貰えないなんて、皮肉だよね。何で二人には……」


全国のモテない男子を敵に回したなこいつ。


「他に好きな人が出来たのかな…

今まで毎年くれたのに…」

「…どんな人なの?」

「とっても可愛くて、頭が良くて、

しっかりしてるようで天然な子だよ。

楓ちゃんはさ、そのチョコ誰に渡そうとしたの?」

「!!?」


チョコの存在に気付いていたようだ。


「本命?」

「うん……」

「そ…か。俺が知ってる人?」

「…バレー部の、副主将………」

「………え?」


「モッテモテのバレー部の副主将にあげようと思ってました!

でも副主将さんは好きな人からしか受け取らないそうですから、ここで食べようと思ってました!!」


ラッピングを破ろうとしたけど、

翔に止められてしまった。


「ちょっと待って!!!」

翔は私の手を握った。

「そ、それって…俺…だよね?」

「他に誰がいるの!」

「それ、欲しいな…」

「好きな人からしか受け取らないんじゃないの?」

「わからない?

俺が好きなのは楓ちゃんなんだよ!」


「………えぇえ!!?」


気が付いたら、私は翔の腕の中にいた。


「楓ちゃん、好き。大好き。」

「…わ、私も…」


私は翔にチョコを渡した。


「ありがとう。」


私と翔の体温で、チョコが溶けてしまうんじゃないかと思った。


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