遥人くんと陽斗くん②
1年が経つのはあっと言う間だった。
来週で遥人くんが亡くなって1年。
『もしもし、桜?』
「うん。どうしたの?」
陽斗くんから電話がかかってきた。
『来週の日曜日に遊びに行かないか?』
「来週…」
『用事があるのか?』
「…“遥人くん”が亡くなって1年になるの。
だからその日はお墓に行こうと思って…」
『そうか。…俺も一緒に行って良いか?』
「え?!」
予想外の返事に驚いた。
『“遥人くん”に、話があるんだ。』
断る理由もないし、一緒に行く事にした。
◇
お花と彼が大好きだったお菓子を供えた。
「“遥人くん”と2人きりで話がしたいんだ。」
と陽斗くんに言われ、私は少し離れた所で待っていた。
しばらくして、陽斗くんが戻ってきた。
「お待たせ。」
「遥人くんと何を話していたの?」
「…桜の話をしてたんだ。」
「私の話?」
すると陽斗くんは真面目な顔をして言った。
「“遥人くん”に
『桜に告白させて欲しい』
って言ってきたんだ。」
「!!?」
びっくりして声が出なかった。
「そ、それで…遥人くんは何て…?」
「わからない。でも、悪い様には思ってないと思う。…桜」
“告白する”と予告されているのに、心臓の音が煩い。
「俺、桜の事が大好きだ。
友達としてじゃなくて、恋人として傍にいたい。」
「……陽斗くん…」
差し出された手を取りたくて手を伸ばす。
でも私には大地君の傍にいる資格はないんじゃないかと思い、手を引っ込めた。
「私最初、遥人くんに陽斗くんを重ねていた。」
「遥人くんの事を、無理に忘れる事はない。
大切な思い出なんだから。」
「…っ、陽斗くん…」
やだ。泣きそう。
「最初は桜の気持ちが安定するまで
って思ってたけど、
いつの間にか桜といるのが凄く楽しくなってさ。
気が付いたら桜が愛おしくて仕方なくなってたんだ。」
「……っ」
「天国にいる“遥人くん”も
お前の幸せを望んでいるだろう。」
「……ありがとう。…」
「“遥人”」
陽斗くんは、再び遥人くんのお墓に向き合った。
「お前の分、桜を幸せにすると誓う。
だから、見ていてくれ。」
陽斗くん。
あの時、あなたに出会えて本当に良かった。
お供えしたお花が、ヒラヒラと揺れた。
まるで、遥人くんが、そこにいる様。
「じゃあ、帰ろうか。」
「うん。」
「陽斗くん」
墓地を出て、陽斗くんにさっきの告白の返事をしていない事に気が付いた。
「私も陽斗くんの事、大好きだよ。」
「…ありがとう」
優しく、抱き締めてくれた。
もしかしたら、“遥人くん”が、桜の為に
“陽斗くん”と巡り合わせてくれたのかも知れませんね!!




