愛しい君へ
俺は地味で平凡だから、君には釣り合わない。
君には俺なんかよりずっと良い男と幸せになるべきなんだ。
だから、この気持ちは自分の心の中にしまっておこう。
って、ずっと思っていたんだ。
『私、江口の事が好き!』
『!!』
だから、告白されたときはビックリしたな。
勿論、嬉しかったよ。
でも、驚きの方が大きくて…
言葉が出なかったんだ。
君は容姿端麗、文武両道だから、憧れる男は多かった。
後から聞いた話なんだけど、
学年トップのイケメンから告白されたんだってね。
そんな君が、俺を好きになってくれるとは思わなかった。
だから思わず俺は否定してしまったんだ。
◆◆◆
『…佐々木には、俺なんかよりも、
もっと良い男の方が似合うよ。』
『江口は、私の事が嫌い?それなら諦める。』
『それはない!!!』
『じゃあ、何で拒むの?』
『俺は地味だし、成績も凄く良いわけではないし、部活でレギュラーにもなれない。
そんな俺よりも、お前にはもっと良い男がいる。』
『私、江口は凄くかっこいいと思う。』
『!』
『知ってるよ。レギュラーになれなくても諦めないところ。隠れて練習してるでしょ?
それにこの前、困っていたお婆さんの荷物もってあげてたでしょ?
江口が優しくて努力家なの、ちゃんと見てるよ。』
『………』
『私の趣味も理解してくれるし。
って、なんか私、江口のストーカーみたいだね。』
◆◆◆
君はこんなに俺の事を見てくれていたんだね。
本当に嬉しかったんだ。
◆◆◆
『自分に自信持って。』
『...ありがとう。』
◆◆◆
正直、今でも自分に自信はないんだ。
でも、これだけは自信を持って言えるよ。
俺より君のことが好きな男はいないって。
絶対に君を幸せにするって。
◇◇◇
「………」
「かおり?」
「…和真のバカ。こんな手紙貰って、泣かないわけないじゃん。」
「ご、ごめん。泣かせたかった訳じゃ無いんだけど…」
昔の仲間に見守られ、俺達は結婚した。
「江口ー!佐々木…じゃなくて、
かおり泣かすなよー!」
「そーだそーだ!w」
「だから!泣かせたい訳じゃ無いんだってば!」
「お前らなぁ…式の途中で煩くするな…」
「まぁ、良いんじゃない?
あいつららしくてさ。」
本当に...賑やかな奴等だ。
「かおり」
「なぁに?」
「愛してるよ。」
「私も...!!」