信じてるから
私の名前は岡野一花。小学6年生。
最近、同じクラスの子に
『上靴を隠された!』
だの
『ノートを捨てられた!!』
だの、やってもいない事を言われる。
「はぁ…」
『やってへん!!』
って、毎回言っているのに、最近は誰も信じてくれなくなった。
もうめんどくさいから、無視しようかな…
とも思う。
「一花」
幼稚園の頃からずっと一緒だった、隆星が声をかけてくれた。
「これから児童館に行かへん?」
「うん。」
リュックを背負って、隆星より少し後ろを歩いて、児童館へ向かった。
◇
「一花ちゃん、隆星くん、おかえりー!!」
児童館の先生が出迎えてくれた。
「せんせー、視聴覚室使っていい?」
視聴覚室?隆星、いつもは直ぐに体育館で遊ぶのに…。
「視聴覚室?何に使うん?」
「秘密の会議をするねん!」
「分かった!ちょっと待っててね〜。
鍵開けるから。」
先生に鍵を開けてもらって、
私と隆星は視聴覚室に入った。
「隆星、体育館に行かんの?」
「一花。」
「な、何…?」
「最近、クラスのやつらに色々言われてるやろ?」
「うん、まぁ…。」
「明日、一花は何もしてへんって、言おうと思うねん。」
「隆星が?」
「担任は頼りにならんからな。」
「それは…隆星に悪いわ。」
私に味方する事で、隆星も悪く言われるかも知れない。
あの子はそういう事を言う子だから。
「でも、一花が何もしてないのに色々言われるの、腹立つねん!」
「隆星は信じてくれるんやね。」
「当たり前やろ。一花やったらそんな陰湿な事はせぇへん。」
隆星…。
「早く元気になった一花と遊びたいねん。
バスケやろうや!バスケ!!」
「…うん!!」
◇
翌日の放課後。
「一花が上靴を隠したりとか…
そんな事する訳ないやろ!!」
「してないって証拠はあるの!?」
「証拠…は無いけど…!
お前らよう考えてみろよ!!
一花やったら、こんな陰湿な事するか?」
すると、周りにいたクラスメイト達が
「確かに、一花ならもっと堂々とするよなぁ。」
「うん。隆星の言う通りやと思う。」
隆星の言う事に納得してくれた。
「一花ごめん…。ちょっと考えたら分かる事やのに…。」
「私も…!!」
「謝らんでいいよ。こっちこそ、理解してくれてありがとう!」
「…っ!!」
ある事ない事吹き込んでいたその子は、
気が付いたら居なくなっていた。
◇
「隆星、ほんまにありがとう!」
「…久しぶりに笑顔を見れた…。」
「??隆星?」
「いや。俺もスッキリしたわ!!」
隆星は、軽く体を伸ばすと、いきなり走り出した。
「!?」
「一花!!児童館まで競走や!!」
「うっわズル!!待て隆星!!!」
隆星。もし今回の私みたいに隆星に何かあったら、絶対私が助けるからね!!