公開プロポーズ
私には、中学2年生の頃から付き合っている彼氏がいる。
彼は小さい頃からずっとバレーボールをやっていた。
中高のバレー部では、主将もやっていた。
数々の大会で大活躍し、大学卒業後に彼はプロチームに所属する事になった。
『楓ちゃん、日本だと明日の夜9時にテレビで中継されるから、見てね。』
「うん!」
彼は今、イタリアにいる。
その彼から電話が掛かってきた。
「その為に、明日有給取ったんだから!
全力で応援する!!」
◇
「さて、テレビつけようかな」
ついこの間買った私専用テレビ。
新作ゲーム機と同時に買ったものだ。
「あ…翔」
海外の選手に混ざっていたら然程大きいとは思わないけど、
やはり翔は目立つ。
観客席には『KAKERU OSHIMA』
と書かれた垂れ幕を持っている人もいた。
駆の魅力は、海外の女の子も虜にしてしまう。
「頑張れ!翔」
試合は最初はなかなか決まらなかったが
後半に思いきり逆転し、見事勝利!
『おめでとうございます!』
『ありがとうございます』
試合後のインタビューに移った。
『この感動を、まず誰に伝えたいですか?』
『そうですね…
日本にいる、大切な人に伝えたいです。』
『大切な人?』
『はい。物心つく前からずっと一緒にいた、とても大切な人です』
家族だったら、家族って言うよね...?
何だか、ドキドキするな...。
『あ、ちょっと良いですか?』
『?はい、どうぞ』
翔はカメラ目線になった。
『楓ちゃん!!』
「!!!!」
『俺と、結婚してください!』
「え、えぇぇえ!!?ちょ、ま、」
レポーターさんはぽかんとしていた。
「…っ、世界中継で何してるのよー!!///」
勿論私の声は海を越えて届くことなく
インタビューは終わった。
「はぁ…しばらく近所歩けない…」
◇
2日後、翔が帰ってきた。
私は暫く近所を歩く度色々言われた。
皆ニヤニヤしていた。
「ただいま!」
「お帰りなさい」
抱き付いてきた翔に軽くチョップした。
「いてっ」
「もう、公共の電波使って何てことを…!!」
「ご、ごめん!
本当は帰ってから言おうと思ったんだ。
でもあの時、まさかあんな形で勝てるとは思わなくてさ。
テンション上がっててつい…」
「ちゃんと、私の目を見て言ってよ…」
「う、うん!」
翔は私の手を握った。
「俺と、結婚してください。」
「…はい!」
◇
「さて、これから大変になるぞ。」
「そうだね。次はオリンピックか。」
「それもそうなんだけどさ、
楓ちゃんのご両親に
結婚の許しをいただかないと。」
「そんな、私達元々どちらの両親も公認じゃない。」
「でも、こう言うのはちゃんとしないと…
スーツ久しぶりに着よう。」
「律儀だな~」
「今週末に、澤村家に行って大丈夫?」
「うん」
翔と私は手を繋いで駐車場まで行き、
翔を仙台空港から車で家まで送った。