Prologue: 此処は何処。
そこは夜と言うにはあまりにも寂しいが、かといって
無と言うには賑やかだろう、そんな闇色に染まった空間だった。
私はそこにぽつんと立っていて、自分がその中心にいるのかそれとも端に居るのかも分からずじまい。
要するに八方塞というやつで、立ち往生していた。
すると、突然
パッ
と音が鳴るように光が差し込んだ。
それはまるで舞台を照らすスポットライトのようで、一点のみを明るく照らしている。
チカッ
チカッ
点滅する光は実に頼りなく、感じるものは恐怖よりも
学生の頃よく経験した
「この蛍光灯切れ掛かってない?何かチカチカしてない?ねぇ、ちょっと本当に大丈夫なの?これ」
というような類の不安の方が強かった。
だが、その点滅に連動するように聞こえ始めた声に私はゾッとした。
きっと今の私の顔色はこれまで見たことがないほど悪いのだろう。
緊張からか恐怖からか、ヒュッと喉から空気の抜けるような音がした。
-これ多分、小さな子供の笑い声だ。
どうしよう、怖い。凄く怖い。
背中に嫌な汗をかいてしまい、気分は最高に悪い。
私が思わずその場に座り込んで耳をふさぐと、今度は
パッ
先ほどまで照らし続けていた光が消え、暗転。
私はどうやら少なからずあの光に安心感を抱いていたようで、消えた途端言いようのない不安に駆られてしまった。
ああどうしようどうしようどうしよう。
ていうか、今更だけどさ。
自分でも吃驚するぐらいな今更加減で涙出てきそうだけどさ。
此処、何処よ・・・・!
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