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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ごまかしでしのぐ、友人

作者: 石川 瑠佳

「だまされる方が悪いのよ。馬鹿な子」

 その女の子は容赦(ようしゃ)なくそう言った。いっそ、すがすがしく格好良さまである感じだ。

 だが、意地悪で、人の心を分かっていない。それでいいのだろうか?この子の人生は最後まで。人間、人を馬鹿にすることを覚えたら、優しさや綺麗な心の大事な品を失う。


 私は、風の妖精で、そ――っと百二十年、人間たちの様子を観察している。なぜなら、私は、風の妖精たちの姫で、いずれは王になる。だから、近しい世界であるこの、人間たちの様子を見るという勉強をしてくるように言われた。色んな人間を見た。やっと今は、大分、人間の世界は平和になっているのに。

 私は、偶然私のことを見ることが出来た、優しくて、元気で明るい十一歳の女の子、ミドリちゃんと仲良くしている。そして、今、ミドリちゃんの友人だと思っていた子があんなことを言ったのだ。


 表では、ミドリちゃんと仲良くしておきながら、裏では会話や表情などで分かったミドリちゃんの情報で、悪口を色んな人に言い、馬鹿にしまくっていたのだ。

「だって、遊び道具だと思っていたんだもん」偶然それがばれた、その子は、そう言った。

 ミドリちゃんは、辛過ぎて、その場で固まってしまった。

「別に、構わないわよね」その子は、全く何も起こってないかのように、ミドリちゃんに言った。

 ミドリちゃんに、まともに対処する気力は残ってないのを、分かりそうなものだが。分かってやっているのか、それとも、この子ももう何かをどうにかする気力がないのかもしれない。病気なのだ。それか、本当に根っこから人の気持ちを分かるのが無理な精神を持っているのかもしれない。可哀想でもある。


 私は「馬鹿――っ!本当にあなたのそのままの心を見てくれる、心が優しくて、親切な友人は必要ないの?人の気持ちを知る勉強をしようともしないで、何も起こってないような雰囲気で、なぜ心に嘘をついて過ごそうとするの?あなたの心はどこにいったの?信じられる、人生の道しるべは、この先ずっとあるの?これから大事に想う人に、嫌われても知らないから!!」

「誰っ?どこから言ってるっていうの?」その子は、少し動揺して言う。私の姿は、普通の人間には見ることが出来ない。あの子を普通とここで表現するのも、何だか嫌な感じは、あったりするが。

 今、声だけは聞こえるようにした。

 ミドリちゃんを連れていく。

「あっ、ミドリが空を飛んだ。信じられない」

 その子だけでなく、側にいた子も騒いだけど。

 あの空間にミドリちゃんを置いておけないよ。私はミドリちゃんの友達だもん。


 あの、嫌なことをした子は、反省出来るのだろうか?出来ないなら、ミドリちゃんは、その子と距離を取るだけ。

 私のあの言葉が届いて、もし本気でミドリちゃんと向きあおうって思ったら、本当の友人になれるかもしれないけど。世の中に吹く、人間の冷たい風に当たっているその子は、あったかい心を持てるのだろうか?それは、ミドリちゃんも同じだけどね。



            終


自分の心が、ちゃんと人の心になっているかを、一度は確認してみた方が、いいのかもね。

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