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魔王でない魔王は力を求める  作者: 斗樹 稼多利
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魔王でない魔王、双子を堕とす


 護衛の女性兵士二人と双子の弟のルイと、最近国内で頻繁に起きている死霊出現事件を調査中、旅をしているハンターのクーロンさん達と出会った。

 出会いは色々と衝撃的で、当分はあの光景が頭から離れそうにない。

 そんな彼らと流れで一緒に野営することになって色々と話を聞いてみると、彼らは私達より年下だったの。

 自分で狩ったものだからと、焼いたギガントホーンゴリラの肉を一人で食べるクーロンさん、それと褐色肌の中性的な女の子のソウファンちゃんが十二歳。

 圧倒的な大きさの胸とお尻をしている半猫獣人の女の子、メイランちゃんに至ってはまだ八歳。

 どうしてまだ八歳なのに、あんなに育ってるのかしら。

 ソウファンちゃんも私よりは育ってるし、なんか悔しいわ。


「えっ、皆さんは親も故郷も失ったんですか?」


 あらら。女性兵士のお一人さん、気になったとはいえ拙いことを聞いちゃったわね。

 クーロンさん達は魔族や魔物の襲撃によって家族と故郷を失って、似たような境遇同士で集まってハンターになり、チャニーズ帝国の方から旅をしてきたみたいなの。

 あんな遠い国から旅して来たなんて、やるじゃない。

 さっきもギガントホーンゴリラっていう大きな魔物を瞬殺しちゃったし、強いのね。

 聖職者として姉さんに遠く及ばない上に弱い、私達とは大違い……。


「どうしてこの国へ?」

「聖女とやらを見物しに行こうと思っただけだ」

「あなた! 魔王を討伐した聖女様に対して、その言い方はなんですかっ!」


 女性兵士の一人が声を荒げるけど、クーロンさんはどこ吹く風って感じで、まったく気にしている様子が見れない。


「ハッ、何言ってやがる。聖女が倒したんじゃなくて、勇者達が七人がかりでたった一人の魔王を倒したんだろうがよ。聖女は勇者の仲間の一人ってだけで、聖女が一人で倒したわけじゃねぇんだ。勘違いしてんじゃねぇぞ」

「うぐっ」


 言われてみればそうね。

 言葉に詰まった女性兵士がさっき言ったように、聖教国ソワールでは姉さんが魔王討伐で活躍したように言われているけど、実際は勇者の仲間の一人として戦ったのよね。

 これはローツ教会が聖女の名を高めるため、密かに印象操作を行っているのかしら。

 ふふふっ、鋭い私にはすぐ分かったわ。

 姉さんより出来が悪いと言われているけど、こういうことには鋭いのよ私。


「いくら魔王が相手だからって、七人がかりで勝てたような連中なんだ、一人一人の力は魔王未満に決まってんだろ」


 わー、そう言われると姉さんを含めて勇者様達があまり大したことなく思えてくる。

 なんか魔王くぉ七人で囲んで、一斉にタコ殴りしてるような光景が浮かぶわ。


「だ、だからといって、魔王の討伐に尽力したという事実は変わりません」

「まっ、そこは否定できねぇな。いくら七人がかりで、一人を倒したといっても、勝った事実は変わりねぇからな」


 やたら人数の点を強調する言い方に、女性兵士達が複雑な表情を浮かべて、ルイは苦笑してる。


「そうだ、皆さんはチャニーズ帝国から来たということは、ヤマト共和国を経由して来たんですか?」

「ええ、そうですけどそれが?」

「帝国のソウコク様と、共和国のヤリュウダイジロウ様が行方不明になった件はご存知ですか?」


 そういえばそんな話があったわね。

 ひょっとしたら勇者とその仲間を狙った、何者かの策略かもしれないって話があって、最近姉さんの警護が強化されたのよね。


「知ってるぞ。聞いた話でよけりゃ、聞かせてやろうか?」


 聞きたいことは聞きたいけど、なんでそんなニヤッって笑みを浮かべるのかしら。

 なんか不気味で怖いじゃない。

 おまけにソウファンちゃんとメイランちゃんは、微妙な表情して見つめ合ってるし。


「是非。ひょっとしたら姉さんも、その事件の首謀者に狙われているかもしれないので」

「……姉?」

「そういえば言っていませんでしたね。こちらにいらっしゃるルイさんとレイさんは、聖女メルシアン様の弟妹であられるのです!」


 どうして女性兵士達が自慢して、胸を張ってドヤ顔するの? それは私かルイがする反応よ。


「へえ? ということはテメェらが話に聞いた、出涸らしで不出来で聖女の弟妹ということ以外は全く価値が無いっていう双子姉弟か」

「「そこまで……言われてるか」」


 否定できない現実が悲しいわ。

 そんな自分の不甲斐なさと弱さが悔しくて……それ以上に憎らしいわ。

 どうしてあんなに出来る姉さんの下に生まれてしまったのか、どうしていつも姉さんと比べられなきゃならないのか、どうして私達はこんなにも弱いのか。

 自分の弱さが、力の無さが、そして力を持っている姉さんが憎い。

 姉さんが力を持っていなければ、魔王討伐に貢献しなければ、私達にも力があれば、普通に過ごしていたはずなのに。


「あなた、失礼ですよ!」

「お二人だって気にしているのですから、もっと言葉を濁しなさい!」


 気にしているからって、言葉を濁せばいいって訳じゃないのよ?

 どんな言い方をされようとも、虐げられたら傷つくわ。

 それを分からずに言ってるんだとしたら、この人達もそう思ってるのね。


「ごめんなさい、クーロンさんはこういう人なんです」

「いつもこの調子」

「ふん、本当のこと言って何が悪い。つうか弱いのが悪ぃんだから、見返すくらい強くなりゃいい話だろ」


 強くと言われてもね……。


「私達だって、頑張ってるのに……」


 思わず口に出してしまうと、クーロンさんが睨みを利かせてきた。

 うわっ、怖っ。ルイもビビッてるし。

 というか女性兵士達までビビッてるし。護衛のあなた達がビビッちゃ駄目でしょ。


「頑張ろうが努力しようが、弱いままなら意味はねぇんだよ」

「で、でも」

「でももしかしもねぇ! テメェらは本当に力が欲しくて、力を渇望してんのか! 強くなりたきゃ、力を求めろ! 力への渇望が足りねぇから、弱いままなんだよ!」


 空気がビリビリするほどの声で浴びせられた、クーロンさんの言葉。

 力への渇望が足りない……か。

 そんなはずないじゃない!

 あれだけ蔑まれて、バカにされて、力を望まないはずがないじゃない!

 有名になっても昔と変わらず優しいままの姉さんに、それが力を持つこその余裕なのかと憎しみを抱くほど、力を欲してるわ。

 でも、これ以上どうすればいいのか分からないの!

 どうすれば、あなたのような力が手に入るのよ!


「あなたねぇ」

「やめてください!」


 女性兵士の一人が立ち上がり、歩み寄ろうとするのをルイが止めた。

 そしてこっちを睨み続けるクーロンを見据える。


「そりゃ、僕だって強くなりたいですよ。心の奥底から力が欲しい、だから頑張ってるのに力が得られない! どうすれば、どうすればクーロンさんのような力が手に入るんですか! どうすれば姉さんを越えられるんですかっ!」


 やっぱり私達は双子ね。

 外見や能力だけでなく、気持ちも同じだなんて。

 だったら私もその気持ちをぶつけなくちゃ。


「私もよ。強くなりたい、でも強くなれない自分が不甲斐なくて仕方ないの。姉さんを越えたいのに、弱いままなのが嫌なの。力が欲しい気持ちは、ルイにも負けないわ」


 しっかりクーロンさんを見据えて告げると、クーロンさんの表情が緩んだ。


「力が欲しいのか?」

「はい!」

「ええ」


 肯定の気持ちをハッキリ伝える。

 すると何故かソウファンちゃんが遠い目で苦笑して、メイランちゃんが頭を抱えて溜め息を吐いた。

 何よ、その反応は。


「力を得るたな手段は問わず、とにかく力が欲しいのか?」

「……手段?」

「力を手に入れるためなら、正道なんてクソくらえな邪道でもいいのかって話だ」

「邪道……」

「地道でクソつまらねぇ努力なんかを真面目に長々と続けるんじゃなくて、代償や対価といったもんを支払って強くなる、邪道も邪道な方法でも力が欲しいか?」


 代償や対価を支払って強くなる。

 確かに普通のやり方は、長い長い時間を掛けて努力を重ねて強くなる方法。

 いわば、時間という対価を支払って強さを積み重ねていく。

 対するクーロンさんの言う邪道は、時間以外の何かを支払って力を得る方法。

 それがどんなものかは分からないけど、日々の努力以外の手段で強くなるのは、とても正道とは言えないわね。正に邪道よ。


「やめなさい! 日々の努力を尊ぶローツ教に属するお二人が、そんな方法を求めるはずがないでしょう!」

「お二方、こんな悪魔の囁きに耳を傾けないでください」


 女性兵士達の言う通り、ローツ教は日々の努力を尊ぶ。

 でもそれを認めてもらったことは無い。

 今日まで続けて積み重ねてきた力を、誰も評価してくれない。

 姉さんと比べて姉さんより劣るからという、ただそれだけの理由で。


「何が悪魔の囁きだ。本当に心の奥底から力が欲しいなら、邪道だろうが人の道を踏み外そうが神の教えに背こうが悪魔の誘いだろうが、リスク承知で乗っかって力を得るべきだろう。リスクにビビってる程度じゃ、そいつの力への渇望もその程度ってことだ」


 ……欲しい。

 普通にやって得た力じゃ、誰も認めてくれない。

 だったら認めてもらうには、普通じゃない手段で得た力でないと。

 リスク? そんなのいくらでも背負うわ。

 姉さんを越える力を得るためなら、それくらいの覚悟はしてやろうじゃないの。


「あなた、いい加減に」

「僕はっ! 力が欲しいです! 例え神の教えに背こうとも、周りを認めさせるだけの力が欲しいです!」


 我慢ならず剣を抜こうとする女性兵士の言葉を遮るようにルイが叫ぶ。


「もうどれだけ頑張っても認められないのは嫌です! 認めてもらうためなら、人道だろうが神道だろうが踏み外して、悪魔の囁きにも乗ります!」


 それがルイの本音なのね。なら私も。


「私も同じよ。力が欲しいの、誰もが認めるほど強い力が。姉さんと同じでも違ってもいいし、得るためなら邪道だろうが構わないわ」

「お二人とも、何を馬鹿なことを」

「いくら聖女様に劣っているとはいえ、神に仕える身で邪道を選ぶなど」

「うるせぇっ!」


 衝撃波でも出たんじゃないかってくらい、大きくて全身に空気の振動が伝わるほどの声でクーロンさんが叫び、女性兵士達は黙った。

 あっ、ソウファンちゃんとメイランちゃん、ちゃっかり耳塞いでるし。


「選択を否定する権利は誰にもねぇんだよ。責任は選んだ奴が取るんだ、余計なこと言ってんじゃねぇよ」

「黙れ! 貴様のような小僧が!」

「劣等者とはいえど、聖女様の弟妹に戯言を!」


 女性兵士達が剣を抜いてクーロンさんへ斬りかかる。

 でもクーロンさんは不敵な笑みを浮かべるだけで微動だにせず、ソウファンちゃんとメイランちゃんも動かない。

 どうしてと思っているうちに剣が振り下ろされる。

 だけど、どちらの剣もクーロンさんが二本の指で挟んで受け止めていた。


「「んなっ!?」」

「命を奪おうとしてきたんだ、逆に奪われる覚悟はあるんだな、クソ雑魚共」


 最後の一言を発した瞬間に襲い来る、圧倒的な威圧感。

 一瞬で体が硬直して動けない中、クーロンさんの背中から巨大なミミズみたいなのが二つ生えて、大きな口を開けて女性兵士達を丸呑みにした。

 クーロンさんが受け止めた剣だけを残して飲み込まれた女性兵士達は、ミミズみたなのの中でまだ生きているようで、体内で暴れている様子が見れる。


「どうだ? これが邪道を選んで得た力だ」


 思わず唾を飲む。

 ルイも目を見開いて驚いているけど、その目は爛々としていてミミズみたいなのから外れていない。


「俺だけじゃねぇ。ソウファンもメイランも邪道を選んで、代償と引き換えに力を得た。これとは違うが、お前らなんて足下にも及ばない力を持ってるぜ」


 あの二人も……。

 視線を向けると、二人は遠い目をして複雑そうに頷いた。

 そんな表情をするなんて、一体どんな代償を支払ったの?


「どうする? これに怖気づいて、邪道はやめるか?」


 ミミズみたいなのがこっちを向く。

 体の中間辺りでは女性兵士達がまだ生きていて、中で動いている様子が見える。

 気持ち悪いし、怖気づいたかと言われれば肯定する。

 だけどそれ以上に、力が欲しい。

 あんな認められない日々は、姉さんからの優しさに苛立つ日々はもう嫌なの。


「いいえ。この程度で怖気づいたら、女が廃るわ。教えて、その力を得る方法を」

「僕だってそうです。だからお願いします、どんな代償でも払いますから、力を得る方法を教えてください!」


 ルイと一緒に頭を下げる。

 するとクーロンさんに頭を掴まれた。ルイも同じだ。


「だったら耐えろ。力を、くれてやるよ」


 あぁぁぁぁぁぁっっ!

 痛い熱い痛い熱い、痛熱い!

 全身が燃えているように熱くて、それでいて全身を針で刺されているように痛くて、体の中からも痛くて熱くいて気が狂いそう!


「うががががががっ!?」


 ルイも叫んでいるようだけど、今はそれどころじゃない。

 自分の気を保つだけで精一杯よ。


「手っ取り早く強くなるんだ、それぐらい耐えろよ」


 こ、これが邪道で力を得る代償ってこと?

 だったら耐えて見せるわ、この程度の痛熱さ、耐えてやろうじゃない!

 ただ、それだけ耐えればいいのか分からない中で耐えるのは地獄でしかない。

 気を抜けば失ってしまいそうな意識を必死で留め、奥歯が割れるんじゃないかってくらい歯を食いしばって、体に爪が食い込むのも気にせずひたすら耐える。

 そうした時間をどれだけの間過ごしたのか、ようやく熱さと痛みが引いてきた。


「はぁっ、はぁっ……」

「ひぃ、ひぃ……」


 完全に熱さと痛みが消えると、脱力してうつ伏せに地面に倒れる。

 全身から汗が噴き出て、顔からは涙や鼻水や涎が流れ出ているのをようやく自覚した。

 だけど痛みと熱さを堪え切ったことへの解放感で、それを拭うどころじゃない。


「よく耐えたな。どうだった、この五分間は」


 五分ですって?

 今の時間が、たったの五分?

 てっきり何時間も経ったと思ったのに。

 そう思いながら起きようとしたら、妙に手が小さくて肌の色が違うのに気づいた。


「レ、レイ姉さん、体が」

「えっ、えぇっ!?」


 声を上げたルイを見ると、体が縮んでる!?

 おまけに肌と髪と瞳の色が変化していて、角まで生えてるし!

 というかこの色と角、魔族じゃないの!?


「くはははっ。見事なチビガキになったな」


 笑っているクーロンさんを見ると、彼の姿も魔族になっていた。

 違うのはまだ背中から生やしたままの、女性兵士達を丸呑みにしたミミズのようなものくらい。


「これが、力を得た代償なの?」

「そっちは俺が楽しむため、ちょっくら幼くした」

「「はぁっ!?」」


 幼くしたって、意味が分からないわ。

 なんなのよこれ、というかなんで魔王が討伐されたのに魔族がいるの!


「えぇっと、説明するとね」


 気まずそうなソウファンちゃんとメイランちゃんが、全てを懇切丁寧に教えてくれた。

 クーロンさんが何者なのか、ここまでの旅路、自身とメイランさんについて。

 なんていうこと、私達は悪魔どころか魔王の囁きに乗ってしまったのね。

 しかも代償ってそういう系なの!?

 というかルイは男よ、男!

 ソウファンちゃんみたいに女性の体にされていない、幼くなったとはいえ男よ!


「だけど、ちゃんと力は得られたはずだよ」

「そこに関して、こいつは嘘を吐かない」

「ったりめぇだろ。力をやった代償に、遊び相手として利用するんだからよ」


 普通に遊び相手って言ってるし。

 だけど、確かに嘘は言ってないわね。

 体は縮んだけど、とんでもないくらい力が溢れてくるもの。


「あの、もしも力をもらうのを断っていたら、僕達はどうなったんでしょう?」

「んなの、こうしてたに決まってるだろ」


 おそるおそる尋ねるルイにクーロンさんが指を鳴らすと、ミミズっぽいのが両方とも口を大きく開ける。

 牙や歯は一切生えておらず、代わりにネバネバしてそうな透明な液体が滴っていて、なんだか気持ち悪い。

 すると、奥の方から何かがせり上がって来た。

 何かと思いつつルイと身を乗り出すと、見えて来たそれに驚く。


「ひゃっ!?」

「うわっ!?」


 それはさっき丸呑みにされた女性兵士達で、ミミズっぽいのの体液塗れになって、防具と服が溶けて細いものに巻きつかれている。

 しかも艶めかしい表情や反応からして、これ絶対にエッチなことされてる!


「これが断ってた時のお前らの末路な」


 セーフ、セーフ、セー……フなの?

 いやだって、私達って代償でクーロンさんの……。


「で、これから起きるのが、末路とは言わないがお前らの選んだ道の代償だ」


 ミミズみたいなのとは別の、細いものがクーロンさんの背中から生えて、私達を拘束した。

 ちょっ、本気なの!?

 なんとか抵抗するけど解けない。


「変に抵抗せず、受け入れた方がいいよ。そう悪いものじゃないし」

「それにどうせさっき触れられた時、楔を打たれて下手な反抗はできない」

「「ようこそ、快楽と悦楽に染められる地獄へ」」


 目の色を失って諦めの表情をしているソウファンちゃんとメイランちゃんが、嫌な歓迎をしてくれた。

 なによ、その地獄は。

 しかも何気に二人も拘束されてるし。


「って、ちょっと待ちなさい! ルイは男なのよ!」

「安心しろ、ガキなら男でも気にしねぇ」


 まさかの少年限定両刀使い!?

 ひょっとして私達を幼くしたのは、そのため!?


「だ、だけどいずれは成長して」

「肉体は全く成長しないようにしておいたから、気にすんな」


 気にするわ! ルイも何か言ってやりなさい!

 でないとうっかり見ちゃった、あのデカくてぶっといのを突っ込まれちゃうわよ!


「あの、痛くしないでくださいね……」


 ルーーーーイッ!

 なんでそこで乙女の顔して恥じらいながらそんなこと言うの!?

 えっ、まさかそっちの気があったの!?

 初めて知った双子の弟の驚愕の事実!


「悪いようにはしないとだけ言っておこう」

「いーやー!」


 迫るクーロンさんに、私は悲鳴を上げるしかなかった。

 尤も、それはすぐに別の意味での悲鳴になっちゃったんだけどね。


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