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嵐の顛末 落とし前

 本来はもっと慎重に行くはずであった。

 ただその場のノリというか勢いというか…

 とにかくチャンスだと思ったのだ。

 だがしかし。

「ガヤーリン様、お隣失礼してもよろしいでしょうか?」

「うぃっ?!ふぉっフォンディナート公爵令嬢!!」

 普段は来ない食堂。

 ちょっとの不安と大きなわくわく感、そしてそれらを圧倒するときめき。

「うふふどうぞエヴァとお呼びくださいと申しておりますのに。」

「やっそんな僕なんかが恐れ多くて…」

「そんな、わたくしが呼んでいただきたいだけですわ…でも勿論無理強いなど致しません。お約束しましたもの」

「はぁ…」

 合わない目線。

 崩れない呼び名。

 必要以上かわされることの無い会話。




「私の天使が手強いわ…」

 私室でレナの入れてくれたお茶を楽しみながら言うと、ブハ!と吹き出された。

「天使wwwテラワロスですわ」

「紛うことなき私の天使よ。隣の席で同じ空気を吸える喜び…鼻血でそうよ。神よあんな素晴らしい存在を遣わしてくれてありがとうございます…」

「…はいはい。お嬢様のおかしくなったのはもう諦めますから。神々に祈りを捧げるのもいいですけど現実の仕事もしてください」

 ばさ、と目の前に書類を置かれる。

 ふんふん。

 書類は先日の新年会パーティーの調書結果だ。

 顛末はやはりリリー・ダルカン令嬢のほぼ狂言だった。

 第二王子(名前も呼びたくない)とかなりいい感じになっていたものの、後一歩が及ばない。

 そんな中ひろまった『フォンディナート公爵令嬢は第二王子を慕っている』という噂。(オエッ)

 気になって様子を伺うと、容貌は派手、また側仕えの侍女に対し頻繁に何か声を荒らげている様子が伺える。

 これは使えると判断、『フォンディナート公爵令嬢にいじめられている』『それでも貴方を諦めることが出来ない、ごめんなさい』『こんなこと相談できるのは殿下しかいない』等と囁き、見事恋仲に。

 フローライト伯爵令嬢は、身分をわきまえない男爵令嬢が、憧れの第二王子と恋仲になったことが許せず嫌がらせを始めた。

 新年会で言ったことは全て自分が行ったことだったのだ。

 ただそれすらもリリー・ダルカン令嬢は『公爵令嬢の仕業』とした。

 その方が都合がよかったから。

 ただ所詮は小娘の浅知恵。

 暴走した第二王子を両者とめられず、結果虚偽の言動により筆頭公爵令嬢を侮辱、冤罪を作り上げた。

「まぁ予想通りの範疇ね…リリー・ダルカンとアナベル・フローライトは酌量の余地なしね。公爵家に対する侮辱罪、王族を謀ったという罪もある。このまま申告しましょう。最終的に流罪か死罪かは陛下に裁量いただくとして。第二王子は…悩ましいけれどここは王家に貸しを作る方がいいかしらね。本音を言えば二度と顔も見たくないけれど」

「妥当ですね。まぁここまでのことがあれば第二王子は再起不能でしょう。大分陣営も崩れたと聞きます。王子はあんな事があってもいまだにあの令嬢を想っているそうですよ。だいぶ茫然自失みたいですけど」

 まぁそんな所かしら…意外に本気だったのね、とそこまで思い、ふと思い直す。

「いえ待って。一旦全部やめましょう」

「は?」

「私、はっきり言って小物の令嬢なんてどうでもいいのよ。むしろアレを引き取ってくれるなんて女神のようだわ」

「…まぁ、そうとも、言えなくもないです、かね」

「アレを引き取ってくれようという奇特な女性はもういないわ。いたとして王家と繋がりを持ちたい身の程知らずの野心家でしょう。腐っても王家の血を引くアレを渡すのは危険だわ。今後の憂いになる。」

「…さっきからアレ、アレと、まるで黒光りするあいつのような言いっぷりですが」

「私の中では同等よ」

 うふふ、と笑う。


「真実の愛ならば、連れ添って頂くのが良いかと思うわ」



 その後、ダルカン家は取り潰し、フローライト家は男爵家へ降爵となった。

 領地はそのまま王家とフォンディナート家へ慰謝料代わりに渡す話があったが、フォンディナート家は固辞。すべて王家預かりとなった。

 第二王子は学園を退学し、一代限りの大公となった。領地は上記の土地を預かったという。そして元・ダルカン家の令嬢リリーはその妻として迎えられた。

 またフローライト男爵令嬢アナベルは学園を退学したものの、フォンディナート家が後見となり、淑女教育をみっちり受けているという…

 これは後々舞台化もされ、『過ちと愛の物語』として熱演されることになる…


「やりやがりましたねお嬢様」

「うふふふ」

「王子はもう会うことは無いだろうし、領地云々もフォンディナートの懐は痛まない。それどころか大きく王家に貸しをつけましたね。かつ大公妃には政治的に影響のない相手を宛がって実権のない大公に仕立てる。さらに世間的にはフォンディナートの懐の大きさ見せて株あげるとか…」

「惚れちゃう?」

「呆れます」

「えーーまぁ惚れていただくのはモブロフ様でいいわ。きゃっ!」

「とっとと早くリアルで名前呼べるようになって下さいよ」

「う…頑張ってますわ…」

「…ちなみに」

「なぁに?」

「一代限りの大公とするため、後継者争いを防ぐため、大公は生涯子を持てなくする薬を飲まれる、というウワサを裏で耳にしましたが」

「それはあくまで噂でしょう。いずれにせよそのご裁可は陛下の、そして大公ご自身の判断よ」


 そう言い切ると、ふっと息を吐く。


「でも少し羨ましいわ。だとすれば、本当に大公ご夫妻は、愛し、愛されていたのでしょうから」

早くイチャイチャ書きたいのになかなか進まない…!

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